乖離した俺の右半身が壁の亀裂の中で瞬きの真意を窺っている、先週までの熱が嘘のように冷えた部屋の中、とある境界線の上から確かに爪先は僅かに踏み越していた、変えたばかりの蛍光灯の白色がギロチンのよ ....
円錐形の反射が
カーテンの隙間から潜り込む
あれは外灯だろうか
あまりにも揺れていて
息づいているようだ
南に居る嵐のせいで
むせかえる夜中だ
はりついたシャツを ....
汚れた屋根に降りそそいだ雨が
酷い色になって窓をつたっている
音楽を聴く気分でもなく
本を開くのも億劫な
隣の空地に投げ込まれる空缶
明方には野良猫のおもちゃになる
....
気まぐれでかたまりで買ったでかい肉を適当に切り開いて、塩胡椒ぶっかけて柄のガタついたフライパンでおよそこんぐらいだろうという程度に焼いたら皿に投げ落とし、適当に作ったソースでパクつくとまんざら ....
赤いワインが煌びやかな床に散らばって薔薇の花弁に擬態する乱痴気騒ぎの挙句、飲み過ぎた女は吐瀉物を喉に詰まらせてストレッチャーの上で冷たくなった、天国への階段は上れない、地獄の穴へ真っ逆さまさ― ....
女たちは街路に集まって
気に入らない誰かの陰口を叩いてる
根拠のないことで他人を叩けるなんて
随分と罪深いいきものだ
空はキレの悪い小便のような雨を
昨夜から垂れ流していて
....
開き直って、当たり前のことを言う
そんなの詩人のやることじゃない
文法に縛られ、添削に精を出す
そんなの詩人のやることじゃない
奇をてらって、珍妙な改行、記号の羅列
そんなの詩人のや ....
溶解する脳内の炉のなかで、失われてはならないものがあった、それは長く俺の中にとどまり続けたものだったが、思い出すことさえ出来なかった、脳下垂体の下部に据え付けられたそれは、終始俺の思考にき ....
偽証されたような朝が破裂の熱と共にやって来て窓の外は核爆発のように発光している、カーテンを閉じたままのこの部屋はまるで真空のように現在から隔離されていて、俺はたいがいの部品を土踏まずの穴から落 ....
とあるキャバクラの前で
自信満々の呼び込みが
声を張り上げてピーアールしている
客たちは
一度は
振り返るけれど
すぐに
興味を無くしてしまう
(ああ、あの店か)
....
崩落した道を見下ろす
堤防に身体を預けて
夏からの束の間の避難訓練
午後の約束は先延ばしになって
それ以外の予定もなくって
戻ることも出来たけれど
久しぶりにコーラが飲 ....
首を幾度か右に左に旋回させて通電を試みるも、精神はどこか奥深くへ潜り込んでいた、日付変更線を少し過ぎたあたり、床に突き立った一本の小枝だった、これはなにかの目印だろうか、それともどこかから投げ出さ ....
床に転がったおまえをどこに捨てよう
細かく切り刻んでビニル袋に詰めて
生ゴミの日にまとめて捨てよう
どこかから車を盗んできて
山の中まで連れてって埋めて捨てよう
それとも誰も来ない辺 ....
化石の埋もれる地下の回廊のひと隅の寝台の上で太古の記憶を移植されたような目覚め、血流はゆっくりと流れ、そのうねりが内耳の奥でうっすらと轟いている、そんな目覚めだった、時は気化しない雨粒のように降り ....
都市を横に連ねたような貨物列車が駆け抜けたあとに
鳥のエサほどに分けられた轢死体ひとつ
十六の少女、と夕方のニュースが声をひそめて告げた
そんな歳で絶望なんか本当は出来るはずもないの ....
結晶を模写したような細工の窓ガラスの粒を数えていたら一日が終わる
口述筆記のような違和感が生じる近しい過去には
巨大な生物のあばら骨が空から落ちてくるなにかを受けとめようとしている ....
沈殿と沈黙の
まだらの模様が
僅かに振動しながら
消えていくまぶたの裏
かすれた声の行き先
天井のすみの薄暗がりに
待ちぼうけ食らった今夜の夢は
濡れ続ける表通りの街灯の ....
一日中降りつづく雨が
重い布のような空気となり
肌にまといつく夜中
車が通るたびに悲鳴を上げる水たまり
風が吹くたびに雨粒で鳴るガラス
シャワーを浴びたばかりの身体はすでに汗 ....
消防車のサイレンが街にこだまする真夜中
自発的な夢遊病のゲバラのシャツを着たガキどもが溢れ出て
革命とは程遠い犯行を繰り返す、おお
体制にとって彼らの存在は引っ掻き傷にもならない
....
浅いところで手を浸して
つめたいと言って笑った
いまごろにしてはすこし寒い
土曜日の午後のことだった
アイスクリームなんか食べたい気分じゃなかったけれど
きみが頑として譲らなかっ ....
くらい森の中、葉からこぼれたひと滴が百の詩篇になりながら堆積した過去を濡らすとき、僕は口を開くことはない―瞬間の眩しさに射貫かれて心を停止している、汗に濡れ、歩き続けて疲弊した身体を抱えて ....
夜の足元に浸透する無色な表情たちは鋭利な棘を準備している、浮かれた心はだから、すぐに冷めて大人しく蹲る、折り曲げて抱いた両の膝越しに見える足は爪が少し伸び過ぎている、無色な表情たちはそいつ ....
枯れてしまった花々が横たわる道端で
明日来るバスを待っている
夕方まで降り続いた雨のせいで
街は水のにおいがする
ターミナルのベンチはわたし一人
これ以上誰もやって来ることはない ....
横滑りする思考が頭蓋の内壁に残した掻き傷、そいつが過去や現在をイレギュラーに跳ねさせてマインドは行き場のないジャンプでいっぱいだ、昼なのに薄暗いのはきっと雨のせいなんかじゃない、なにかが俺の瞼 ....
僕は死に始めた、見慣れた部屋の中で
僕は死に始めた、変わりない日常の中で
僕は死に始めた、まだ果たせぬ思いのまま
僕は死に始めた、いびつな過去を抱いて
石灰色の目覚めがこめかみを締 ....
生温い雨に濡れながら午前二時、あらゆる神経が脳天に向かって空虚を届けるころ、おれは寝床を拒否してキーボードを叩いている、ヘッドフォンのなかではインプロビゼイション・ノイズが存分に掻き回している、お ....
すべてはくたばって散ばり、火をつけられて焼け焦げた炭になってしまうだろう、ポンコツの目玉が呼び起こす小さな頭痛に舌打ちをしながら、長い長い夜の幕開けだ、心臓が轟音を上げている、それは俺に大 ....
指の隙間で結晶化する高濃度の殺意を洗浄しようとしてすべてが化膿する記録されない洗礼の日、鋼鉄の悔恨はカルシウムの欠片のように胃袋の底でごろごろと感染を続けていた、嘔吐の予感は十二時間も脅かし続 ....
微細なノイズが連続する頭蓋の内壁で半端な崩落のまま凝固した自我が瓦礫の隙間で高笑いをする午前の一瞬、極限まで見開いても目視ままならぬ目と麻痺した鼻腔の捉える嘘、甲状腺の異常の懐 ....
無数の刃は君を切り刻むが、程なく飽きて君を放り出してしまうだろう
君は致命傷こそ受けてはいないが、失血死の危険にさらされている、そのとき
無数の医者が現れて君に様々な治療を施すだろう、君は ....
ホロウ・シカエルボク
(1229)
タイトル
カテゴリ
Point
日付
その傷が疼くために
自由詩
2*
16/10/14 0:32
その光の理由
自由詩
4*
16/10/4 0:20
そうしてこれはまるで降り積もらない火山灰のように
自由詩
0*
16/9/29 1:41
HOLE
自由詩
1*
16/9/27 1:10
ナイト・オブ・ザ・リビングデッド(温か過ぎるけれど)
自由詩
1*
16/9/17 23:50
土曜の朝、手つかずのものはそのまま
自由詩
0*
16/9/17 9:38
愚か者の涙
自由詩
3*
16/8/29 18:16
爆ぜているものは無数にあり、そのなにひとつとして伝言を残し ...
自由詩
2*
16/8/27 0:44
穴開きの胃袋に極限まで詰め込む
自由詩
1*
16/8/14 0:32
それでも店には違いない(誰にでも書ける詩)
自由詩
0
16/7/24 1:25
あの日の夏の蒸発
自由詩
2*
16/7/24 1:13
夜を千切り、張り付ける、呆然とした画用紙の上に。
自由詩
2*
16/7/18 1:06
island
自由詩
2*
16/7/6 18:20
嗜好は変化しない
自由詩
0*
16/6/24 17:36
誰かが降り続ける
自由詩
1*
16/6/20 23:23
yield
自由詩
2*
16/6/7 0:50
「そしていま、最後の曲が消えた」
自由詩
3*
16/5/30 2:18
雨がまといつく
自由詩
1*
16/5/26 0:48
Side by side
自由詩
3*
16/5/21 1:06
ナ・ツ・メ・ロ
自由詩
3*
16/5/18 1:11
いまはそこから立ち去っていくだけの
自由詩
2*
16/5/16 23:06
夜光虫たちの晩餐
自由詩
2*
16/5/11 2:48
夜明け前、記憶の中で明日を
自由詩
10*
16/5/2 0:33
白紙のページには何かを書いておけ、次はそこから始めればいいと ...
自由詩
0
16/4/21 15:32
僕は死に始めた
自由詩
1*
16/4/17 13:46
独白は無責任に(けれど真剣さを持って)
自由詩
1*
16/4/7 1:49
撹拌される真夜中の指向性(望まれるのはイレギュラーバウン ...
自由詩
0+*
16/4/5 22:51
死体の頭を数えて、永らえた今日を。
自由詩
1*
16/3/27 23:18
ランチの時間
自由詩
1*
16/3/26 11:39
放り出された世界の中で着地点を見つけたとき
自由詩
2*
16/3/19 23:09
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