路地裏の、闇雲に積み上げられたコカ・コーラのマークのケースの一番上の段からは内臓に疾患を抱えてそうな誰かの小便のにおいがした、睡魔で朦朧とした頭を手のひらの根元でがつがつと二度小突いて、ノーブラン ....
クラクションはたった一度だった
きみはそれ以上
もうどんな歌をうたうことも出来なかった
雨はうらみごとのように降り
夜は馬鹿みたいに目かくしをした
なにもかも手遅れの明けがたに
残 ....
狂気は茸の胞子のように弾けて、部屋中を漂い、石膏ボードを隠す味気ないベージュの壁紙に羽虫のように止まる、ばらばらの間隔で点在するそいつらは、どこかの阿呆の妄想があれば星座になることだって出来るだろ ....
出鱈目に打たれた杭のような樹木の
日に焼け落ちたカーテンのような枝の隙間で
天使の抜殻が薄曇りの空を透かして濡れている
ヴィデオゲームは明確にエンドを表示するけど
人生ゲームのそれはあまり ....
はぐれた鳥の影を追って帰り道を失う午後、時計屋の入口の上の壁に張り付いたアナログの文字盤は大嘘をついてせせら笑っていた、ハレルヤ、いつもより少しだけ暖かいものだからテレビのキャスターは微笑んで ....
あかりに頼ることなくあらゆるものを見つめようとする気持ちを覚えたのは幾つのころだっただろう?その瞬間のことは決して思い出すことは出来ない、たとえ自分の過去を洗いざらい探ってみたところで、その瞬間を見つ ....
欲望には名前がない、お前は、ガチガチに隆起した生臭い陰茎に幾重もの上等な理性の衣類をかぶせて、空咳みたいな微笑みを顔に張り付かせて表通りを闊歩している、慎重に計算された分だけ良く出来た嘘は真実より ....
俺は、まるでスープの出汁に使う魚の頭みたいにぶつ切りにされたいくつもの見知らぬ人間の死体と一緒に穴の中で横たわっていた、前後の記憶や感覚はまったく失われていて、自分がどうしてそこにそうしているのか ....
もやのたちこめる裏通りを
うす汚れた天使が歩いている
ショック・ロックな服を着て
まるでアリスのダンサーさ
彼女のポケットにはリコリススティックと
ショート・ホープが二箱
滅多 ....
ベルベットの下には
死体からこぼれ落ちる
血液のような
ぬるりとした感触があり
流れている音楽には温度がない
倒れる時のことを思いながら
ステップを踏むバレリーナ
人生は、 ....
いのちは
こころのかたすみで
ふるえながら狂っている
枯れた木が
記憶だけで
まだ水を吸い上げようと
こころみているように
まともなあんたは
ひびわれた ....
1
硬質ガラスの瓦礫、量子力学の悲鳴…空っぽの巨大な培養液のカプセル、デジタルラジオにはノイズの概念がない、なにも拾えない時間には探しすらしない、「信号がない」と、小さなディスプレイに映し出 ....
おれの周辺には
死刑囚の心情みたいな沈黙が堆積していた
それはぱっと見には
湧水のように床から滲み出たもののように見えたが
出処はそこではなく間違いなく余所にあった
マーク・ボランの
....
俺の細胞のひとつひとつには毒素があり、それが血に混じり体内組織を循環することで意味となる、通過した後の内壁は微量の劇薬に炙られたように荒れて、真白い泡を吹き上げる、それは流れに巻き込まれて同じよう ....
ジョディ、おまえが産まれたのは
数十年に一度の月が太陽のように夜空で燃える
八月の終わりの夜だったね
いま、開け放たれた窓から見える月は
あのときのものほどではないがそれでも
やさし ....
そこらへんでいい連中が
そこらへんで手をうって
そこらへんで吹かし続ける
そこらへんの武勇伝
(ブユーデン、ブユーデン、レッツゴー)
誰かに言われた言葉を
誰かに教えられた道を
....
ある曇りの日の朝、公園の隅に穿たれたモグラ穴のようなものの中でおびただしい数の蜂が転がっている、それはみんな死んでいて艶を失くしている、いくつかのものはすでに炭化を始めている、木々の側で―木陰で、 ....
ガラス管のなかに生身をむりやりねじ込まれるみたいな感覚が長いこと続いていた、閉塞感なんて月並みな言葉で話しても良かったがいつだってそんなものに真実を語る力などない…そこら中をうろついてる、在りもののイ ....
殺菌されているような灼熱の中
塞がれてはいないが、とうに朽ちて
忘れられた路の、ひび割れた路面に
おれが求めるうたはいつだって落ちている
摩耗したスニーカーの靴底で、搔き集めながら歩いてゆ ....
20時の路上で韓国タイヤに轢き潰された灰色ネズミが遺言のようにブルース
ショッピングモールの液晶ヴィジョンに映し出された若い殺人犯の既視感
民家の軒先にぶら下がる崩れかかったカラの蜂の巣は
....
時間は腐るほどあった、床に俯せになったままピクリとも動かなくなったそいつの美しい頭髪をひと掴み右手に巻き付けて力を込めてゆっくりと引っ張ると、やがて強情な雑草が抜けるみたいにごっそりと取れた、 ....
すでに枯れ落ちた花のことを
長々と誰が語るだろう
赤茶けた花弁は路上に削られて
瞬く間に塵となるだろう
聖堂から微かに聞こえてくる祈りは
人間以外の何をも救うことは出来ない
言 ....
そんな粗末な寝床にかじりついて
どんな夢を見ようというのだね
おまえは堅実に生きることで
浅ましさを手に入れている
処刑のなされた丘で放置された罪人どもの血が
土に染み込ん ....
1
おれはラウンジに横たわっていた、さながら、廃墟に忍び込んで出口を見失い、そのまま干からびてしまった犬の骨のようだった、ラウンジの日当たりはよく、太陽光は大きな窓から見えるフロアーす ....
古いセメントの欠片からはみ出した鉄筋がねじ切られた肉体からぶら下がる大小さまざまな血管を連想させる白昼夢、うだる暑さの中で皮膚をなぞる汗の温度がそんなイマジネイションに奇妙な実感を加味する、街 ....
古いマンションの空き部屋のような一室におれの生首がびっしりと並べられていた、そいつらはみんな生きていて床の上で首の付け根で座り、血走った目を見開いてなにごとかを叫んでいた、おれははじめそいつらがな ....
俺はゆっくりと落下していた、だがそれはもしかしたらあまりに高くから落ちているので、ゆっくりと落ちているように感じているだけかもしれなかった、全身を包むように猛烈な勢いで吹き抜けている風が、「もしか ....
清く正しく生きようとするやつが気に入らねえ
欲ボケて腹の弛んだ肉玉も気に入らねえ
政治家のケツをブログで突っついてるやつが気に入らねえ
海外ボランティア活動に志願するやつが気に入らねえ
....
毛細血管をノイズが這い回る、無数の羽虫のように…俺の感覚を喰らい尽くそうと目論んでる、二二時の朦朧とした時間―悲鳴には飽きたし、怒りには慣れた、愚痴には興味が無い、まるで水溜りのように俺はそれを放 ....
ふたつの盃が並べられていた
そのひとつには、なみなみと酒が注がれ
もうひとつは、空のままだった
そのそばで男は働き、女は子を生した
男は働き続け、女は育て、子はすくすくと育ち
そうし ....
ホロウ・シカエルボク
(1233)
タイトル
カテゴリ
Point
日付
朝陽のあとで
自由詩
2*
18/3/18 1:20
Fallin
自由詩
2*
18/3/16 2:12
いつだって気づかないところで孵化は続いている
自由詩
0*
18/3/10 23:03
だから君はささやかに赤く光るセンサーに手をかざせばいい
自由詩
3*
18/3/4 13:52
おだやかな道にとどまろうとしたって
自由詩
1*
18/2/26 23:58
もちろん君がそれを誰かから受け取りたくないのならと言うのなら ...
自由詩
2*
18/2/11 22:28
そしてリビングには少しだけ埃が積りはじめている
自由詩
3*
18/1/28 21:54
本当に凝固しているもの
自由詩
1*
18/1/17 23:15
上手く眠れないのならなにかほかのことを
自由詩
2*
17/12/26 22:37
あしもとの小石を拾い上げること
自由詩
2*
17/12/17 6:56
あらゆることが語り尽くされたあとに
自由詩
15*
17/12/1 21:55
記憶がなくなれば永遠になることが出来る
自由詩
3*
17/11/10 21:59
天国を待ちながら、だけどこの身体の居心地もまんざら捨てたもん ...
自由詩
2*
17/10/30 23:57
ブリック・バイ・ブリック
自由詩
2*
17/10/15 21:38
メモリアル・ムーン
自由詩
3*
17/9/30 22:39
ソコラヘン
自由詩
3*
17/9/25 23:43
目論んでいたんだろう―日の当たらない公園の一角で、ずっと。
自由詩
2*
17/9/21 0:31
あらかじめなにかが窒息している
自由詩
3*
17/9/19 0:07
羽音の思惑(かべのなかから)
自由詩
2*
17/9/1 22:24
不愉快な手触りの街
自由詩
1*
17/8/4 22:35
遠い世界の夜
自由詩
1*
17/7/28 21:52
スタンドアローン
自由詩
3*
17/7/24 21:53
試供品の朝
自由詩
2*
17/7/21 0:51
日向の標本
自由詩
1*
17/7/20 22:14
思考は瓦礫の中で
自由詩
1*
17/7/17 22:34
そしてそれはどちらであればよかったのだろう(オリジナル・スー ...
自由詩
2*
17/7/4 6:34
真白な記憶、落下、ああ、二度だけ鳴る。
自由詩
2*
17/6/27 22:25
ヘイト浅漬け
自由詩
5+*
17/6/18 14:47
羽虫の闇
自由詩
2*
17/6/17 22:19
子よ、おまえに歌を教えてあげよう
自由詩
2*
17/6/12 22:52
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