キスしてる画面の隅に冬の蝿
かけそばにネギ多めと大声でいう駅のそば
板わさと酒を仰ぎもり啜る
こくりとした天麩羅蕎麦
安いたぬきに小銭を払う
宵闇に月見そばはよく似合う
鴨南蛮ねぎとのコラボレーショ ....
揺らしたら金平糖の降る聖樹
第九聴く隣の財布は鈴持ちぬ
十二月博徒走りてジャンジャカジャン
涙しか残らない恋でした
躰だけが目当ての偽りでした
恋は涙に反転しました
イトヨリの虹色美しき
脂が誘うサバの文化干し
アジの開きにたまごかけごはん
イワシを購い飯をかきこむ
鮮やかなカツオをさばく母の面影
サンマの煙りに涙する
冬の寒ブ ....
どこまでも吹き抜ける青空
伽羅を焚き明日の夢みる
銀河鉄道どこまで続く
青い青い海のいろ
クリスマス女ばかりの研究所
下町の神社の端にクリスマス
恋愛の輪廻転生クリスマス
たまごかけごはん
納豆のグルグル
香ばしい焼き海苔
煮干しの薫る葱の味噌汁
昨夜に残ったカレー
月見蕎麦
アジの開き
から塩紅鮭
糠漬け
半熟目玉 ....
あの日から何年の時が過ぎたのだろう
記憶の底に在るものをさがす
母の子宮から出る苦しみ
せめて静かに死にたいな
ぼくを骨格標本にしたいと医者がいう
いかなごを煮詰めて命の甘さ知る
岩魚を求め瀧昇るわれ
山に入り帰るわれは蕎麦啜る
帰り来ぬ時計の秒針みつめゆく
横書きの手紙を読みて息を吐く
ねんねこや涙の教えたる理由
ねんねこの子を守りたる闇となる
磯貝の片恋知るや浜千鳥
ねんねこの値札はずして明日フリマ
ねんねこやアンモナイトに戻る前
昨日まで他人のふたり葱鮪汁
冬が来る前に命をためる
あの朝にのぼった鹿ウインナー
熊肉の脂の明るい香り
本鴨南蛮ぼくの大好き
ウサギをケチャップで炒める辛さ
猪肉は乙女にかぎる辛さかな
....
魚を一気に捌く出刃を買いたし
出雲から来る玉鋼
ぶれた魂では持ってはならず
覚悟のうえで脇差帯びる
亡き父の残した柳刃包丁
葱鮪汁啜るふたりはもう他人
愛妻が愛人に出す葱鮪汁
葱鮪鍋血液型の話題から
マネキンと違う体型秋刀魚焼く
妻を走らせおでんを購う
想いで仰ぐ冬の空
哲学書一冊借りて秋刀魚焼く
宝くじ当たった金で秋刀魚買う
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【俳句】季語を含む17音律「5.7.5」の俳句と、その形式を崩した自由律俳句、無季俳句などの俳句作品のみ受け付けます。俳句批評は散文のカテゴリへ。
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