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若き日の。
透明な食卓。
複雑なしぐさで
翼を折る
きみは
月を嚥下するように
食した。
それは
幻想の代償行為としての
夕餉。
ぼくらは
夕明かりに
真っ赤に ....
星飛雄馬のお父さんが
ちゃぶ台をひっくり返したのは
実は
たった1回らしいと
誰かがブログで話してた
怒鳴って
声を荒げて
破壊して
それは新たな怒りを呼んで
そうして
本質は ....
{引用=明け透けな 夜の温度を 手ではかり}
*
{引用=
きょねんのわたしが
さくらのしたでそつぎょうをしているころ
まだはだざむいこうえんのベンチで
あなたは
またはんぶんに ....
時が止まる
そんなことあり得ない
時とはなんですか
葬儀の帰りに思い出し
共同墓地に立ち寄ると
分からないことだらけの人生に
漸く終わりを告げた人たちが
生きてい ....
{引用=
ちいさな野原。白い宇宙。街角の冬。さざめく星空。静寂。月の光。天文台の記憶。
春の方角。夕陽の轍。ぶどうの風。かすかなピアノ。やさしい目。風邪の熱。水蜜桃のゆめ。
向日葵を持つ ....
結婚は雑巾
汚れては洗い
穢れぬようにカビないように
絞り続けて
布はほつれる
愛は悲しみであり
人として
死んでゆかねばならぬ
絶対の孤独の裏返し
孤独と傷の共有
恋は単 ....
あなたを
所有することも
捨て去ることも
できずに
ただ
他愛無いメールを打って
返事が来れば
それで
幸せ
めざましテレビの占いが
なんとなく気になるように
今日 ....
不愉快な言葉を見つけたときに
あなたはどうしますか
食べますか
吐きますか
潰しますか
猫みたいに大切な言葉を
おもちゃにして
爪で引き裂いて
ずたずたにして
面白そうに眺めてか ....
家に帰ろう
そこには
なにもなくても
買ったばかりのソファ
で
ごろん
天井に
幾何模様を
いくつも描く
うまく
伝えられないね
ただ
あなたの存在に
ありがとう ....
勘違いとは
気づいたときに
素直に自分を恥じれるかどうかで
相手のせいにして
怒ってしまったら
負けなんですよ
東北も
梅が咲きだすころで
もう
その前の
微妙な季節に ....
夜明け前の道を
自らの高鳴る鼓動を胸に秘め
歩いていく
川に架けられた橋をわたり
駅の改札を抜けて
無人の列車に乗り込む
腰掛けると
発車を告げるベルがホームに響く ....
ゆくえをさえぎる雲は
散っていきました
春です
昨日までの私はふるえていました
波に洗われる消波ブロックのように
、ふるえていました
風に吹かれる朽ちて傾いた電柱のように
、 ....
この世界は
飴細工みたいだ
はらはらと降りかけた
粉砂糖の重みに
時々 クシャッて
潰れてしまう
なめたら
儚くとろけて
確かに
甘い
悲しいところ
一月前
長い間認知症デイサービスに通っていた
雷造さんが88歳で天に召された
だんだん体が動かなくなり
だんだん独り暗い部屋に置かれる時間が多くなり
ある日ベッドで瞳を閉じて横 ....
母である前に 人です
女である前に 人です
陽子である前に 人です
母という 人です
女という 人です
恵子という 人です
母としての 幸福
女としての 幸福
直美としての 夢 ....
春風にそよぐ{ルビ枝垂桜=しだれざくら}
青空に響く{ルビ鶯=うぐいす}の唄
{ルビ我等=われら}は{ルビ童=わらべ}
肩を並べてさくらを唄う
* 第一詩集「 ....
黒い布が飛んできた
ふわりと落ちて
黙って泣いた
風の吹くのを待ちきれず
騒いで泣いて
踏んづけられて
ずたずたに
黒い布が死んだように
横たわる
風呂敷包みのお姉さん
見ない ....
唐突だけど。
死ぬ真際に何を言おうかっていうのは、だいたい考えてるんだ。この人には、これって感じで。
死はとても唐突で、残酷なものだ。美化する勇気を、自分は持たない。
* * ....
最近しきりに、学生時代の或る失恋を思ひ出す。
彼女は美少女だった。さうして、それをよく自覚してゐた。
「またモデルにスカウトされたよ!」
有り体に言ふと、私は二股を掛けられたのだった。
「 ....
朝起きたらまず、ミューズが履いていた
脱ぎたてのパンツに
甘ったるいブルーベリージャムを塗りたくる
マーガリンでは いけない。
外に出るときには、それをかぶって
誇らしげに「雨に歌えば」 ....
大人になりたくない と
純粋に逃げ続けた頃は通り過ぎ
大人になれない と
不透明な迷路で行き詰まった頃に
私はあなたの詩にえぐられました
初々しさが大切なの
人に対しても世の中 ....
僕の消えていく闇の名前
石炭ボイラーの匂い
江浦路の路面電車が踏みつける
レールの間で腐っていく{ルビ瓜=うり}の皮
入り口だらけの逃げ場所
擦り切れた人民幣
二十五元五角の片道切符
....
さあ
南天
この冬にまだ緑を纏わせて
あなたがいることを知ろう
私が知るあなたというのは
この時節まだ凍てついているはずだが
離れても
違う名を与えられることなどなくて
冷 ....
絵葉書ありがとう
白川郷の秋は色鮮やかに
長閑で穏やかな暮れてゆく
素晴らしい景色です
「観光客が大勢で押し寄せて
バイクを留め置く場所もない」
そんなあなたのお話が
信じられない景 ....
7月のギラツク太陽を浴びて
どこまでもどこまでも
黙々と歩む
草の茂る石ころ道
改修なった下品な川が
白く横たわっている
白い腹に短いパンティ
もうどれくらい歩いただろう ....
ジワジワと心に染み入る
焦燥感
ブツブツ独り言を言ってるような
薄汚れたオヤジには成りたくねぇ
意味不明な奇声を発する狂人
にも成りたくは無い
壁から人が出て来る
天井に赤ん ....
{ルビ香辛料=スパイス}という宇宙なのです
すべてを包括していく宇宙なのです
包み込んでいくのです
溶かし込んでいくのです
カレーに国境はありません
たとえば、カレーまん
インドの ....
あの暗闇は
くらやみではなくて
照らされていない
本当の姿
あの光は
まばゆいのではなくて
その向こうが見えない
闇の別名
くぐり抜けて
会いに行く
降る雨も、雪も
肌で ....
きっとめをつむっているうちに
文字はしずかに
みみのよこを抜けて
みずうみのように
空の低い
やさしい墓地のように
まっさらにひろがってゆく だろう
とうめいなかいだんが ....
夏のたかまりのなかで聴いた
あなたの魂の音は
秋のめざめのように
とても澄んでいた
世界のいちばん深いところで
ゆるされてる
そういう色を
していた
草色のゆめのなかに消えるために ....
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