すべてのおすすめ
見ていられない手つきで
君が包丁をにぎるものだから
僕は目がはなせない
指の皮すれすれで切り出される
それはきっと食べ物なのだろうけど
目を皿にしても
そこにおいしく彩られることは ....
お酒を飲むと
むかしは
食道から火がついたように流れ込み
身体じゅう燃えたようになったのに
いまは
まるで水のよう
そうやって
何杯もやっていると
目が回ってくる
すまし顔じゃい ....
みなみのしまの もりのうえ
あたたかな 雨がふる
みちにまよって 雨やどり
トラの子が ないてる
きいてごらん
ホラ 大きなジャングルの
ホラ 小さなタイガー
くろときいろの ストラ ....
なんでこそくを漢字では姑息と表すのか
それとも姑息が先でこそくと読ましたのか
分からないけど
姑息な結論は止めにして
冷え切った
西瓜を割ることにした
一週間前に
1割引で買 ....
{引用=からだ
すこし熱くして
あなたは
立っていました}
だらしのない
ゆびさきがふれた
ちいさなしぐさで あふれてゆく浴場
朝が来て
また
あさのくる ....
二本のレールはずっと平行線
交わる時は必ず分岐点です
言い訳の出来ない
ダイヤグラムでは
二つの時間だけが時折
交叉していきます
ホームの対岸から差し入れられ
....
夕暮れは
いつまで経ってもやってこなかった
川原に揺れる黄色は
菜の花のようにも見えたが
菜の花でないことはわかっていた
季節は秋
それでも遠目から見た黄色は
何となく春を思い出 ....
いくじなしです
ぼくはいくじなしです
あなたへの想いに
両手も
ポケットも
鞄も
引き出しも
ロッカーも
口の中まで
いっぱいだというのに
....
つぶやいた名が深く響く
空は{ルビ鈍色=にびいろ}をして時を孕む
いらっしゃい必然的本体
欲する無欲が降ってくる
浴びる黒髪
月光のもとの
涙する獣道で
懐かしく鋭い爪が轟く
....
エメラルドグリーンの
カーテン越しに
月におやすみ
泣いていた瞳は
滲んだ月ヘ飛ぶ
アイボリーの日記を閉じて
埋葬される文字たち
お別れの祈り
余白から文字を
包み込む
宝 ....
この石の下に 眠るのですね
ぽつぽつと彼岸花の咲く
砂利道を踏んで
手桶の水を さらさらと流し
小菊の黄色を飾ります
あなたの故郷は 砂を巻き上げる海風と雪
帰り道 杉林 ....
透過傾向にある
あこがれを{ルビ禁=いさ}めて
風と{ルビ心中=しんじゅう}
(危うげに傾倒する風脈)
距離は
あこがれを侵食するのか
もう発生です
雨天決行よしなに
風はどちらか ....
朝の空気は
ひんやりとして
あたらしいいのちを
送りだす
遠くから聴こえる
鳥の声に
遠くで暮らす
母の足音
滲んでる
{引用=耳を澄ます}
朝の空気は
瑞々しくて
白から ....
わたのある夏の日の
火の粉とともに
野原の蒸気は渦をまく。
ぼくらは真赤です。
麦畑をすぎる
風になまえがあるように
瞬きもまた瞳。
ぼくらは真赤です。
さいきん
私をみつけます
なまいきで
じょうだんみたいな手足で
おもたいランドセルをゆらしてる
あなた
胸のまんなかのスイッチは
押したら たぶん
おたがいへんな音が出る
だ ....
あなたとだから
おんなのこどうし
わたしたちの休日
オンナでいるのも楽しいけど
あなたといると
片思いが趣味だったころの
おんなのこ
に戻りたくなる
ガーベラはピンク
ケーキ ....
{引用=思い浮かべるは深い森
私の湖がある
花びらが舞う
夜露に湿る
声に響きになって
私はほどけてゆく}
オモイ ハ コエノ ヒビキ ト ナッテ
ホシ ....
触れ合うためにあるものを
手、と呼ぶのなら
私はいらない
私には
ない
たそがれは穏やかに
その時を待つ
眠れない暗闇と静寂は
心を熟すのではなく
怯えさせるのでもなく
た ....
君も
同じ夢をみたのかい
思い過ごしなら
私に空を見上げることを
させないで
紫の酒を
ソーダで飲むような
甘くて痛い酔いのまま
次の月の晩
ふたりのそれが
正夢になる ....
朝起きたら愛が消えてなくなっていました
ヘリウムが
知らずに抜けた風船 みたいに
わたしは気の抜けた
あくびをします
あの日
黒猫が背中
狂おしく逆立てて
そ ....
飛べないから
ビブラートがかかった
針金の先
ステンレスの廊下
突き当りを見失った
憤死している僕の恋人
片付けられることのない夕食
まだ支度されてないリビングで
共同の指先が
光源 ....
駅前の歩道橋の上で
8歳年上のあなたの唇に
指でそっと触れて
すっと横に動かしてみる
黒ぶちの眼鏡の奥の
あなたの瞳が
一瞬困ったような
そんな風に笑ったように見えた
私の髪を ....
わたしは
ここから地上を見ている
大気で霞む昼にも
誰かが見つけてくれる
よく見れば味気ない天体であるのに
そんなに想うのは
わたしが最後の衛星だから
振り返らない
嘘の顔
嘘の ....
白い月が
秋夜に はためく
この道は いつか
きた道
稲穂の
先に光りは
灯り
実る
真白き
宝石
かんで
川下り
柳の木
彼方がつくった
伽 ....
この風邪薬で
少し楽になった気がするから
この風邪薬にあう
風邪をひいたんだろう
という考えもある
どうせなら
高熱に浮かされて
溺れた人のように
夢と現の境に
漂っていたい気が ....
今日こそはと待っていても
やっぱり届かない
あなたからのメール
けっして
がっかりしたりはしない
楽しみが明日に延びただけ
こうやって
日々を重ねてゆけば
いつのまにか
心痛 ....
お母さんがいます。
お父さんがいます。
兄が一人、妹が二人。
おじいちゃんも元気です。
おばあちゃんは私の心に生きています。
旦那がいます。
息子がいます。
友達 ....
朱色の雲が
いまだ蒼さの残る空に
虹を想わせる
嗚呼
今日は
こんなにも惜しく思う夕刻の空
地を這い回っていない時
君と見られたらよかった
飛んでいけるだろう
その色の中に溶けて ....
少女は
朝が嫌い
目を覚ますと
いつも
知らない町に
置きざりにされた
気持ちになるから
少女は
朝日が嫌い
朝日は
いつも
こんなにも
世界を歪ま ....
{引用=
七色は 古来より咲かせて
はせりを いふなり
今は まだ
蒼いにもそまりぬ
花いちもんめ
2005.6.23"ひとりごと"より
}
1 2 3 4 5 6 7