川原にて
LEO

夕暮れは
いつまで経ってもやってこなかった

川原に揺れる黄色は
菜の花のようにも見えたが
菜の花でないことはわかっていた
季節は秋

それでも遠目から見た黄色は
何となく春を思い出させた
「おだやかな‥やわらかさ‥やさしく‥あたたかい」
肌に触れた温度が同じだったのだろうか


湿気まじりの風が遠退いていく
鼻先に匂いはとどまって
落ち葉、枯れ草、土くれの‥


春の夕暮れと
秋の夕暮れは違う
と、感じるようになったのは
いつの頃からだろう
匂いが‥
温度が‥
感情が‥
経験が‥
記憶が‥
違うと感じさせるのか




夕暮れは
いつまで経ってもやってこなかった



かわりに雨が‥
石畳にぽつぽつと
結髪にぽつぽつと

言葉もないままに
雨が降りてきた



未詩・独白 川原にて Copyright LEO 2005-10-17 22:38:53
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