年を重ねることではなく
生きることへの
笑顔にすむ
哀しげなしわ
触れれば
暖かな
てのひらから
伝わる
重み
ありがとうを繰り返す
私はもっと綺麗なこえで
さえずりたい ....
流木が燃えている
岸のかたちに沿い
浮かぶように燃えている
遠い夜のかまきり
終わらない光を狩り
たたずむひとつの魂を照らす
たどりつけない梢の火が
月の左 ....
肩まで のびた髪を
指で とかすと
しずかな 波 の音が する
黒い
隙間 に
あお しろく
ほどけた 心は
ちいさな蝶
のぼり
はためく
海へ
....
とおくから まよなか が くる
いとまき あなた の きら の なか
せんの とおり を こえましょか
とおいひび まよなか が なく
からくり あなた の ゆめ の くち
せん ....
なつくさを
くさかりしながら
じぶんのこころも
ちょっとかりこんで
さわさわと整える
刈ったぶぶんは
お日様に干して
お月様の光も吸わせて
冬に着るふと ....
紫陽花を見て
死のうとしていた
そんな時
僕は君に会った
君は悲しみをしっていて
苦しみも知っていて
僕と同じだった
月日は流れて
紫陽花を思い ....
八月
がくる。別れの季節
を知らないままに。
二度と醒めない夢
を夢見ながら、二度と終わらないおはなし
のまんなかにいる。
失われたひと
によってうたわれた歌
を、誰
にも知られない ....
おばあさん たべねば だめだ
見舞いにきた人が
そう 励ましてから
おばあさんの 体調は悪化した
食べれねぐなったがら もうだめだ
と 急に思いつめたらしい
看護婦さんがみかね ....
荒木さんが
すっぽんが獲れたから
食べにおいでよ
と言うから
友達誘って
焼酎抱えて
出かけていった
すっぽんは
みごとに捌かれ
くつくつと
鍋の中でうまそうなすき焼き風味で
....
金魚鉢かすめる涼風の行方知ってか知らずか手招きの夏
逝く春の背中押しつつ背中からはじまるアブラゼミの{ルビ時間=いのち}よ
きみがたわむれてた波ならひとすくい両手ですくって ....
こんにちは
おはようございます
こんばんは
みしらぬひとが
あたりまえのように
あいさつをかわす
みしらぬかぜが
みしらぬひかりが
あたりまえのように
あいさつをかわす
....
まめのこ は
ぽくぽく
つち の おうち
で ゆめみてる
どうなるのかな
しろい おうちには
みんな と いっしょ
おおきなて
に つかまれて いまは
ひとり ....
いじわるな 雨
知らずに傘を 忘れて
舗道を 行く
少し 寒いのも
寄り添う 薄い 雲に
心 写して
宿る 屋根
捜しながらも
走らない
身体の熱が
冷たい粒の ....
曖昧にしたまま置き去りにするうちに
多くは忘れられてしまうから
忘れられたものと結びつく他のことまで
曖昧になってしまうんだ
あいまいみーまいん
私は私の私を私のものとすることができない ....
おふとんのうえ
ごろん、とだいのじ
そのきもちよさで
のばした ゆびさきに
うちゅうがちょっこっと
ふれてる
めをとじると
おほしさまの
ちかちかが
まぶたを
とおりすぎていって
....
種もつ闇の
ちらかる 真昼
夜から じっと
はりめぐらせた
たんたん ひとつぶ あまい 夢
たんとん ひとなみ ふるい 風
かすれた なきごえ
かみきる したあご
....
それは
いまにもきえいりそうに
ふわふわと
ぼくらのまえにあらわれ
ながれにおち
みずいろにひかりながら
ながされていったけれど
あのひ
だれにしられることもなく
ひ ....
ものほしざおに
おばあちゃんがおふとんをほしてくれた
ぺしぺし ぺし
いきおいよくたたいていると
だめだよーおって
おばあちゃんは
ひょうめんをぱたぱたはらった
でも だって
こん ....
となりで
しばふにねころんだひろこちゃんが
りょうてをそらにのばして
ぐー ぱー
をくりかえした
おいしそうなくもが
ながれている
わたしあのへんかなあ
せのたかいきの
てっぺん ....
埃を振り払う
ような、仕草で
無駄に積もった言葉を落とす
指先でそっと拭き取れるくらいの
そんなくらいでも、涙に変わってしまったりする
流星のようなさよならで
ほんの一瞬で暖かいくらい ....
といかけのない
こたえをさがして
きょうも
なみうちぎわを
あるいています
あしもとを
ころがってゆく
ことばたちが
ちいさなきずを
つけてゆくのです
ちょっとした
じこ ....
がっこうからかえると
おかあさんのからだがばらばらになって
いえじゅうにちらばっていた
あわてて
ぜんぶかきあつめて
しんちょうにくみたてると
とりあえず
おかあさんみたいなかたちに ....
そうやって夜は沈み
盲目のあなたは歩くこともできず
杖を探して這い回るのです
まぶたを透かす希望に
わずかなぬくもりを感じると
胸の奥に溜め込んで満ちるのを待つ
狂いそうな ....
開放されない夜
こんなにも悲しみは
不快な落下を求めて
その瞬間を嘆くことさえ許さない
形を維持できない感情は
なめらかに体をすり抜ける
闇を潜めて光彩に垂れた
....
じぶん かってな ゆめをみて
あけっぱなしに していた ひきだしは
かたかた とじることも あけきることも できない
ときおり ほかの ひきだしを
あけっぱなしに してみるけど
あた ....
おうちへかえろう
ゆっくりかえろうよ
くしゃくしゃになってさ
めちゃめちゃになってさ
ぺにょぺにょの
くにゃくにゃになって
ああ
もう いやだなっておもったら
おうちへかえ ....
じーちゃんは 耳が遠い
ばーちゃんは 歯がなくて発音が悪い
二人の会話は
何度も聞き直し
何度も言い直し
互いの顔を
くっつけるように近づいて
可愛らしくて
仲がいい
ばーち ....
右手を軽く握って手首を曲げます
そしてそのまま右耳のそばへ
もしできるなら
左足で首のつけねを掻いてみましょう
気持ちいいです
陽だまりでぐてーっとなって
幸せそうな表情を浮かべま ....
チワワを探しているのですが
と言ったぼくの前に
店の奥から男が出てきたかと思うと
一礼しろだの
かしわ手を二回だの
今度は二礼しろだの
と散々うるさくつきまとうので
チワワを探しているの ....
いつでも喉を潤すのは固定された
焼酎と烏龍茶のありきたりなコラボレーション
生み出されるのは十人に一人は注文して
「オヤジ、オヤジ」と騒がれるウーロンハイ
甘ったるいカクテルとか
お洒落 ....
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