すべてのおすすめ
透きとおる真昼に
日常が、消えていく
八月に買った青いびいどろは
もう割れた
観覧車に乗りたいと言ったのは
あのひとのほうだった
てっぺんに着いても
世界はちっとも見えなくて ....
金魚鉢かすめる涼風の行方知ってか知らずか手招きの夏
逝く春の背中押しつつ背中からはじまるアブラゼミの{ルビ時間=いのち}よ
きみがたわむれてた波ならひとすくい両手ですくって ....
チワワを探しているのですが
と言ったぼくの前に
店の奥から男が出てきたかと思うと
一礼しろだの
かしわ手を二回だの
今度は二礼しろだの
と散々うるさくつきまとうので
チワワを探しているの ....
きみ
図鑑にのってるよ
知ってるかい
きみだけじゃない
ぼくも
きみの、
ぼくの、
おとうさんも
おかあさんも
きみの赤ちゃんも
さっき
赤ちゃんの手の甲をペロリとなめた ....
あの日
しゃがんで拾った貝殻は
引き戸の奥
ひしめきあいながら
眠っている。
波に濡らしてしまった、
と泣いた
スカートのすそで
今なお
夕暮れは踊る
あの日
目の前を ....
「水、持ってこいよ。」
シンちゃんが言ったから
公園の入り口にある水飲み場まで
バケツを片手にダッシュ
焼けた砂まみれの腕に
午後の陽射しは痛い
水飲み場につくと
犬を連れたおじ ....
水路に打ちつけた
足
あるいは カラダ
案内いたしましょう。
永遠の少し手前
果てのない海の
目印に
鳥や魚たちの旅は
今この時もなお続いている
なにを目印 ....