こたえ、という
ことばそのものは
とてもかよわいものです
だからといって
あきらめたりはせず
突きつけることもせず
こころは、そう
並んでいけたなら
じゅうぶんだと思います ....
透きとおる真昼に
日常が、消えていく
八月に買った青いびいどろは
もう割れた
観覧車に乗りたいと言ったのは
あのひとのほうだった
てっぺんに着いても
世界はちっとも見えなくて ....
頬を追い越してゆく風と
手招きをするような
まばゆい光
目指すべき方角は一つだと信じて疑わず
出口へと向かって
足を運んでいたつもりだった
不思議だね
振り返ることは敗北では ....
頭の線がからんで
かゆい明日がある
かもしれません
右へならえ
ならえません
今日パソコンを買いました
使い方がまるで
象の鼻みたいに
ふりまわされて
もっとからまって
....
ちいさな
ちいさな
こどものように
すみきった
わがままを
いっぱいにもった
ひとだから
ぼくは
はらはらと
いつも
めがはなせない
だからぼくは
きょうから
かぜになる ....
いつまでも
置き忘れられたような
宿題のような生活だ
いつまでも焦っている
逃げるように眠る
鳩が鳴いている
静かにメスを入れられる時間
過去はえぐりだされた
歌います
感情 ....
僕のカラダには裏山がある
街を自転車で走り抜けて
裏山が虚ろなる音
こだまする
君達とすれちがい
顔が痛い
裏山の木木がざわめく
鈍いろの
横たわる裸の老人
新聞に囲まれて
....
戦争ということばは
ことばでしかないような
そんなおじいちゃんの傷跡は
僕が
大学をでるころ
白と灰のまじった骨になって
それをみたぼくは
その前に
においがきたのだ
骨が炎で焼かれ ....
「本を読みなさい」
その人はそう言って
夕暮れて図書館が閉まるまで
わたしの隣で静かに本を読んでいた
映画を観なさい
音楽を聴き ....
ミッドナイトプレスを
買った帰り道
天王寺駅構内を歩いていると
笑っている人も
うずくまる人も
奇声をはっしている人も
中学生も
しゃべっているおばちゃんも
みんな真剣だなあと思っ ....
よみかけのぺーじに
しおりをはさんだまま
どこかへいってしまった
しょうせつ
つづきなんて
よめなくてもへいき
なはずだった
たいくつになったら
また
べつのほんをかえばいい
....
まなこ に にちりん
もろて に こがらし
つち の かんむり しろ こだち
かぐわし みつ むし
たわわ の やま つき
かぜ の ふところ ....
とうめいないれもののまんなかに
とうめいなこっぷがはりついていて
とうめいなみずでみたされている
いれもののそこには
こっぷからこぼれたみずがたまっていて
いれものをゆすると
ゆらゆら ....
いつまでも
どこまでも
そんなこと
どうでもいいくらい
まっすぐつづく
ぼんやりした
みちしるべ
ぽつり ぽつりと つづく
あぁ、
やわらかな こっかくに ひかる
....
さざ波がなみだのように
打ち寄せては 返ってゆく
裸足の少女が想っていると
両の手のひらに
まるい硝子瓶が生まれた
涼風に
前髪を撫ぜられ
足首をくすぐられ
ようやく 頷いて
....
足を
風がなでる
しばらく眠っていた
永遠に近い
あなたはいない
すいこまれるみたいに
街は
夕から闇へ
日が早くなった
当たり前のこと
おどろき
もう暑くなくなる
....
いきなり走り出した。
何かに急き立てられ、
何かの使命を感じたように
走り出した。
口は一文字、
歯をくいしばり、
鼻ん穴 おっぴろげて、
目をつり上げて、
走った、
走った、
....
さくら かんざし
あかねの 鼻緒
ねむりの いわおに
腰かけ
仰ぐ
ちり ち り りん
金魚の尾ひれが
風鈴を蹴る
ちり ち り りん
黄色の帯と
左手
....
このはたけは
えいようが
すくないので
なにをうえても
ちっともそだちません
やさいなんて
みんな
やせっぽちで
とても
たべられるしろものじゃ
ありません
ことしこそは
....
おおつぶのあめが
じめんをたたきつづけた
ふくもずぼんも
びしょぬれになって
くつぞこが
ぺしょぺしょきもちわるかった
かみやあごから
すいてきがしたたって
みずたまりにのまれてし ....
昔の知り合いから電話があって
ちょっと帰ってこないかって
ナンデって聞いたら
亀ちゃんが死んだよって
久しぶりに海に下りた
なんにでもなれるような気がして
なんにもなれないジレンマ感じ ....
悲しみをだっこして
もう ねんね ねんねよ
そう
ねんねなのよ
あなたの記憶
あたしの あい
そうよ そう
もう
ねんね ねんねしな
....
夜店で釣ってきた金魚を庭先で
バケツに放して
しゃがんで
じっと見入る
窓からのあかり
空からのあかり
遠くに響く祭り囃子
黒い自分の影
しゃがんで見ている子供の私
その一点の風 ....
かわらの
さいくりんぐろーどを
ぺだるをこいで
ゆっくり
はしりつづけた
いいんだよ
むりしなくたって
あのときくれた
ことばを
つぶやきながら
はしりつづけた
いぬをつれた ....
ベッドの上に横たわり
胸の上で組まれた手が
呼吸に合わせて上下する
その規則的な動きを凝視し
眼を逸らすことが出来ない
肉厚のごろんとした手は
ずいぶん年老いてしまった
額の皺も ....
許される時知らず
流れ着く場所知らず
其の手の瓦礫
其の血の痛み
乗せたまま
時を越え
流れつづける浮船の
哀しみ
えにかいたように
みごとにころんだ
あたまのうしろで
ものすごいおとがして
なにがなんだか
わからなくて
だいのじになって
ぽろぽろなみだがながれて
たいようのまわりの
にじいろ ....
ちっちゃい鯨ね
ぼくの絵日記をみて母が言った
海色の夏休み
まちの博物館の
部屋いっぱいに展示された鯨の骨を
ぼくたちは見上げながらスケッチした
せんせい、鯨も夢をみますか ....
じめんにぶつけて
かどをおとし
いわにこすりつけて
かたちをととのえ
すなでみがいて
ひょうめんをならし
どろでこすると
やっとぴかぴかになった
さっそく
むねのおくにしまって
....
きらきらした
しずくが
そらからおちてきて
てをのばしても
とどかずに
じめんで
ぱちん
とはじけました
どうして
もっとはやくに
きづかなかったんだろう
もうにどと
うけ ....
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