花のいのち
月乃助


 たわむほどに忍ぶ
ユリの葉は、こらえきれず
重き玉露を 弾いてみせた


 その 砕ける音を
耳にしたような気がしたのです


 千夜の しののめ
いさめらしきものを知りました


 心をきめ 儀式の
漆黒のネクタイに
同じ色の喪服を身にまとう


 求めるのは、
嬰児みどりごがおさまるほどの ひつぎのみ
支配する心にやどる もろもろの憎しみを埋葬する


 憎しみは、けしておぞましきものでなく、


 心のうちに芽吹く それは、
黒ユリの完璧さ が、ため
いたずらに人を魅するのでしょう


 許しを請い 憎しみの命をたつ
命をたつために
殺したいほどの人を 許す


 なえばむ憎しみに
ユリは、来し方の 純白の美しさを


とりもどした






自由詩 花のいのち Copyright 月乃助 2013-06-14 19:49:43
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