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わたしの身体は三日月の野原です
このなだらかなカーブは
どのみち受け入れるための
情報を得る手段であり
触角のようなものです
屹立と振動が描く
幾重にも連なる波状のはしっこを
数千億もあ ....
すきとおる泪が
青い洞門をすべり落ちる
あなたほど自然に私をさとすものはない
美しく象形した蚕の吐糸がやさしく肌を包む
あなたは私を裸にせず裸にする
新しい息吹は真珠となり
このく ....
行ってらっしゃい、気をつけて
静かな朝の洗面所
ちっぽけなスペースに
無造作な歯ブラシ5本の安堵感
本日も良好、我が家は ....
ラクダと探偵が恋に落ちた
ふたりは愛情を育んだが
所詮は偶蹄目と霊長目の許されぬ仲
お別れの日探偵は
沈むことのない夕日をプレゼントした
ラクダは泣き疲れ
二つのこぶをなくし
変 ....
今日という日は二度と来ない
あなたと会うとき
いつも思ってた
繋いだ手のぬくもりも
あなたの微笑みも
まったく同じじゃなかった
四角い小さな窓から
最 ....
土砂降りの雨の
雨粒をあつめて
白く輝く石にしてあげるよ
それが
僕から君への最後のプレゼント
あの店で
君の友達の紹介で会った
初めてなのに
意気 ....
僕らが歩き出す衝動は
希望なのかもしれない
その過程でいくつかの
意味のようなものを口に含むけれど
次々と廃棄しなければならない
進めば進むほど薄くなるものを感じながら
やがて一番 ....
てとらぽっとは海につながれて
夕日が燃えて琥珀に変わるのを
見ていた
さよなら
さよなら
さよなら
夏
駆け足で過ぎようとしている夏の
スカートの裾 ....
空が割れて
夏で満たされたプールで
泳いでいる
さかなのアンテナで
誰とも触れることなく、すり抜けて
泳いでいる
すれちがう誰もさようならをうたわない
体の中心がどこなのか
わ ....
降りそそぐ雨に濡れた道の上
白々と曇る空を{ルビ仰向=あおむ}けでみつめる
一匹の{ルビ蝉=せみ}
七日間の命を一心に鳴き続けた
体はすでに白く{ルビ濁=にご}りはじめ
六本の細足は宙に ....
16歳。
もう16歳。
なのに頭は子供以下
自分が欲しいものを手に入れたくてダダをこねているならまだ子供だなぁですむ。
....
月の欠片を集めて
ブレスレットを作りたい
あなたのために
愛しくて
夢に見て
口では言えなくて
風に託す
人を愛することが出来ないのは
寂し ....
生きていくのだ
ブルゾンに袖をとおして
ショップの店員が
ボタンを掛け違えたまま
しめやかに執り行われます
本日の埋葬
自分しか見当たらない台所で
悲しみの真似事をするのは止めに ....
幼い日々
などというものは
これまでも
これからも
全く変わりありませんので
特筆いたしません
或るときから
うたに喜ぶようになって
泳法はままならずとも
流れゆく日々 ....
金八先生の股下が
あと3センチ長かったら
どことなく銀八先生
101回のプロポーズが
あと3ミリ男前だったら
がんばって91回のプロポーズ
かっこうよさの
遥か遠 ....
矛盾した水槽の住人は
矛盾した椅子に腰をかけ
矛盾したテーブルにクロスをかけ
矛盾したグラスで
矛盾したワインを飲む
矛盾した水槽の住人は
毎日が矛盾しているから
その矛盾し ....
許される時知らず
流れ着く場所知らず
其の手の瓦礫
其の血の痛み
乗せたまま
時を越え
流れつづける浮船の
哀しみ
悲しげな横顔を今も思い出す
雨の日も晴れの日も
切なくて
悲しくて
愛しくて
届かない
想い出は
もう
葬ってしまおう
墓標は白いユリの花 ....
海に行く
護岸の上でいつものように
体操をしているおじさんと挨拶する
釣り糸を垂れる
魚が一匹釣れる
魚を一匹殺す
やがて日が暮れたので帰宅する
途中おじさんはもういない
今日 ....
金魚鉢に
南は燃えうつるか
わたしは見ている
溶けない黒出目金の生体
燃えない色彩の存在を
本当は願っている
願いながら
燃える南に金魚鉢を晒す
晒しながら ....
私は風鈴
あなたが風を送ってくれると
綺麗な音色がするでしょう
あなたの心はなごみますか
あなたが風を送ってくれないと
私は鳴りません
はるか昔
あな ....
呼ばれていく
わたしの行く場所は
今はもうない
小さな平屋の家
家々の裏をすり抜けるように駆け抜け
小さなコンクリートの階段を上がると
カラカラと音がするサッシの引き戸
薄いガラスが嵌め ....
明日がある
と貴方が言ったので
私はすこしだけ淋しかった
いつだっけ
明日がどこにあるの
と尋ねたら
東北東
と答えたのよね
貴方は
どこからくるのか知らないけれど
明日は ....
わたしがむやみに数えるものだから
蛍はすべていってしまった
わたしが思い出せるものは
ひとつ
ふたつ
と
美しい光
いつつ
むっつ
と
美しい光
けれどもそこ ....
容赦ない夏の
どこかの軒下で
わずかな風を拾い集め
リンと鳴ったところで
気休めなのだろうけれど
気休めに救われる
瞬間もある
声にならない声が
遠くから鳴り ....
日記は忘れています
かつて
誰かの小鳥であったことを
目を瞑ると
まぶたの中で風景が裏返る
人は皆
空の切れ端でした
雨がしとど降る夕方にさえ
その図書館は
虹のなないろよりも多くの色彩にあふれているのでした
花はバラ色
空は空色
木々は緑
図書館に住む少女たちは
童話の勇気ある少女のように
....
私の
家の裏には
杉林があって
その向こうには
すこしばかりの空があって
夏になれば
蝉時雨が満面に鳴り響いているのです
しばらくそれを
みつめていると蝉の声が深く
静かに命を説いて ....
もう着古した服みたい
わたしのからだ
アイロンかけたり
クリーニングに出したりして
どうにか綻びを繕って
お出かけに着ていくの
どこへ行くにも
着ていくの
サプリメント
ダイエット
....
髪の乱れを気になさるな。
血濡れた衣も気になさるな。
そなたは美しゅうござります。
この身はすでに腐り果て
ところどころに穴ひらき
覗く腐肉に蛆が這い。
しかあれど
まなこはかっと見 ....
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