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微笑みの匂いがする最後の頁を
めくるかのように
僕が女を忘れたころ
女はいつもと同じ場所で
いつもと同じ歌を
歌っていたそうだ
未明
人も車も動き出さない冷たい駐車場
空を見失 ....
モーニング
レズビアンは美しいか
旭があたる
アウトデッキで
珈琲を飲んでいる
リーモーガン
JAZZをきかなくなってから
久しい
....
手のひらの中に 石がある
握りこぶしに 隠れちゃったよ
指の隙間から飛び出しそう
なので
ぎゅっ て
したら
胸の中 なんだか 苦しいよって
これも 愛かな?
紅の 木の葉を一枚 拾った
数分後
とぎれ とぎれの坂道の片端は 黄色に染まっていた
この先に かわらない夏の想い出を忍ばせて なんて
知ってか 知らずか
1. 父
自分で名前をつけたくせに
なんで
わたしの名前も
呼べないの
笑いながら尋ねると父は
つられて笑うのです
真剣に
それから、突然
他人でさえ覚えているのに
と言っ ....
一時間に一本だけの電車の中で居眠りをしてみると
回想の中で自分の自分に逢えるので
もう一度と思ってみても
一時間に一本なものだから
すごく困ってしまう
ぼくらは、たまに
どうしよう ....
ブラジルサントスの珈琲は飲む人の注意力を増し
キリマンジャロだかブルマンだかは飲む人をリラックスさせるのだそうで
でもそんなことどうでもいいなカフェインが欲しいだけだよと
夜九時半の駅前ローソン ....
昨日を映す鏡がある。
鏡の中の私は
コーヒーカップ片手に
煙草をくゆらしている。
煙草の煙が文字を描く。
危険
と読める。
昨日の私はいらただしげに
カップを持っていない方の手で
空 ....
教室でふいに
かかりっきり
になってしまう先生
背後で
好き勝手する
魚を食べたり
それを戻したり
さらに並べたり
する
駅や図書館には
変な音を出す人が
いっぱいいて
そ ....
子供らがそらを指さして騒いでる
何事かと思いぼくもそらを見る
この角度でそらを眺めるのは
ずいぶんと久しぶりだ
見慣れたビルの屋上付近は
見慣れない広告でひしめいている
そのすき間ほどのま ....
1.もたげる
朝が来たのか夜が来たのか、わからないとにかく太陽が窓に貼られたらわたしは、起きなければならないわたしは。ワッペンは太陽の形をしているかワッペンは太陽の形をしていなければだめだワッペン ....
ザーザー振りの雨の中
あたしあなたの事を待ち続けた
2度と来ないあなたを
あれは1年前の梅雨の時期
あたしが電話で怒っちゃって
あなたはあたしのご機嫌直すために
雨が降る駅前で待ち合わ ....
十五年ぶりに
山辺の路を歩く
あのときは誰と歩いたっけ
いくつもの寺や神社で
いくかのお願いをしながら
あのときは誰と
箸墓の謂れを読んでいるころから
みぞお ....
朽ち果てた夜行列車の寝台に
寝転んで星空を見ている
至るところが錆びていて
天井屋根はぬけたまま
よじ登る君はそのまま戻らない
仲間たちもどらない
まるで夜だ
屋根裏部屋で見 ....
夏の初めの宴会は
私の手の届かないところで始まる
少し水を含んだ粘膜が柔らかく糸を引き始めて
まだ湧いたばかりの入道の行方を
飛ぶ鳥だけが追いかける事が出来る
遅咲きの妹は去年の春に熟れ ....
彼のように空を飛べたら
あたしは泣かずに済むのだろう
そして抱きしめられたら
ヒドク涙を流してしまうだろう
心はいつでも鳥でいたい
体はいつも鳥かごの中にいるから
あたしはいつでも自由 ....
安心できる人に出会ったので、
すこし、うれしい。
あなたが今おもったような意味ではなくて。
私はその人を放っておける。
ほっといても心配しなくていい。
私がバカげたことをしても、きっと
....
きみがしあわせかなんて
ぼくはわかんない
なんかいわらっても
それはそれかも
しれないし
きみがしあわせかなんて
きみにもわかんない
ゆめのいいとこで
めがさめたり ....
赤ん坊の頬をなぜるように
水蜜桃の皮をむいていく
あなたの指が
汁にまみれて
窓から差し込む光に包まれている
甘い水が
赤ん坊の膚のような
産毛の柔らかい皮をはぐたび
したたる
した ....
納豆をかき混ぜながらきみは
深夜まで見続けた同じ映像に目が釘付けで
醤油とって、と差し出す手に
マヨネーズを渡したとしても
きっと気づかないことでしょう
ときおり
あっ、とか
....
おれが人間味を失いはじめる
二日月の一日
おれは昼行性のホモ・サピエンスらしく
眠ろうと試みている
もうすぐ明け方になるらしい
九月なかば
エアコンのない部屋は
こんな時間にもまだま ....
しりきれとんぼの君に
まる
いつもあたらしいおもちゃの方を向いて
振り向くこともなく
ぽいと捨てられた君のおもちゃに
まる
おけらの君にまる
最初の意気込みと
投げ出す言い訳の愛し ....
いつも君はメールの最後に「愛してる」「すき」と書いてくれる
でも その言葉は君の本当の気持ちなのか
一体どれを信じればいいの?
書いたり言ったりするのは簡単だけど
あたしは本当 ....
距離を守って下さい
噛み砕くために固い葉を望む
一字違いの日々です
ミルクのような牛乳を
もう一杯ください
欲しいのです牧場のように
強烈に踊りだしたくなるほど
こぼしますから
....
どこかで落下する
果物の感傷のなかで
頭痛がするすると昇ってゆき
遂にまくらだけを欲するくらい布団のなか
ぼくら季節から逃れた羊たちのように
こんばんわを言い続けてる
床の上からゆっくりと ....
二時間待たされたあげく
僕はタクシーの助手席に通された
運転席の医者がちらりと僕のお腹を見ながら
おめでたですね、と言う
何か心あたりは?
そういえば確かに最近酸っぱいものの数ばかり ....
私の身体はやわらかい、
私の身体に剛い毛は生えない、
私の頬は滑らかで、
私の胸は満月の丸さ、
私の下腹には毎月ひとつの卵が生まれ、
そして死ぬ。
音もなく霜の降りる夜半、 ....
大きかったジャングルジム
一番上までのぼり下を見渡し
優越感に浸ってた
三十円の小さいジュース
たくさん買ってジョッキに注ぎ
一気に飲み干すのが快感だった
ダンボールでつくった秘密 ....
二人が結婚したのは数分前
夏に雪が降ったのは二ヶ月前
春にひまわりが咲いたのは一年前
雲がわたがしになったのは十年前
私は描く
そうなって欲しいと思うから
さっき何となく星が見たくて外に出ました曇りなので星は見えま
せんでした街灯ばかりがあかるい淋しい夜です何がしたかったの
かわからなくなって家に戻りました家の中は静かなようでいてじ
つはいろ ....
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