憎しみは
分かち合うことを拒む
吊るされた人影
すぐさま照り返され
いくつもの道を選び損ねる
大きな水たまり

憎しみは転がり
転がっていることさえも
空隙の中に遺失する ....
子供の頃、森に捨ててきた犬が
数十年かけて戻ってくる
窓の外で鳴いている
ここをあけてくれよう
あけてやらない
もし窓を開けたが最後
わたしのほうが犬になって
寂しい荒野をさまようことに ....
一人、また一人と降りて行き
電車の中は広くなった
小刻みな揺れに運ばれながら
私は左手を弄んでいる

親指と人差し指を擦る
昨日の君を覚えている
けれど輪郭を掴もうとすると
霧のように ....
横になって居眠りしていると
コオロギがひりひりと鳴いている
その音を聞いていると
白いシャツ一枚では肌寒くなってくる

真っ暗な外の闇に
確かに広がる草むらは
夏に汗をかきすぎて
少し ....
怪獣がすきだった

一生懸命に敗北へと向かう
その信念がすきだった

破壊される街も
逃げ惑う住民も
どうせフィクションだから
心配には及ばない

それなのに
怪獣の優勢が劣 ....
太陽から逃げ
砂漠に夜が満ちる

疲れて眠る黒髪を
オアシスの女たちが
優しく梳き解いていく

男たちは横になったまま
闇を見つめて
その音を聞く

唇に夜気がふれ
女たちの頬 ....
わたしは
ノスタルジーだけでは詩はかけない
安易なイメージだけでは詩にならない
安易なイメージは、現実のなかにはないことが多い

詩を書くときはいつも、おし込めた思いが、わたしを食い破ろうと ....
逆巻き川に架けられた橋は
何度も落とされて
現在は意匠もない

上る魚も流れのせいで
脂が落ちて旨くない

星の落下点からそう遠くない
この村は
深い霧が名物で
名うての狩人たちが ....
誰も住んでない荒れた庭の
梅の木の下にしゃがんで実を拾った
洗ってヘタをとって凍らせて
たっぷり一年梅づくしだった

味をしめた私たちは
今年も荒れた軒先に座って
梅の実が落ちるのを待っ ....
この先には 庭があり
庭の先には 塀があり
塀の先には 道があり
道の先には 川があり
川の先には 海があり
海の先には 浜があり
浜の先には 道がある

この先には なにもかも
 ....
きのうの
夜が
いっこうに明けないので

けげんに思った
俺は
はっと気づいて
かろうじて

きょうの朝に
飛び移った

ゆれるゴンドラから
ゆれるゴンドラに
飛び移るよう ....
人が奥歯を噛み締める時はどういう時だろう。
何か重いものを持つ時とか、野球でバットを振る時とか、一瞬に自分のありたけの力を込める時とか。
もしくは、口に出来ないような怒りに対して耐えるほかない時と ....
明日は嘘しかつかないぞと決めて
枕を抱いた
会社を休んで無人島に行った
波が話しかけてきて椰子の実をくれた
「人と話すのはひさしぶりなんだ」
生まれてから死ぬまでを考えれば
そんな日があっ ....
ミニバンをドライブインに停めた
好きなものを食べなさいと言った
電話してくるからと席を離れ
子供たちを捨てて逃げた

ドアを閉めると大きな音がした
ハンドルを握る手が震えた
もっと離れた ....
国道のショッピングモールに
右折して入る車たち
小さな神社と
むかし何かがあった海

忘れたい人と知らない人が
割れ目から這う
つるくさに
コンクリートを重ね塗りする

ああ
 ....
世の中には
あまりにも分からないことが多すぎて

私には
あまりにも分からないことが多すぎて

私には
経験しなければならないことが多すぎて

経験しなければ分からないことが多すぎて ....
7

列車は一時間遅れで駅に着いた
駅員に辻馬車の手配を頼む

行き先を告げると
あのお屋敷にはもう誰も住んでおりませんが
と御者が問うので

私は構わないと頷き
門の所までで良い ....
神社のない
町に生まれた
墓もない
新しい町に育って
隣り町の友達は
高層マンションから
空き地だらけの町を眺めた
僕らは
歴史のない町に育った
僕らの故郷には
神社がない
僕ら ....
若い女子の親友二人組
あなたたちのおしゃべりは誰の毒にも薬にもならず
その笑顔は野の花のように何物とも親しい
時間をせき止めることも空間を汚すこともなく
お互いだけに通じるユーモア ....
テトリスの長ーい棒が出ないまままた新しい春が来ました 沙漠の果てから次の果てまで
転がすべき風の球体が勢いよく破裂した
対象のない欲望だけが残り
内容のない意志だけが残り
沙漠は砂嵐で荒れ果てていった
そもそもここは人間の戦場
必 ....
顔に張り付く髪の毛を
うっとおしげにかきあげるあなた
その横顔に見とれ
私が霧ならば良いのにと
思う

その霧ならば
うっとおしげにされても
あなたに影響を与えられる存在でいれられる
 ....
ないものを
あることにする

あるものを
ないことにする

私たち姉妹は嘘つきだった

なんでも切れるナイフのように
いつも嘘を手に持っていた姉

風船のように嘘をつき続ける私
 ....
寺院で騒ぎがあったらしい
昨日から兄貴が帰ってこない

女を手引きするだけの簡単な仕事だと
銃を置いたまま出ていった

雨が上がった裏庭で
濡れた望遠鏡が星を落としてる

対岸を覗く ....
朝目覚めても
コーヒーが飲めない日に
貯金箱を壊して
小銭を数える
1円玉の散らばる布団の上で
とうとう俺は自分のために
何もできず
何もできずに寝転がる
自分のためにということが
 ....
この惑星が軌道に乗ったころ
まだ誰も息をしていなかった
宇宙の不思議にため息をつく
子供も老人もまだいなかった
   
幾万年こえ私は日々の営みの
合間にふとため息をつく、
かつてあなた ....
豚玉一枚でお腹いっぱいになってしまうのに
どうして君はいろいろ注文してしまうんだ
けっきょく僕が無理して食べることになるんだろう
いつからか僕はなにも頼まなくなってしまった

豚玉、モダン、 ....
いつの頃からか
あなたから
心のこもった贈り物をもらっても
私の頭の中のそろばんが
大体いくらぐらいなのかなって
計算してしまって
なあんだ、私の価値は
それぐらいなのねって
思うよう ....
東口から出て
街道沿いにしばらく歩いたところに喫茶店があった
煉瓦製の防空壕のような店だった

バータイムになると円い小さなテーブルやカウンターの上に
高価な猫みたいな目をした店員が
ひと ....
  柄杓の水は
  揺れていた 一つの言葉のように
  だが青い空の深みに俯き
  だが石たちの慎ましい薫りに愕き
  私たちは 黙っていた 私たちは
遙洋さんのおすすめリスト(202)
タイトル 投稿者 カテゴリ Point 日付
憎しみ- 葉leaf自由詩415-10-1
- 春日線香自由詩515-9-29
左手の記憶- 畠中ゆた ...自由詩315-9-24
秋彼岸- 藤山 誠自由詩3*15-9-24
怪獣がすきだった- 千波 一 ...自由詩1315-9-20
月は- mizunomadoka自由詩415-8-30
わたしに書かせるもの- 凍湖(と ...散文(批評 ...515-8-7
- mizunomadoka自由詩315-7-3
ume_plum- mizunomadoka自由詩415-7-3
庭2- はるな自由詩315-6-29
きのうの夜- 浩一自由詩5*15-6-23
夜更けの紙相撲・6月4日むしば予防ディ- そらの珊 ...散文(批評 ...10*15-6-11
whatever- mizunomadoka自由詩715-6-3
Ruth- mizunomadoka自由詩215-6-1
似た町- フユナ自由詩615-5-22
レッツダンス!- 花形新次自由詩215-5-22
987- mizunomadoka自由詩415-5-18
_故郷- 花咲風太 ...自由詩9+15-5-15
女子の親友- 葉leaf自由詩315-5-14
テトリスの長ーい棒が出ないまままた新しい春が来ました- 北大路京 ...短歌415-5-14
過労- 葉leaf自由詩115-5-3
霧雨- 這 いず ...自由詩415-5-3
世界は二度- mizunomadoka自由詩415-4-29
lies- mizunomadoka自由詩215-4-29
人のためにと- 奥畑 梨 ...自由詩6*15-4-12
宇宙のため息- ケルリ自由詩215-4-11
お好み焼き屋- 北大路京 ...自由詩715-4-10
私の頭の中のそろばん- 花形新次自由詩215-4-10
14- きるぷ自由詩315-3-24
柄杓- 草野春心自由詩515-3-21

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