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浅い息の淵をたぐって、人混みのほどけた場所へ、同じハッピに同じサンダル、出場の順番を待って、盆踊りの夜は凍える。アルコールの傾斜を滑り、秩序や光が失われる場所へ、根源的な連帯が訪れる瞬間へと、 ....
浅い息の淵をたぐって、人混みのほどけた場所へ、同じハッピに同じサンダル、出場の順番を待って、盆踊りの夜は凍える。アルコールの傾斜を滑り、秩序や光が失われる場所へ、根源的な連帯が訪れる瞬間へと、 ....
眠りはいずれ海に至る山奥の渓流
眠りが海に至る直前に人は目を覚ます
人は覚醒の光の中におぼれ
眠りは海の中に混じる
眠りは海の中で最も深い眠り
死の眠りとなる
人が眠りとともに ....
鋼鉄の街には鋼鉄の光が降り注ぐ
街路樹の柔らかな緑も
公園のしっとりとした土も
すべて鋼鉄でできている
もちろん電話線を流れるのは
情報と化した鋼鉄であり
行政組織も警察組織も ....
憎しみは
分かち合うことを拒む
吊るされた人影
すぐさま照り返され
いくつもの道を選び損ねる
大きな水たまり
憎しみは転がり
転がっていることさえも
空隙の中に遺失する ....
若い女子の親友二人組
あなたたちのおしゃべりは誰の毒にも薬にもならず
その笑顔は野の花のように何物とも親しい
時間をせき止めることも空間を汚すこともなく
お互いだけに通じるユーモア ....
沙漠の果てから次の果てまで
転がすべき風の球体が勢いよく破裂した
対象のない欲望だけが残り
内容のない意志だけが残り
沙漠は砂嵐で荒れ果てていった
そもそもここは人間の戦場
必 ....
一人一人が
一人一人であることを超えて
一つの波打つ連合となり
一人であることを忘れる
言葉は言葉を呼び
笑いは笑いを呼び
そこに何の抵抗もなく
めまぐるしく連鎖する
四人 ....
全ての色彩から、全ての音響から、全ての芳香から見放され、僕はこの空の沙漠で下界に着地するすべを知らなかった。僕は太陽として余分すぎる存在であり、意味もなく光を放ちとても醜いので、いっそのこと夜 ....
はじめ名刺は刃のように
私を私から切り離した
名刺の上には私の生首が乗っていて
所属や肩書など嘘ばかりべらべらしゃべる
私は生身の人間だ
そんな機関にはまだ身を任せていないし
....
組織という一つの芽生えは、個人という複数の種子から養分を吸い上げ、個人がもはや原形をとどめなくなったときに、一つの融合した意思として外部に向かって無形の微笑みを投げかける。個人がそれぞれの ....
美しい花は咲き始めるにあたって
他の花々と契約を交わした
それぞれの孤独を干渉し合わない契約を
美は純粋であることから生まれ
自らの美の形成は自らの唯一の中心性に基づく
だがやがて花 ....
樹に実っている果物
その皮はいったい
どれだけの労働を包んでいるのか
どれだけの音楽的な映像を
自然と科学が
ぎりぎりのところで摩擦する地点で
果物は静止し膨張する
果物は時 ....
永遠に続いている昨日がすべての政体を照らし続けるので
僕らは誰にも嫁がない花嫁を選挙した
完璧すぎて誰も釣り合うことのできない花嫁を
花嫁は昨日を打ち倒して美しい行政を織り上げた
....
稲の規則正しいひしめきの中で
全ての尊いものを押しつぶしていきなさい
そうして全ての卑しいものに隠された
厳しく高貴な天秤でもって
稲は実り稲穂は垂れ
かつて無垢であったという人 ....
職場に新採で入ったころ、上司に古いタイプのサラリーマンがいた。私とは歳が大きく離れていたので、当然考え方に世代間のギャップがあり、そこで小競り合いのようなものが発生したりした。組織は異なるイデ ....
〈人間失格〉
一人一人の人間には基準がないから失格も合格もない。
人が他人と関わるとき基準が生じて失格が問題となる。
人が多くいると平均化による基準も生まれる。
だが人間失格とはそんな一般論を ....
ここには生きた死体ばかりが働いています みんな自分の大事な部分を殺して一度死んだ上で その死体を制度の機械的な動きに合わせて 操り人形のように動かしているだけです ここに生きた人間は入れない 入る段階 ....
工場のことを 正しくは季節のない畑と言います 社会のことを 正しくは愛のない家族と言います 法律のことを 正しくは形のない縄と言います 経済のことを 正しくは摂理のない海流と言います 詩のことを 正し ....
労働など土に比べたら動きに過ぎない 土など大気に比べたら固体に過ぎない 大気など未来に比べたら現在に過ぎない そのような現在の中で労働は時間の痕跡を作り 同一であるために費やされる非同一的なものの為に ....
俺は些細なものにたくさん敗けてきた
例えば他人のどうでもいい一言
自分の理念のわずかな変化
都会に漂ううっすらとした煙のようなもの
些細なものに膨大に敗けることが
俺の速い流れにカーブを ....