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雨の匂いがする
埃っぽい陽射しの名残りを弔って
闇に隠れ
秘密裏に行われる洗礼は
いつしか
もっと内側まで注がれるはず、
そんなことを
どこか信じている
陰音階の音だけ降らせ
目に見 ....
写真にうつっている僕は

満面の笑みでカメラを見つめていた

でもそれは過去の遺物

その写真にライターで火をつけて

灰皿になげすてる

今なら言えることは

昨日は言えなか ....
深紅のイチョウが

月夜の湖に鮮やかな

色彩を描き出す

底の見えない水溜まりに

興味本意に足を突っ込む

そのまままっさかさまに

落ちていずれ反対側にたどり着く

 ....
良く晴れた多摩川沿いに走る二車線の都道
歩行者用信号機は青へ変わっているに右見て左見て
みーちゃんの手を引きながら急いで渡る

轢けるもんなら轢いてみなよ…いつもならそんな気概なんだけど

 ....
手を引かれ歩く。
懐かしい匂いのする君
その面影は記憶の水底
私が潜水夫になって強く握り返すと
つないだ手には水たまりができて
空の色を映す。


薄暗い緑の茂みの奥までくると
 ....
貴方の影を決して踏まぬようにと
いつも三歩下がって歩く癖が
いつしか身に染み付いていた

夕暮れに伸びて行く影法師は
遠のいて行く貴方の背中、貴方との距離
沈む夕陽を従えるように
貴方は歩いて行 ....
ゆっくりと、撫でてゆく
背中から本能までの
または、今日から命果てるまでの
測れない距離を、あの人の言葉は
簡単に届いて、そして、
明日に色を書き足してゆく


友情、と言っていた
 ....
夏のはじまりは
いつも雨

何処からともなくきこえてくる
海のうた

(セイレーン)

還る場所をさがすように旅をする
あの波の繰り返しのように響いてくる
記憶のような満ちひきに名 ....
音楽は止まない
それは
人々の指先から溢れるものであることを
私/あるいは、あなたが
知っているからだ

そうして
その熱に触れる度
私/あなたは
それが
ありふれてい ....
はつかみる
ほころびさける
言の葉の
うらがれとはず
あをきをいのらむ

I could never be what you need
(譬え、始まりを告げたとしても)

たまゆらの ....
夜桜がきらびやかに

うすい光のなかで

景色を染めていた

咲くから散るのか

散るから咲くのか

いずれにして儚い物は

うつくしかった

爪先立ちした兎は

背伸 ....
玲瓏の雲がたなびく
岸辺
ゲノムを運び終えた生き物たちが
崩れた山のように
積み重なって倒れている

おびただしい数の
生き物たちの目や口や鼻
牛や馬に混じって
人の体も横たわってい ....
透明な糸が
のびていく
あてもなく
まっすぐと

洗い髪の先端が
とぎれる音と
あなたのためいきが
寄り添って
わたしを流れていく

たしかな明日を
手探る右手が
ふるえる
 ....
白く灯るシグナルに
息をのむ

メールは、きみ

こころがふるえる

ばかみたいに
よろこんで

くやしくて


すぐに返事は

しないんだから
まだ遠い夏を
まだ梅雨さえ来ない5月の空に描いて
貴女は揃えて広げた掌に息をかけ
ふうっと、飛ばす

果てしない宇宙の
一番身近な部分を
少しだけ切り取って描いた世界は
たんぽぽと
ラベンダー
 ....
すうっと堕ちていくような感覚と
鈍いしびれがあるという
それでいて苦痛ではないらしい

幼なじみのあの子も
隣の席の委員長も
さらにはわたしのママまで
患ったことがあるらしい

大人 ....
描きかけた まるい絵を
仕上げた事はなかった
曖昧な空に 風船を放つ
重さなどは いらない


この世界のたくさんの声が漏れて
帰り道、溶けそうな歌声に酔う
わたしはわずかに軽い

 ....
誰に教わったわけでもないけれど
新しい始まりの予感は
そうやってくる

五月の風は
そんな淡い期待を感じさせる
芽吹きの音が聞こえてきそうな緑色で
あなたは窓から入り込んでくる風を
そ ....
くるぶしを浸した
海の底の
遠ざかる砂に
裏返る
また少し君のこと

舞いあがる
風のゆくえに
どんな不自由をみたの
何もない空に
探してる
君の糸口

いくつかの土くれは
 ....
熱い生成りのロウで封をした
真っ黒の布をかけて見えなくして
夜みたいな部屋に投げ捨てていた
そんな忘れかけていたものが

ふとした、はずみで
なが、れる。

止める事なんて出来るはずも ....
パン作りに悪戦苦闘する教室の扉をそぉっと開くと
可愛らしい眼でこちらの様子を窺いだす

仲間外れされているとかの感情より好奇心が勝っているようで
親指を口に含みながらきょろきょろしてる
手足 ....
砂浜を撫でる乾いた風が
肺から循環する
感傷の毒を洗い流し
ただ瞬間だけを咲かせる

吐く息はいつも
黄痰に鎖を繋がれ
夢の欠片も存在しない

一本の座標軸に
流され惑わされながら ....
薔薇をあなたに
五月の薔薇をあなたにあげたくて
私はひとり庭をさまよっている

ハーブの花畑を通って
クレマチスの花園へ
キングサリのアーチをくぐったら
そこはもう薔薇迷宮
色とりどり ....
夏の夜に雪をふらせて
ねこの言葉を聞き分けて
なにものからもわたしを守るバリアをはる


よごれた世界は電気みたいに
わたしのまわりを取り囲むけれど
わたしを闇に隠してくれた夜が ....
人の耳にはピチピチなんて
明るい音ではねる鰯の水揚げ


にぎわう港から鰯そのものへ視線をうつせば
全身でわななく声が 流線形のまま突き刺さる


何万もの銀の鱗が震えている

 ....
ハローハロー聞こえますか?

殺伐とした絵画の中で

その少女の顔だけが

まだ手をつけられていなかった
ふるびた懐中時計は

なりやまない秒針の音を

闇夜に響かせる

ふ ....
天地がひっくり変えるような出来事があった日も

バケツをひっくり返したように、とことん泣いた日も

小さな箱に閉じ込めてあった痛みが、

心を深紅に染めた日も

手首から血が流れた日も ....
ラララ♪と歌えば
寂しい事も
音符になって風に舞う

今日も歌うよ
君のいない街で

一緒に暮らした日々を
思い出しながら

笑ったり泣いたり
何でもない毎日が
今一番欲しい幸 ....
客観的に見て、問題点を言ってくれる。
大事なことを気づかせてくれる。
忘れてたことを思い出させてくれる。
見ないようにしていたところに光を当ててくれる。
これ言ったらこう思われるとか抜きにして ....
スライドする
月が笑う
夜の窓辺

憂鬱を孕んだ
胸が冷える鼻先

わたしはわたしの行方を
ポケットに押し込んだまま

吸い込まれる
終電の渦

たった1mgの錠剤で
繋ぎ ....
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