い、痛くないの?
男のひとの満足げな顔って決して嫌いではないのだけど
京急立合川駅って普通電車だと運転免許試験場のある鮫洲駅からひと駅
競馬の好きな方なら大井競馬場への最寄駅で通り良いか ....
虫取りの子たちが
アジサイの茂みに見え隠れする
夢の色を追いかけて
おおきくなってしまった
ぼくは
その動きをなぞることができない
思い出して叫んでみても
ブランコの揺れと ....
じっと見つめると
あなたのようにあまく
とけてゆく夏を
シロップのように
かき氷にかけると
ひんやりつめたい
つまりね。
あなたに向かって
ただ今咲いています
そういうメッセージ
ぼきっ
骨ばったゆびの折れるおと
まるで、マリオネットのよう
一人では立てない私を君は何故慈しむの?
『早く治るように』
そういって塗ってくれた薬は
今でも確かな熱を保 ....
淡雪は炎のように降りつもりきみの素肌の灼熱を知る
凍蝶の滑り落ちゆく黒髪にかかる吐息は結晶化して
性愛の天を凌いで伸びる蔓 凌霄花は空にまみれ ....
本当のかなしみを知るひとは
かなしみのあり様をあれこれと邪推せず
涙で濡れた手のひらにあたたかな眼差しを重ねてくれる
本当のかなしみを知るひとは
ひとの過ちをあれこれと論ったりせず ....
バケツをひっくり返したようなって言われても
ピンとくるわけじない
ひところ軒先で騒がしかったツバメの巣はいつの間にやら静かになっていて
育ち盛りと餌を催促してた雛たちは
ハーメルンの笛の音 ....
あの空と海の境界は
いとしさを含んだ
やさしさが横たわっている
きみがすやすやと眠る
わたしのひざまくらも
きっときみとわたしの
曖昧なやさしい境界になっている
くっつかないということは
い ....
悲しき道化師の夢を見た
がらんどうに流れる残響
琥珀色の朝日
笑顔の仮面は外れることなく
重い鎧をつけたまま
笑いながら、泣いていた
笑いながら、怒っていた
笑いながら、哀れ ....
眩い光りは衣を重ね
いつまでも消え去らぬ
それは人知れぬ
夏の海峡の 輝きを増した陽炎
落ちてきた 数知れぬ星達をあつめた天の河のように
静かによこたわる
無数のきらめきは、時を惜しみ
....
1
春を見て
鳥はなんて思うだろう
月を見て
蛙はなんて思うだろう
虹を見て
花はなんて思うだろう
雪を見て
雲はなんて思うだろう
空を見て
木はなんて思う ....
{引用=憂鬱な目覚まし時計、日常へ旅立つ自転車のペダル、決曜日
ぽっかり空いた胸ポケットに立葵を活ける、華曜日
眠れる森に訪れたファーブルたちの欠伸、睡曜日
静かなく ....
約束の場所を忘れてしまったのだと
忘却をたぐりよせる日々が続いている
わたしも、あなたも、
同じとはいえない、似通った部分を共有しているだけで
帰省本能さえも持ち合わせていなくて
ひとつの寄 ....
わたしが金魚の頭を
撫でているころ
ぼんやりとした扇風機は
薄暗がりの中で首を振り
幼い子どもが一人
どこかで帰る家を探している
ここだよ、と言っても
それはきっと
ただの ....
きれいな空があるって知っていても
それをいつも忘れている気がする
空が街に沈んで街が空に昇り
そうやって今日が終わろうとするとき
おだやかに眠るための記憶が
きりりとした感 ....
話せば判る
夫婦喧嘩した際、父が母に言い放ったような
パパとママ、どちらが好きなの
そんな母の発した答えようもない問いかけに弟と私
布団のなか、ひたすら息を潜めるばかりで
話せば ....
わたしのことばが
唯一のものではないと知っている
幾千万の文字列を従えて歴史は動いている
止めどない比喩の群れを追って
捕まえた星のひかり
何億光年も前に息絶えたいのちの尊さを
思い出して ....
六月の風
どこかにする
子どもの遊び声
落ちてくる手にあまる垂直な陽射しは、
すべての影を限りなく縮小し 見放し
あるがままの姿を投影してくれない
公園の木陰に一人ぽつねん
ベンチの女が ....
ただ
無駄にすぎてくような毎日
自分が自分であり続けることの恐ろしさ
過ぎていく
過ぎていく
時間が
そらはこんなに
心変わりするというのに
彼女は彼を愛していたし、
彼もまた彼女を愛していた。
傍目から見れば完璧な二人だったけれど
どちらも鋭く光る牙を
その身に隠し持っていたから
二人の恋はいつも死闘になった。
顔を逢わせ ....
えっ、ここなの?
翔太さんに背中押されるようにくぐった暖簾
彼とはじめてのデートだしお洒落なイタ飯屋さん期待してたのに
お母さん、ただいま!
彼の挨拶に笑顔で答える和服姿の女将さん ....
朝の陽射しは太陽のあいさつです。
過去にも未来にも生きる場所はないから今を生きていたりする。
好きな場所 雨上がりの空の下、虹の端っこ。
空が暗い でも月が眩い これを夜って呼ぶの ....
「君がいなくなった後の話をしましょう」
二人で見つけた、魚の形をした雲
毎日せっせと泳ぎ続けている
月のうさぎはもちつきをして
夏の音は歌を唄い
紅葉は静かに路を染める
....
いつ果てるかわからない
通学路の行きつく先について考えていた
履きなれない道で靴擦れを起こして泣いた
あの時頬を叩いたのは母だった
空を水色で塗りたくれば正しいと
押しつけられたような気 ....
ぼくはまだいちご泥棒と眠りたい置き忘れたものばかりの園で
衝動を積み上げていく指先に梶井のレモンわたしのオレンジ
気だるさはインクに滲み水底の青い散文髪に絡まる
....
久かたぶりに訪れた渋谷センター街
取り壊し中の建物とかあったりして何となく余所よそしさを覚える
平日の昼間ってこともあるのだろうけど
チーマー、ガングロな人びと
そして神話の国の神話な ....
自分の髪が煩わしくなるとき
夏の訪れを感じる
いっそ丸坊主にでもしてしまおうか
と思っては、躊躇う
長袖に隠れていた腕が
恥じらいながら顔を出し
外気に近づいた脇が
風の気配にスー ....
眩むように
ひそやかで
賑わうように
うら寂しく
微かに浮き立つ
輪郭を描写するような
凝縮された時間の果ての
雪洞にも似た夜の入口に導かれ
僕は
記憶の中、
遠くか ....
忘れられた小さな空がある。
初夏の風を受けて
駅に続くなだらかな坂道を
歩く途中にある
金網のフェンス越しに
名も知らない花の群生
赤紫の小さな花を
背の高い茎にたくさんつけなが ....
あなたの瞳にうつるものが
どんなにあなたを悲しくしているか
どれほど考えてもわかりません
あなたの背中がいったいなにを
どれだけ背負ってそんなにも
淋しく見えるのかわかりません
け ....
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