七夕
月乃助

眩い光りは衣を重ね
いつまでも消え去らぬ 
それは人知れぬ
夏の海峡の 輝きを増した陽炎
落ちてきた 数知れぬ星達をあつめた天の河のように
静かによこたわる
無数のきらめきは、時を惜しみ
幼い子どもたちの乱舞のようにはしゃいでは、消えていく
水平線の 乾いた海風が、
空に迷った海鳥のはかない鳴き声に耳を欹て
波音に振り返る
浜辺には、人影もなく
身をきるような 一日だけの逢瀬に
口にせずにいた想いを告げることさえ できずに
一年を 数えながら過ごした
時を投げ去り
今をすべてと男の腕に抱かれる
海峡の潮のながれほどに ゆるやかに
たゆたう 悦びの満ち干をこえて
 
肌を合わせればこんなにも、悲しくなるのは何故ですか

明日が、来ることを忘れて
海の瞬きのその中で
合わせた唇に幸せをくり返してみるのです
来年の今日などもうやってくるはずもないと
心を翳らせる疑いを打ち消しながら
目の前に広がる 夏の
光りの海の 美しさ




自由詩 七夕 Copyright 月乃助 2010-07-11 15:58:42
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