炭酸水と夏の気配
木屋 亞万

自分の髪が煩わしくなるとき
夏の訪れを感じる
いっそ丸坊主にでもしてしまおうか
と思っては、躊躇う

長袖に隠れていた腕が
恥じらいながら顔を出し
外気に近づいた脇が
風の気配にスースーしている

背中にじっとり汗が出る
脇にじんわりシミが浮く
額がべたべたし始めて
手洗いで腕まで洗う、水のしあわせ

朝と日暮れに窓を開ける
昼間は外に出たくない
翼があれば北へ飛ぶのに
今日も地べたを歩くしかない

喉元が暑さを忘れられずに
刺激を欲しがる、苦しそうに
つめたい爆発を求めて
アスファルト砂漠のオアシスへ

春の気温の室内で
夏の気配の外を眺める
ガラス越し、道行く女の長い髪が
風に靡いて、しばし熱さを忘れる六月


自由詩 炭酸水と夏の気配 Copyright 木屋 亞万 2010-06-13 01:43:34
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