すべてのおすすめ
忘れられた小さな空がある。
初夏の風を受けて
駅に続くなだらかな坂道を
歩く途中にある
金網のフェンス越しに
名も知らない花の群生
赤紫の小さな花を
背の高い茎にたくさんつけなが ....
小川の流れと
雑木林の枝にとまって
口を開けている
唖の小鳥たち
黒雲から発し
丘をひっぱたいて消える
無音の稲妻
晩年のルートヴィヒの無音の凄みか
音の階段の中に
....
大きな引き出しは
アングリ口を開け
ようこそ、よくできたお客様です。
などと歯の浮いた世辞を言って
そのくせ、舌なめずりの音が
家中に響きわたっている。
それでも人の良いインテリ面した ....
地平線の彼方に大きな夕日が沈む
地平線の見える大地など、僕の住んでいる街には無いのに。
無いのだが、地平線を僕達は確かに感じとることができる
感じ取ることができるので
僕は地平線に向かって ....
季節外れの神社に
十歳の僕と親父が歩いてゆく
親父は何もしゃべらない
僕も黙ってついて行く
参道の階段には銀杏の葉
黄色い黄色い石の道
段々を上って一息入れる
親父の肺は一つしかない。
....
猫が伸びしてあくびする。
それを見ていた子猫も
ふぁ〜あ
子猫のあくびに
母猫
ふぁ〜あ
子猫が虫を追いかける。
前足交互に
しゃぁーっ
しゃぁーっ
そのあと、子猫は肉 ....