錆びた鉄柱が立っている
裂けめは花に覆われている
雲ひとつない空
掴むところのない空
川沿いの砂利道は
小刻みな縦揺れ
見向きもしない水鳥
呼ぶ声に顔を上げ ....
私の詩に英語タイトルのものはそう多くない。皆無というわけではなく、詩集に収めたものの中には"A Japanese Prayer"と"LOVE STORY"と二つ ....
笑う
笑わなきゃ
にっこりと
それが
楽しいことでもなく
面白いことでなくても
だってほら
みんなが見てる
笑わなきゃ
にっこりと
みんなが
不愉快な気持ちに
ならないよう ....
届かなくなったんじゃなく
手を伸ばさなかったんだろう
今じゃスーツにネクタイ
ボヤくことが癖になっても
振り返れば置き去りの夢が
今でも僕に笑いかけている
....
ふと
出かけたくなったので
読みかけの本
膝に置きました
しおり代わりに
嘘を挟んで
軽やかに
ドア開け放ちます
鍵はかけなくて
良いでしょう
....
僕がやっと言えた一言
君が好きだよ
ぼそぼそ
やっと言えたんだ
はにかんだ君が
私もと言ってくれた時
僕たちの時間は一瞬止まった
君のためなら何でもするなんて ....
Boy
話のわかる先輩とグラスを重ね
生意気を言い放っては
頭を撫でられている
Boy
姉さん達より自分の肌を瑞々しいと言った後
懸命にフォローの言葉で繕って
やっぱり頭を撫 ....
空はだいぶ春色ですが
この足元は冬色です
がりがりと音を立てる
そんな冬色です
前も後ろもまっしろです
雪とは少し違います
地面にしがみついている
構成成分は一緒ですが
前も後 ....
あら、困ったわ
が口癖の君が困った様子なんて
今まで見たことがない
あら、困ったわ
なんて言いながらも
トントントンッとまな板の上で大根を切ったり
ザッピングをし続けた挙句の果ては ....
好き?
と彼女に聞かれたので
好き
と彼女に言う代わりに
100行の詩を書きました
それはそれは思いを込めて書きました
100行じっくり読んだ彼女が言いました
で ....
海岸沿いに露出した三十年まえのゴミ山のうえ
新しい嘆きがそっくりひとつ捨ててあった
壊れた自転車
割れたブラウン管
骨の折れた傘
骨折り損のくたびれ儲け
破れた心臓
そんなもののうえに
....
なぁ、注さん。ちょっと、話をしようか。
高木と志村は、浮世のしがらみというか・・・仕事で、ちょっと来れないんだよな。
加藤は、あいつ、渋滞に巻き込まれているんだ。
(中略)
注 ....
遠く 遠く 遠く
それは恋に似た
恋で
スタートラインの踏切り方も
ペースの配分も
わからなかった頃の
記憶の欠片で
遠く 遠く 遠く
それは辿れない
距離で
....
愛する人
僕が君の何だろうなんて
もう聞かないよ
思ったより
色が白くて
胸が大きかった
今
僕の腕の中で眠っている
それで僕は何もいらない
愛す ....
ぼんやり 新聞コラム 眺めてたら
女は 存在 男は 現象
つまり 全ての基本は女 だから
はじめに女ありき との文章
これはもう 現代常識である
聖書の記述は 間違えたのだ
好きに ....
うそつき
うそつきと囁きながら
言葉が逃げてゆく
夜と朝の狭間で身悶えする
眠れぬ夜に熱るこころで
言葉が逃げてゆく
うそつきはだあれ
うそをついているのはだあれ
みんなほ ....
君とキスをした。
君の噛んでいたチューインガムをそのまま僕の口の中へ。
噛んでも噛んでもかみ切れない感情。
新たに湧く依存心はもうすでに残っていなかった。
ただ前へ、前へ。
僕は群青 ....
春の夜の淡雪は消え残り
白と紫に染め分けた山が
灰色の空のなかで静謐に光っている
午後の暖かな日差しが雲を溶かし
日陰に水路のながれる町で
冷たく甘いチャイを飲んだ
開け放った窓は ....
鳥のように生きたいと言っても
鳥の悲しみなど
知らないで
薔薇の花のようになりたいと言っても
薔薇の苦しみなど
知らないで
知らず 知らず
ひどい仕打ちをしていることを思って
....
強くなる
今よりもきっと
強くなる
だから
それまで
待っててくれる?
今はまだ
逃げ出すことしか
出来ないけれど
強くなる
今よりきっと
強くなる
だから
....
マウンド上で大きく振りかぶった
金田正一の投げたストレートを
牛若丸といわれた吉田義男が
小気味よく弾き返すと
白球は強いゴロになって
三遊間を抜けようとする
あらかじめ心持ち三塁より ....
バイトの面接の帰り、吉祥寺で降りて、井の頭公園に寄って
ふと、入院したいと思った。
でも、実際に苦しむのは嫌だから、
病気とかじゃなくて足の怪我とかがいい。
複雑骨折か何か分からないけど、長引 ....
ここではないどこかへ飛んで行きたいのだ
ずうっとそう思いながら生きてきたのだ
プールの中で仰向けに空をみあげて
おおきく息を吸いこんで溜息ついて
からだにまといつくなめらかな水の揺れ
....
あの頃
画用紙にクレヨンで描いた僕の未来は
今どれだけ かたちになって
今どれだけ ここにあるだろう
一つ足を進めるごとに
景色が姿を変えていくような
約束されたこともない
いつ ....
いま全てを弔うために
一つの歌が降りてくる
それは風にのって柔らかく
全ては安心して死んで良い
そして私は一粒の悲しみを
小さな微笑と淡い幸せとを
火にかけて燃やすだろう
遺され ....
●たとえばこんなニュース。重大な事件でも、あなたの生命に直接、今すぐ関わる事件ではないが、ひどく気になって考えてしまった。
「さいたま市の中学1年の男子が教室に日本刀を持ち込み、同級生を脅した。その ....
遠くでベルが鳴っている
目覚まし時計のベルの音だ
いいえそれは遠くではなく
私の内側から響いているのです
不本意な絶対音感が
耳鳴りさえも聞き分ける
この音は
子供の頃に使っ ....
うたを歌いたくて
仕方がないのに
旋律も何も出てきません
胸を震わせ 言いたいことを
あらわす術を持ちません
だから川原へ行きました
枯れた喉を潤すために
....
降る雪と共に、このまま消えればよかった
弱い自分に吐き気がする前に、土に埋まり虫に食わせればよかった
好きになる前に、精神が狂いたかった
犬となる
忠実な犬となる
なきもしな ....
ライオンのかかとのにおいを嗅いでみたとして
どんなはばかりが河岸段丘に色づくのだろうね
人はみんな違っているから素晴らしいと言うが
僕だけが愛してもらえない夜は素晴らしくない
みんなが ....
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