コンクリートの丸いもようは、踏んじゃだめよ
って、
しあわせになれないから
って、
きみが言ったとき
さっき
二度ほど踏んでしまったぼくは
ちょっと泣きそうになって、あわてて
声をだし ....
朝の駅の構内で
改札の向こうからホームの階段を上る
黒い制服の青年が障害を背負う体を傾けて
こちらに向かって歩いて来る
眼鏡の奥の瞳には
いつも光を宿らせて
不器用な歩幅を
一歩 ....
あの日以降の
私の組成
見返してやる…30%
忘れないで……30%
ありがとう……20%
不孝になあれ…20%
突き抜ける灰色の列柱
空を絡めとる錯綜した架線
見下すように監視する漆黒の翼
世界は囚われ視界が捕らわれる
可視性のリアライズに反射する陽光
はためくトリコロールの布切れに
言葉は摩滅消耗 ....
浦安にあるアレである。
俗に「ネズミ園」なんて言って茶化す人がいますね。気持ちはわからないでもない。
日本一メジャーな遊園地だし、いつ行ってもひたすら混んでいるし、妙に晴れやかで、
悪口を言いた ....
また
飲み込んでしまった
そして、
私はガラスのコップを握り締めたまま叩きつける
一つ
二つ
三つ
四つ
五つ
家族の数だけ
血だらけの手で
私はあたりかまわ ....
なんてことはないんだ。
今朝、母は雪を見ながら(正確には彼女にしか見えていない雪だ)卵焼きを作った。
キッチンに立つ母を見るのは久しぶりだけれどやはり、しっくり、とくる。
料理をするために洋 ....
傾斜した視界には、
卑猥なモザイクもないから、
グロテスクなまでに素敵にエロティック。
桃を剥くみたいにピンキーな、
林檎の芯みたいなニードルで、
カカオの噴水はエレ ....
アルマジロな午後。
僕は転がる。
あるまじき僕は正午。
ごろごろとアルマジロと転がり、
ヒジキを食べている。
ヒジキはあるまじき美味しさで、
もぐもぐとアル ....
水たまり広がる波紋に耳すましきみのリズムでやってくる夏
砂浜に置いてきたもの捨てたものロケット花火と添い寝する夜
8月のリップカールのてっぺんで届きますよにぼくのメロ ....
日がな一日中考え。
また朝を迎え、一日を考える。
五月二十九回目の朝、今この時間。
五月二十九回目の朝を考えている。
三十四回目の五月。
死ぬ理由と生きる理由 ....
親愛なる詩友へ
友よ、あなたが今心から愛する{ルビ女=ひと}と出逢い、
日々幸せに包まれていることを、
僕は嬉しく思っています。
僕なりに感じることですが、
「芸術家」「詩人 ....
自らの愚かな手で
目の前をさえぎる沼を
つくり出してしまった時は
でくのぼうとなって立ち止まり
かけがえなき友の背後から吹き抜ける
風の言葉に耳を澄まそう
私は木になりたかった
幾 ....
毎日が
ずっと、遠浅だったらいいのに
って、言ったのは
あなただったか、わたしだったか、
もう わすれてしまった
うつろいやすいふたりだったから
ただ
手をつないだ
波が
....
あたりまえの、キスを、ください
追いかけるたびに
春はもう
ふりむきざまの、目くばせ
早足にからまるイヌフグリの、青
追いつかないのは
季節のせいなんかじゃ、ない、と
....
何か掴まなければ と
恐れなくてもよいのだ
いつでも繋げるように
私の両手は空いている
嘗て星々に触れたとき
驚きながらも微笑んだ
一秒よりもはやく
私たちは老いてゆくから
....
おいしい罪を食べなさい
と
黒い神さまが言ったので
その通りにしたの
おいしくなかったら
食べません
責任なんか
取りません
ときどきとても
愛を信じたくなるの
どうしても
信じたくなるの
夕方すぎ
薄闇のお庭
ブルーグレイの花びら
まるで浮いているみたい
何も信じていない
わたしの中に愛はあるかな
あな ....
言葉で武装してはならない
言葉を武器にしてはならない
争いは銃からではなく
言葉から始まることを知らなくてはならない
言葉で武装してはならない
言葉を武器にしてはならない
言葉の扱いが ....
仕事から帰ると
ぼくの部屋からは、なにもかもなくなっていた
電話台の上に電話はなく
テレビ台の上にテレビはなく
洗濯機と冷蔵庫は
黒っぽい埃の四角形だけ残し
スチールのベッドだけはなぜ ....
地球があと100kmのところで終わっている
と知っても
きみは歩いてゆくだろうか
靴ひものことなんて気にしてる場合ではない
見渡しても、海
はてしなく、海
そのかぎりの海の地球から ....
疾走感 と 焦燥感 の
折り重なった狭間で、
ドライブ
車の窓から手を出して
うしろへ、うしろへ、
流れてゆく景色を
さわって、あそんだ
ときどき
指のあいだをすりぬけて
流 ....
手をつないで
深いところまで、いってしまった
引いてゆくまにまに
記憶の砂がすれあっては
かすかに音をたてる
ノートブックの波に
毎日つづった、日記
夕立ちをよけて、キスをして、 ....
心が暗雲に覆われた時には
「透けた空から見守る誰かのまなざし」に
自らの汚れた卑小な裸の心を
ありのままに投げたしたくなる
そんな時、友の顔を想い浮かべては
いつかの語らいの夜を思い出す ....
ひとつ ひっそり咲いた恋
ふたつ 経(ふ)る間に熱を帯び
みっつ 見果てぬ宵の情事(ゆめ)
今尚 口に 数え歌
水面(みなも)に一つ 涙つぶ
今更 口に 数え歌
冷たき月も ....
パーッと行こうよ
と言いながら
道に倒れて男の名前を
叫んでみた
冷たい男が好きなのは悪い癖で
妙に愛されるとすぐに飽きちゃうから
不幸なのは当たり前なの
同情しなくていいよ
と言いな ....
はっと、
目を覚ますと
ベッドの足元に
等身大のアンパンマンがいた
といっても
実物を見るのは初めてだったから
それが等身大なのかどうか
本当のところはわからない
つやつやのほっぺ
....
どんなに雨が降っても
傘なんかささないで
道端にうずくまっていたい
夜がある
お花見
桜の下は
ゴミだらけ
ゲロだらけ
夜になると
涼しい風が吹き
山のようなゴミが
散乱していくよ
積み上がっていくよ
その上で
知らぬ顔をして
優しい顔をして
聖なる花は ....
1.
かみさまは、どこですか。
2.
かみさまは、どこですか。
道すがらたずねると
あっち、と指をさした人がいたので
ひたすら あっち、に向かって歩いた
歩いて歩 ....
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