“おかえりなさい”と
風に揺れてる 桜草
思わず 微笑みかえしてしまう
不思議な春の魔法
枯れ草に 溺れ顔出す すみれかな 今 旅に出よう
この灰色の街を逃れて

心も涙もなくなってしまえ
何もかも空っぽになってしまえ

そしてただ ただ
あたたかな黄色に
一面の黄色に包まれたい
気がついて ここはどこだと ふきのとう きらめく空に 大きくのびして うつむいてる私と
見上げてるあなたたち
それに勇気づけられたから

君がうつむいた時に
私は水色の希望の星になって
咲いていたいナ
扉を開けて
去る者がいる
新しい道へと
新しい世界へと

つぼみのままでは
何も見えない
ひだまりばかりじゃ
強くなれない

ひと雫の友情を胸に
去りゆく者へ
ご卒業おめでとう ....
恋をしていた
たぶん
していたんだと思う

バラ色の生活を
夢見ていた
幼い想像で

こんな
冷蔵庫の奥で干からびた漬物を
片付ける為ではなく
マドレーヌなんか焼く為に
台所に ....
 恋をすることは惨めだ
 倉庫の巨大な薄闇の片隅で
 段ボールの埃をはたいて
 組み立て式ペーパーボックスの
 在庫を数えながら
 君の黒髪を両手に受けて
 溢れるほど両手に受けて、顔を
 ....
春光や「カレーの市民」の尻の張り

春光や決死の像に漲りぬ

彫像の裳裾の奥へ春光る

春光の中や塑像の蹲る

緩みなく「考へる人」春早し

春立ちぬ考へること生きること

地 ....
あやとりのように
くりかえし
くりかえし
やってくる春
風が強くて
笑うほどはためく
せんたくものたち
私のからだも
飛べたらいいのに
月に散った桜に
銀の雨が降る
うまく眠れず
見あげてみれば
落としてきた 
私がそこに
時計 − 針 = 休日

車 × 湾岸線 = 風

マグカップ + 海水 = 地球
夕方から恋人と会うが
今は一人昼過ぎ
なにやらイマイチ
気持ちがボーッとしている

恋人に物を買ってあげる日でもないから?
外は三寒四温中だから?
好きな音楽のCDが転がり過ぎているから ....
空寒み ぽっぽとこぼれる 白い息 春への汽車が 出発進行 木の芽ぶく 枝の指さす 春の雲 ほんのり花に 染められピンク 家々にあかりが灯る
蛍火がちちちと
びろうどを
燃やしはじめた
白く浮かぶ
亡き王女のような
天主堂
つづら折の石の坂
青白く骨はひびき
さびしいひとよ
火の鏡を見なさい
生の意 ....
ベランダに産まれた雛を祝福します
遠吠えでもいいでしょうか
忙しさに そぞろにかまけます
できないものはできないので

ベランダで空地の雑草が生い茂ります
今なお 石に躓く幼さですから
 ....
もう眼じゃない

捨てられた宝石だ

母から娘へと大切にされてきた宝石で
職のない娘が売った宝石だよ

罵倒?

わかんないもう


もう母の行末についてしか泣かないし
 ....
無数の硬い実だ
日陰の広いテラスの横で
落葉したポプラの木に実るのは
黒く枯れた夢だ

初春の陽射しに映る
しろく輝くビル街は
湖水の向こうの蜃気楼
見たことの無い未来だ

二人で ....
地響きひとつ。またひとつ。灰色の仮囲いの隙間から、黄色のユンボー。
引き裂かれたアパート。ざくざく歯先を確かめるように、太陽を何度も掠めて振り下ろされる。
断面図は美しいと思った。断面図の発見と人 ....
 パラダイスが弱っているよ
 ああ、早くしないと
 早くキスしないとみんなダメになってしまう

 夕焼け雲の形をした船は沈み
 トカゲたちの種の命脈は絶えちゃうんだ
 僕はぐったりと射精し ....
風呂上りの
君のお尻をムニムニした
ほの温かくて
無防備だった
心が休まる
柔らかさだった

パンツ穿く前に
もういちどムニムニさして・・・
けっして色っぽくはないけど
夫婦の幸せ ....
洋なし色に 辺りが包まれ
萩焼のカップには
チャイの印香が漂う中
窓辺からは
いつもと同じ風景

いや 今日は
こんもりと茂る葉の代わりに
樹木には 綿雲の実がなり
成熟したそれは
 ....
でっぱらない 私
仲間と入ったレストランで
おんなじものを食べて
美味しいと騒いでる中で
一人だけ
まずくて食えないとは
言えない

まあ 好みは色々だからねえ なんて
誤魔化したつ ....
そっと想うのは
君の幸せ
私は少しでも
顔を出せているのかな

たとえば
本のしおり
サンドイッチのパセリ
寒い日のマフラー

日常の何気ないところに
そっとでも
顔を出せてい ....
あなたは、あなた
わたしは、わたし
逆立ちしたって
違う人間だけど
手をつなげば
わたしたち

ひとつの夢を
追えるといいね
淋しいときには思い出してほしい
悲しいときには思い出してほしい
あなたの苦しみを
共に苦しむことはできないかもしれないけれど
あなたをまだ知らなくて
何の力にもなれないかもしれないけれど
 ....
小学生の時の話で

学校に行くと先生が休んでいて

自習の名目で

突然試験をやらされた


わからない問題は後回し

けど 記憶にないから

答えず終い(俺はね)

そ ....
その港の海は

溶鉱炉の煙突の火で燃える

月面が見たくなったら

その火柱の傍で

7つの石を  意思を

いっそ一度に海面に放れば

一瞬だけでも見れるのだ


 ....
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