すべてのおすすめ
黒のお茶に半月浮かべて
トースターでパンを焼く
焼く順番で喧嘩になって
お茶の色で喧嘩になって
バターが切れたと泣いて
わめいて 子どもの朝が
船出する 半月が笑った
道端で踊っている
つたないステップ
危ういターン
手を差し伸べたそうなおとなたち
きっと拒絶するだろうな
あの少女
いるようでいない
いないようで皆が注視している
そんな邪魔な存在に気 ....
軽いほんの出来心
出来心からのほんの道草
道草でしか会えない宝石
拾い集めてポッケにしまい
お家に戻って眺めてみたら
ためつすがめつしてみても
それらはただの石っころ
音速が光速を超える夜
マシンが、たったひとつ燈した灯りに負けない夜
最後の灯りも消して音の世界に埋没する夜
ヒズ・マスターズ・ボイスが闇を透視して
音が視える夜
孤独って案外、
最高の永遠 ....
風を脱がされた雨が淋しげに
吶吶と落ちている
かなしみだ
わたしのかなしみのうつしみだ
晒されて
ほら聴こえる
よおく聴こえる
嘲笑い
わたし、宛て
*
風 ....
できないこと
それは人並みのこと
それが多すぎる自分を
鏡に映す
鏡は冷酷じゃない
うそを映してくれる
許すように
そっと
なにもかもを捨てようか
たずねてみた
いのち ....
何もかも面倒くさいって思ってしまうんだよ
あたま、病んでいてね
もしかしたらそんな理由からじゃない
のかもしれないけれど
三度の食事もサプリで済めばよいのにね
いっそお洋服着る習慣なんて ....
つらい暗い夕暮れ
ひとりを噛みしめる時間
あとにしたカフェで飲んだ
クランベリーソーダを思い返している
霧雨のなか
あえてテラス席で
はじめたばかりのタバコ
慣れない手つきをごまかし ....
きっと生まれて初めて見た色って
ターナーの洪水
まばゆいなか ひかりのなか 空映す青
きっと生まれて初めて知った色って
ターナーの洪水
まばゆい夢 ひかりの夢 母なる海
無から有へと蓄 ....
すこしのかなしみがあったけれど
それはさもないかなしみだから
窓のそとのことを考えようと
わたしは祈る
きっとまだ
のこっているはず
わたしの場所
この残照のまばゆさ
のな ....
忘れないでね
忘れないで
わたしを
待っていてね
待っていて
遠くの星に奉げる
ちいさな祈りひとつ
さだまらない明日を
見ないふりは
するまい
歩いてきた道を捨てる ....
良かった恋なんてひとつもなかった
流行歌は嘘つきだ
恋を嫌いになるために
わたしはいままで恋をしてきた
会いたいひとがいない過去しか
持っていないことの貧しさは
愛を知らないままに置き ....
永遠を悟らないということが
幸いだとでも言うように
その、部屋が蒼ざめてゆくのを
どうすることもできないでいた
個のいのちの永劫が無いことは
蔦の絡まる由緒ある図書蔵ではなくとも
....
空のにびいろを映して
川面がはにかみながら
揺らいでいる
風の手のひらのなすが
ままに
ただしく海を目指しながらも
どこかに
屈託
これが、これがね
教えてあげる東京の色
....
再びの夜明けを
ひまわりは信じている
どこの哲学者の蔵にも
視ることのできない
廻りの神秘をも悟っている
発った桜花が
その根元で人間たちに
享楽されたことをまったく
嘆いていなか ....
ちょうどよいのが
ティファニーの偽物だった
だから彼女は
それを大切に身に着けていた
彼女は泣かない
代わりにティファニーの偽物が
泣いてくれるから
だから彼女は泣いたことがない
....
風のち雨のち曇り空
わたしのこころの
お天気です
一つ足りない
忘れていない?
こころの湖面が
ゆらいでたずねる
*
晴れのち雨のち曇り空
のち晴れ晴れさやかな
風 ....
手許に冬のひかり
太陽と向き合えた日日
の証し
が
遠慮がちに
問いかけてくる
忘れたの?
やっとそれだけ
本当に
遠慮がちに
*
応えなくっちゃ
、裏腹に
半年後の陽光に
背を向ける
来年を知らない花が
風と遊んでいた
、ふっと凪いで
花は戸惑う
それでも無心に
凛とある
いつかのまたの
友だちを
信じて無心に
凛とある
*
花には
....
軽い手荷物で降り立った
六月の駅
梅雨の晴れ間
見あげると若い鮎が
翼を休めていた
炎上、
前の雰囲気のなかで
穏やかに営んでいる街路
山羊のこどもに
みちをたずねると
右 ....
あなたの
ひと言ひと言に
眩暈するんです
月並みでしょうか
やわらかくどこか
秋の落ち葉のような声を
聴くたび
バイオリンの絃のように
わたしは驚きます
そしてそのままのここ ....
朝の声を小鳥が一番乗りしている
きっと屈託なく啼いている
と信じてみると
ほがらかな朝だ
はにかまないで鏡に向かって
自分を確かめる
大丈夫、かもしれない
程度の信心のままの
....
白菊の歌声が
偲ぶあなたの
墓標前にて
一人雨に
濡れながら
西脇の詩集を
繰ってみる
詩のまことが
こぼれますように
と
紅の傘は
忘れられて
かなしく倒れて
朽ち ....
少女が蒼白になって
走って行った
なぜだろう
と振り返ってみると
山が橙と無残に燃えていた
そこに山はなかったはずの
ここは東京の下町のその
はずれ
で、
ふとわれに返ると
....
かなうかなって
空を見あげて
思えばこそ
で足りたころ
からずいぶん
遠くに来て
しまった
ちいさな願い
なのだと思うこれは
とてもさもない
なみだなのだと
願う
....
夢の入った封筒を
そらの手にまかせたんです
翼をいただいた封筒は
薫風にみちびかれて
ゆくでしょう
かなうかなって
膝をかかえてうずくまる
あの少女のころの
いまのわたしに伝え ....
いのちはあの一本の樹と
わたしの間にあります
やわらかく俯くようにあります
夏の庭の青い花が
ゆらゆらと何かを祈っています
太古のことではないこと
だけが確かなことです
大切なの ....
{引用=帰る、家
いつか誰しもが欠落してゆく
群像劇の
舞台
+
尋ねたいことがある
あなたは
マンモスを知っていますか
***
草野春心氏に感謝 ....
{引用=箱舟の乗り合い名簿の吾が名消し}
{ルビ涯=はて}を{ルビ悟=し}っている靴はさいわいである
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