もっぷ

つらい暗い夕暮れ
ひとりを噛みしめる時間
あとにしたカフェで飲んだ
クランベリーソーダを思い返している

霧雨のなか
あえてテラス席で
はじめたばかりのタバコ
慣れない手つきをごまかしながら

一度も失恋したことがない

うそぶいて

ルージュの影もない
顔を路に晒し
なみだのベールを

隠せないでいた
わたしは
潮時と

帰り道
電車でふた駅のところだったから
歩いたの

雨のしずくは優しく
わたしを撫ぜながら
落ちてゆく

この橋を渡りきればもう
部屋
のところで

佇んで
履いている靴
のことを考えている

わたしがあなたに
みえますか


自由詩Copyright もっぷ 2012-10-05 19:54:59
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