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鱗が一枚一枚
剥がれ落ちるように
今はまた
別な種類の魚になって
あなたを飼うことに
とても忙しい

引き出しを開けると
テーブルと水草がないので
ホームセンターへ買いに行く ....
ごみ捨て場に
ものさしが捨ててある
とても使いこなされた
古い単位のものさし
やはり捨てないことにしたよ
と父が来て
拾いながら横目で
お前のものさしはいいな
と言った
二人にはまだ ....
スイッチを入れて
ゆっくりとまわり出す
瞬間が恋だとしたら
スイッチを切るまで止まらない
換気扇はいったい
どれだけのため息を
換気しなければならないだろう
と、扇風機が
首をふりなが ....
私たちは
雨の絵を描いたり
バケツに水をくんだり
シャワーから水を出してみたり
思いつく限りのことをしてみたけれど
先生はそうじゃないと言って
青空のはしっこをつかんで
そっとめくってみ ....
会社をやめて独立したという古い友人と
ひさしぶりに私のアパートの部屋で飲んだ
これが意外に儲かるんだよ
と言う友人は、自動販売機になっていた
胸には常にテレビのようなものを映している

あ ....
サイコロをふって
コマをすすめたら
梅雨入りのため
一回休み
と、出た
しかたなく
ぼくは軒下で
ほかの誰かと相合傘の
あなたの後ろ姿
おとなしく見送った
むー。
と、
音がして
電車がホームに入る
それは声ではなく
乗客の
希望と不安と
そして無関心が
いりまじった
心の音
今朝の
むー。
は、
1オクターブ
高かった
動物園の猿が
声を食べている
人間の声を
むやみに与えないでください
と、注意書きがあるので
みんなただ黙って
猿を見ている

携帯が鳴った
電話の相手が
ものすごい剣幕で怒ってい ....
めんどくさがりやが
めんどくさいことをしている
めんどくさがりやほど
めんどくさいことをしたがる
めんどくさいことが
もうこれいじょう
めんどくさいことにならないように
あしたがもっと
 ....
たらいまわしにされているたらいが
私の家に届いた
底のひび割れから水漏れするので
仕事にありつけないのだと言う
私は気の毒に思いひび割れを修理してやった

翌日たらいの奥さんと息子も届いた ....
眠らない夜の
ざわめく都会の駅に
ひとり立ちつくし
冷蔵庫の音しかしない
居間で酒を飲む

冷蔵庫から
食べ残しのつまみを出し
ホテル街へ歩いてゆく

賞味期限切れのつまみは
結 ....
この世にはない湖の辺で
あなたに会う
この世にはない花を摘み
あなたを飾る
この世にはない愛の言葉を
あなたにささやく
この世にはない幸せの鳥が
あなたを祝福する
そんな世界 ....
階段の一段目にある
農村を踏まないように
慎重に飛び越える
出前の人が誤って
畑の上に器を落とした
突如あらわれた
ミステリーサークルにより
村の人々は大騒ぎしている
あんなおれ
こんなおれ
そんなおれ
みんなおれ
おれだおれ
軌道を外れて落下する雨
待ちこがれる傘
からだを露骨に紅潮させ全開となった傘を
雨が狂ったように激しく打ちつける
すべてが終われば傘は
からだに付着した雨を丁寧に振り払い
雨は何事もなかっ ....
チョコ!チョコ!
寝言を言って泣く息子を抱いている妻
こないだスーパーでチョコはもうだめって言ったから
きっとその夢よ

夢の中のチョコはどこへ行ったのか
それは僕の夢にあらわれた
息子 ....
誰に気づかれることもなく
蟻が風呂の排水溝に吸い込まれていった
死んでしまったかと思われた蟻は
翌日水道の蛇口から金魚になってあらわれた
金魚鉢でしばらく飼われた金魚はある日
誰に気づかれる ....
朝ご飯をつくる母のまわりは
今日もお腹を空かせた子供たちで大にぎやか
朝ご飯だけが仕事じゃない母はついに
もう!なんでみんなここにいるの!
家族だからさ!
新聞を読んだままの眉間の父の声に
 ....
目の前で
ひらりと舞い上がって
足跡は空高く飛んでいった

あのひとの足跡も
ひらりと舞い上がった
慌てて両手でつかまえて
背中に隠したけれど私はすべてを知った

行き ....
幼稚園でぼくは人生ではじめての
本格的な人間関係を体験する
触れるだけで傷がついてしまいそうな
新芽みたいな人間関係は
なまきずが耐えない心の訓練
お母さんはいない
苦しくても悲しくても
 ....
空はギター
すきとおる
風の音
甘い日差し
幾層も重ねて
陽炎の音
うすい残響
地平線
ふるわせる
細い弦
音もなく
切れて
とぎれて
聞こえる
波の音
月の囁き
空は ....
とおい記憶の
ちいさな電車
だいすきな
祖母といっしょに
がたんごとん
たんぼと空
いい空気
おひさまの光
まぶしさに
目をつむる
みっつかぞえて
目をひら ....
「百万円といったら、大金じゃないですか。」
 驚く私に、老女は、落ち着いた様子で笑いながら言う。
「ふつうだったら、そう思うかもしれません。でもこれで人生、やっと清算できた思いなのです。」
 電 ....
泳ぐ空どこまで行っても泳ぐ空

水平線こえた世界が知りたくて

木漏れ日よそこに私はおりませぬ

麦藁帽編み目の数の夕まぐれ

思い出に暮らすが我が生きた証

いつの日か小さい緋鯉 ....
今夜は
さらに遠く
水の音も
ガラスに砕け
落ちて
また落ちて
雨のむこう
古家の奥から
弱い風の声
待っている
ほおずきの頬
待っている
遠まわりの道
破れたページに
隠 ....
あおばさんの小川 葉さんおすすめリスト(445)
タイトル 投稿者 カテゴリ Point 日付
- 小川 葉自由詩1207-6-30
ものさし- 小川 葉自由詩1107-6-29
ため息- 小川 葉自由詩5*07-6-27
先生- 小川 葉自由詩607-6-24
再会- 小川 葉自由詩1207-6-22
一回休み- 小川 葉自由詩607-6-22
むー。- 小川 葉自由詩6*07-6-21
- 小川 葉自由詩1007-6-21
めんどくさがりや- 小川 葉自由詩607-6-20
たらい- 小川 葉自由詩9*07-6-17
冷蔵庫- 小川 葉自由詩6*07-6-17
無数のあなた- 小川 葉自由詩7*07-6-13
農村- 小川 葉自由詩407-6-12
おれ- 小川 葉自由詩2*07-6-9
雨音- 小川 葉自由詩6+*07-6-8
チョコ- 小川 葉自由詩407-6-6
- 小川 葉自由詩707-6-5
家族- 小川 葉自由詩507-6-2
足跡- 小川 葉自由詩1107-6-1
植物園まで- 小川 葉自由詩507-5-31
空はギター- 小川 葉自由詩607-5-27
電車- 小川 葉自由詩5*07-5-13
投資- 小川 葉散文(批評 ...2*07-5-11
こどもの日- 小川 葉俳句6*07-5-6
遠まわり- 小川 葉自由詩207-4-23

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