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お盆に実家に帰ったら
なつかしい扇風機が居間にあった
こどもの頃に足でスイッチを入れたり切ったりして
かなり邪険にしていた扇風機が
とてもモダンで今っぽく
おしゃれな感じに見えた

お墓 ....
太陽の抜殻が
うすく影をのばし
速度を落としていく

過ぎゆくものはみな
風の一部となり
思いとともに
彼方へとはこばれた

恋人がいま
海のまんなかで
夏の手紙を書いている
 ....
海が近いことを知り
かなしみをさまよい
また生まれては
消えゆくものの儚さは
通り雨のように
振り返ることもない

いのちもまた
空のしたに
ゆたかにたたえられ
空もまた海に
鮮 ....
眠るまでの少しのあいだ
自分から発せられる
においを嗅ぎながら
内側から人間の
かたちをなぞってみる
それから
夢の世界にたどりつく

夢の世界に浮かぶ雲
彼もまた
眠るまでの少し ....
告げることもなく
終わるものの
西日に照らされる
影のかたち

騒がしく
鳴り続けた夏が
ひとびとの胸に刻まれる
記憶のかたち

あの角にはたしか
食堂があったはずだ

なぜ ....
今日わたしは
はじめて
自分の声を
発したようである

意味はまだない
欠陥である

血管が
血が流れる管
だとしたら
そこがふさがったら
たいへんである

詩どころか
 ....
格子縞の海を
旅してる
あなたの自転車が
さみしい弧を
描いているのだろう

音がする
鉄柵のむこうから
声のようにかすれては
消えゆくものの

西へ向かう空
魂に似た囁きの
 ....
ドレッシングがなくても
野菜はおいしかった

ファミレスのサラダバーから
野菜が消えたのは
失恋した女が
生で食べつくしたから

なみだの味が
このうえない調味料となり
すこしばか ....
階段をのぼる足音の
海をさかのぼる
波音が今
わたしの深い
大陸棚に
ぶつかる音がして
なにも見つからない

ちいさく
広がるだけの星が
こぼれる秋
虫の声が燃えている

理 ....
やさしみを追い越して
苦しみが走り去ってゆく

あるいは
親しみや憎しみ
すべて等しく並んで

世界陸上には
いつだってはじめに
言葉あるいは問いがあった

オンニュアマーク
 ....
歌声は必然となり予知した
扉を開けると歴史があった
かのような感性が
刻まれるたくさんの歓声
生き様が時間と場所の
一致へと導かれ
喜びと悲しみあるいは
理解しえない感覚さえ
意味を待 ....
即席のバーベキューセットで
思い出を焼いた
崖から海へ降りる際に
つかんだ植物さえ
根こそぎ収穫した
無人島生活は今日で
一ヶ月目になる
暦の上ではすでに
夏は終わっていたはずなのに
 ....
象徴化された
シンパシーが
屋上で欠伸をする

記憶装置が
スキップして
計画と組織は
順序よく
並べ替えられた

戸棚のチーズが
模擬実験的に
世界に調和され

ねずみた ....
光が伸びていく方に
魂があるように
牛もまた
どこかへ向かって
伸びていった

お母さん
と呼べば
お墓の中から
鳴き声が聞こえる

膝をかかえたまま
じっとして
夏の一日だ ....
古代に誰かが語った
人間は考える葦である
を受けて
近代の誰かが語った
人間はもの思う葦である
を受けて
現代の誰もが語らなくなった
もの言わぬ葦も
時代を超えて
いずれも人間である
遠方の空から
羊の手紙が届く

あなたは
読みかけの夏に
栞をはさむ

本棚にある
羊の数ほどの秋は
夢から覚めたばかりの
赤い枕だった

隣では不眠症の女が
羊を数えながら ....
季節のかくれんぼ
がはじまって
夏が秋をみつけた

あなたがわたしを
みつけられないまま
かくれんぼは終わった
二人が出会ってから
いくつもの電車が通り過ぎた

始発の準備をするあなたが
終電の窓の向こう側に見える

わたしはあなたに
ありがとう
と言った
次の瞬間にはもう
始発に乗っている ....
ポケットの中に
言葉が生まれる速度よりも
あなたの思いが
離れていく速度のほうが
少しだけ速かった
ポケットは口を開けたまま
言葉を失っていた
夜の滑り台で遊ぶ
流れ星の願いが叶う
お父さんとお母さんは
むかし屋根の上で
恋に落ちました
ガラス時計から
コードは生まれ
世界のどこか
不協和音の子供たちの
空を信じてやまない
平和とそれ以外が
夏に調和したら
秋の足音が
もう道に迷っている
うっかり昼寝している間に
半開きの窓から
しちがつの祭りが逃げていった
あわてて町中を探すと
黒山の人だかりがあり
かきわけて中に入ると
側溝に落ちたしちがつの祭りが
救出されているとこ ....
霧のポケットから
たよりなくこぼれおちる
飴でできた郵便受けに
新しい手紙が届く

閉ざされた空から降り注ぐ
涙の化石ひとつひとつを
言葉に記すように雲のページは
静かに静かにめくられ ....
テレビの中のひとが
環境問題について話していました
テレビの外のひとは
そんなものだろうとみていました
テレビの中と外の境目に
三つの色がありました
太陽と植物と空の色でした
ひとの色で ....
十年以上も昔の地図と
現在の地形を見比べている
かつてあそこには
二つの山などなかった
かつてあそこには
草など生えていなかった
その草原の奥にある
深い谷から水が溢れ
湖となったそこ ....
真夏の砂浜の
パラソルの下の
ちゃぶ台に
貧乏な親子の
食卓があって
その隣には
サンオイルで
てかてかと輝く
若い女が
こうらぼしをしていて
やきすぎると
肌に悪いと思ったのか ....
人違いをした
人違いしたのは
はじめてではなかった
はじめて人違いしたのは
デパートのおもちゃ売場で
母親とまちがえて
知らない女の人に
おもちゃをねだったときだった
知らない女の人は ....
橋の上を
こどもたちが
笑いながら歩いてる
橋の下を
川が笑いながら流れてる
あんなに笑顔で溢れていた橋が
今は静かにこわされてる
橋の向こうに
笑うひとが
いなくなったために
よほど
苦しかったのか
あなたは
泡をはきながら
空高く水面へ
浮かんでいった

えら呼吸が
苦手なわけでは
なかったが
ときどき
疲れてくると
肺呼吸してしまう
悪い癖があ ....
ときどき妻が
キッチンの引き出しの中をのぞいて
笑っているのはなぜだろう
中をのぞこうとして近づくと
あわてて閉めて私を追い払う
みんな眠ってから
トイレに行くふりして
開けようとした瞬 ....
あおばさんの小川 葉さんおすすめリスト(445)
タイトル 投稿者 カテゴリ Point 日付
扇風機- 小川 葉未詩・独白5*07-9-3
秋の海辺- 小川 葉自由詩407-9-3
よかった- 小川 葉自由詩2*07-9-1
変化する- 小川 葉自由詩207-8-31
冷やし中華終わりました。- 小川 葉自由詩6*07-8-30
けっかん- 小川 葉未詩・独白307-8-29
染まる- 小川 葉自由詩207-8-29
菜食主義- 小川 葉自由詩3*07-8-28
あたらしいもの- 小川 葉自由詩607-8-28
やさしみ- 小川 葉自由詩3*07-8-27
DIVA- 小川 葉自由詩2*07-8-21
光速の美夏- 小川 葉自由詩4*07-8-18
西暦2007年- 小川 葉自由詩2*07-8-17
牛車- 小川 葉自由詩207-8-15
もの言わぬ葦- 小川 葉自由詩207-8-14
赤い枕で眠る女- 小川 葉自由詩307-8-11
かくれんぼ- 小川 葉自由詩2+07-8-10
電車- 小川 葉自由詩307-8-7
ポケットに速度- 小川 葉自由詩6+07-8-5
夜の滑り台- 小川 葉自由詩107-7-31
調律- 小川 葉自由詩107-7-31
しちがつの祭り- 小川 葉自由詩407-7-27
二番目のきみへ- 小川 葉自由詩707-7-19
- 小川 葉自由詩307-7-19
ウィリー、ウィリー、きみの名は、- 小川 葉自由詩5*07-7-13
パラソル- 小川 葉自由詩3*07-7-11
人違い- 小川 葉自由詩907-7-10
- 小川 葉自由詩907-7-10
呼吸- 小川 葉自由詩407-7-9
引き出し- 小川 葉自由詩14*07-7-5

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