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あちらのお客様からです
とウエイトレスが運んできた
飲み物には
温度があった

冷たいものも
温かいものも
ひとたび口にすれば
喉を通っていく

あちらのお客様からです
と ....
 
 
いつも僕の背中を見ていた
祖母がお日さまを見るように
僕の背中を見ていた
僕が祖母のお日さまだなんて気づく必要もなく
その眩しそうにしてる目に気づくこともなく
あるがままに輝いて ....
 
 
ふと鏡にうつる
その男を
街にやってきた頃
わたしは見ていた気がする

街に来た母と
ある居酒屋で飲みながら
いつか海外旅行に連れてってやると
豪語した
そのカウンターの ....
 
 
あることも
ないことも
ぜんぶある

あのひとは
ほんとうは
ぞうなのだ

そのひとたちには
みえている

りんごをつかむ
ながいはなも
むしをおいはらう
ほそ ....
 
 
この季節になると思い出します
行きも帰りもバスでした
山奥の芋煮会場に着くと
澄んだ風が吹いていました
肌が乾いてなつかしい気がしました
網目になった体を
すうすう吹き抜けてい ....
 
 
ろくでなしの父親が
息子が来年
六歳になる頃には
幼稚園に行かせてやると
飲みながら大ぼらをふいて
株価を上げようとしている

職場では
仕事をどんなにこなしても
それが ....
 
 
お正月
母の実家から見える
山脈の麓にスキー場があった
数キロ続く田の先にある
駅前の街のそのさらに数キロ続く
田の果てに
スキー場が見えていた

とても遠いところなのに
 ....
 
 
落書きが欲しくて
お金を渡すと
気軽に売ってくれた
壁のような人が
また何かを遮るため
無表情のまま立っている
それを見ている
人のような壁が
落書きの中にいた
壁のよ ....
 
 
川がある
命の川だ
ありもしなかった
そこをいつからか
川が流れている

今そこにしかない
川を見て
見届けている
私がいる

うすぐらい部屋の隅で ....
 
 
港のにおいがする
海ではなく
人間くさい
暮らしがあるところに
海ちゃんがいる
死んだはずなのに
どうしているのだろう
首をかしげると
首がないことに気づく
わたしの耳に ....
 
 
土曜の朝から
日曜の夕方まで仕事をして
家に帰ると
妻と息子が家の前で
途方に暮れて立っていた

買い物に行こうとして
鍵をかけて抜いていたら
鍵が折れてしまったのだと言う ....
 
 
わたしのように
書いたものが
ここにある

わたしのふりをして
必死にわたしになりながら
わたしになれたのか
なれなかったのか
後悔してる
わたしを見てる
わたしがいる ....
 
 
牧場の匂いがする

牛がいる
馬がいる
羊がいる
柵がある

のではなく
わたしが一人
ここにいる
 
 
 
 
ひざの上で
猫が
ねこっ
としてるので
私も
ひとっ
として
喉を撫でる

ひざを離れ
ねこっ
としたまま
窓から出ていくと
ひとっ
として
さみしくなる
 ....
 
 
知らないことは
罪ではない
知らないふりをするだけで
憎悪に気づかずに生きていける
わたしたちの
暮らしもあるけれど

あるいは
あった
とも言える
今あるものは
す ....
 
 
梅雨明けが近づくと
朝焼けが色っぽい
夕焼けも色っぽい
一日のはじまりと
おしまいが色っぽい
夏が来るのだ
待ちきれずに染まるのだ
桃と橙を
混ぜたような
絵の具がしたし ....
 
 
バスをおりて
はしをあるいて
ははとわたる

なぜかは
おぼえてないけど
たしか
こうじかなにかだった

はしをわたると
またバスにのって
となりまちへいった

 ....
 
 
からのおけに
こえをみたしていく

みあげるとあおいそら
おなじいろのふくをきた
しょうじょがわらってる

かぜのちょうじょうから
おちてくる
そのそくどで

うまれ ....
 
 
あるひわたしは
さかだちしてることにきがついた
うまれたときからずっと
あたりまえだとおもっていた
さかだちをやめると
ちちもははもいもうとも
しらんぷりしてさっていく
しか ....
 
 
ごぜんにじ
よだれをたらしてよろこんでる

どたばたあしぶみして
きせいをあげて
きんじょめいわくだってかまわない

おとうさんとあそびたくて
おきてたんだね
ねむるふり ....
はじめてみるものばかりでした
はじめてきくことばかりでした

やがてはじめてではない
ものやことばかりがふえていくと
いきることやものとは
そのようにあるのではないかと
おもうように ....
 
 
わたしは幼い頃
祖父のことを
タキモトさんと呼んでいた

しばらく年を経て
生まれた妹も
タキモトさんと呼んでいた

時は過ぎ
わたしの息子が
わたしの父を
タキモト ....
 
 
やっと一人になれた
一人になることばかり考えていた
私は味噌ラーメンを注文して
食べながら美味しいと思っていた

やっと一人になれた
向こうのテーブルの女も
もはや人の形をう ....
 
 
老人とばかり
思っていた

煙草は吸いません
煙を吐きながら
私たちは

コーヒーは飲めません
だから私たち
紅茶ばかりね

返事は出しません
手紙に書いて
他愛 ....
 
 
治りかけの痔が
痒くて気持ちいいのだと
祖父は言った

痔は治りかけてるのに
とも
祖父は言った

私は誰もいない公園の
ブランコに乗り
治りかけの痔について
考えて ....
 
 
カラスが鳴く朝が
今朝もやってくる
朝になれば
れいのいい調子で
いつものように
あの声が聞こえてくる
はずだった

としたら?

とでも言わなければならないような
 ....
 
 
ストッキングの
踵のあたりが破れて
熊の顔になっている

その熊に
首筋や背中を
何度も引っかかれたけれど
僕は死ななかった

真夜中
真っ暗な部屋に
NHKを灯して ....
 
 
手をつなぐと
僕らはまた
別な生きものになっていた

それは家族だったり
友情だったり
恋だったり

そんな名前で
手をつなぐ
生きものは呼ばれていた

ここには
 ....
 
 
扉がひとつあった
父さんの扉だ
厳重に施錠されてるので
誰も開けることはできない
父さんの少年時代のことは
聞けば話してくれるだろう
けれども僕は聞かない
なんとなく照れくさ ....
 
 
上ってきた階段は
そこで途切れていたけれど
僕らはもっと
上らなければならないので
一段ずつ階段を
作らなければならなかった

家に帰れば
君も一段作り終えてる
翌朝には ....
あおばさんの小川 葉さんおすすめリスト(445)
タイトル 投稿者 カテゴリ Point 日付
あちらのお客様からです- 小川 葉自由詩6*09-11-6
背中には向日葵- 小川 葉自由詩309-10-22
鏡の男- 小川 葉自由詩309-9-26
おひとり戦記- 小川 葉自由詩2*09-9-24
いきかえり- 小川 葉自由詩1109-9-19
ロク- 小川 葉自由詩6*09-9-15
スキー場- 小川 葉自由詩709-9-14
かべ- 小川 葉自由詩8*09-9-5
台風一過- 小川 葉自由詩409-9-1
デイドリーム・ビリーバー- 小川 葉自由詩7*09-8-30
愛鍵- 小川 葉自由詩709-8-11
わたしのように- 小川 葉自由詩309-8-6
輪郭- 小川 葉自由詩2*09-7-30
ねこっ- 小川 葉自由詩709-7-29
草刈り- 小川 葉自由詩609-7-26
夏のカプセル- 小川 葉自由詩209-7-14
うかい- 小川 葉自由詩409-6-17
マリーのうた- 小川 葉自由詩209-6-12
さかだち- 小川 葉自由詩209-6-10
おもいで- 小川 葉自由詩4*09-6-9
ア、雨- 小川 葉自由詩209-6-7
タキモトさん- 小川 葉自由詩109-6-4
昼休み- 小川 葉自由詩209-6-1
文通- 小川 葉自由詩109-5-28
風になる- 小川 葉自由詩509-5-21
カラスが鳴く朝- 小川 葉自由詩209-5-19
- 小川 葉自由詩309-5-16
手をつなぐ生きもの- 小川 葉自由詩309-4-2
チャイルドロック- 小川 葉自由詩5*09-4-1
ひだまり- 小川 葉自由詩409-3-31

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