草刈り
小川 葉

 
 
知らないことは
罪ではない
知らないふりをするだけで
憎悪に気づかずに生きていける
わたしたちの
暮らしもあるけれど

あるいは
あった
とも言える
今あるものは
すでにないということだ
幸せも不幸せも
気づいた頃には
後悔ばかりしてる
過ぎてしまった日々と
これから過ぎていく
日々の隙間で
わたしたちは

たとえ知ろうとして
知ったとしても
知らないことの方が
はるかに罪は軽いのだ

何も知らずに
お墓のまわりに根を張る
雑草が去年よりも増えている
ゆるされた罪の
償いの数だけ
草を刈る
 
 


自由詩 草刈り Copyright 小川 葉 2009-07-26 06:10:22
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