1、

時計が居た。
車椅子の少女の部屋、机の上に小さな
目覚ましアラーム機能付きの。シンプルな。

セロハンテープは寝ていた。
事務員の引き出しの中で、無雑作に横になり
不必要な書類 ....
拝啓


 これは、私があなたに宛てた最初で最後の手紙になるでしょう。こちらはもう随分と日が短くなって、丁度今、夕暮れ時です。秋の冷たい風が銀杏の葉を染めて、歩道では銀杏がずいぶん潰れてしまって ....
ばあちゃんを乗せて
じいちゃんを見舞いに行く

ゆく道の傍らに
塀越しの柿の実が鈴生りだ
ひとつぶずつに
千年と千日の
日差しがはね返る

 小太りの猫が座ってたじゃないか
 毛の ....
日蝕がなまぬるい砂糖水に侵されていく惑星のゆめを視た
色彩のはれつした音がこなごなにな/っ/て
白昼夢をかけめぐる(ざいあくかん)におおわれる


―その音はとてもキレいだった


誰 ....
約束の黒い時間を巡って
波打つ人々の肩でした
風も騒がぬ午後でした
フィナーレが始まり
フィナーレが終わりました
細いこずえの先に
歌のひとかけらがぶら下がり
がらんと乾いた
秋の日差 ....
「まるで地層」

頭上を滑るコンテナトレーラ層

さらに上空をよこたわり蛇行するモノレール層に見下げられている
地下層はたぶんなにもない
原っぱ
交差点にできたとうめい角膜のレイヤーだ ....
スーパーマーケットの
タイムサービスで
父が売られていた
お惣菜売場の隅に
さみしそうに立っていた
私が買った
うれしそうな顔をする父に
何か食べたいものはないか尋ねると
 ....
  緑のべ
  胸の静かな鳥、飛んでる  嘴鳴子 (呼びやる、手がさざなみだ)
  ぜんぶがぜんぶ静止画のようにただの一片を切り取った
  狭いから 気をつける  体を食べる線に 付き合う
  ....
ゆく道の車の窓に
雲を光らせ 幟旗を押し立てて
見知らぬ男たちが手を振る
起きぬけの笑顔で

すぼめて垂らした傘の先を
水たまりに映して
参議院選挙の投票に行く

昨日死んだ紺の背広 ....
紙面に筆を入れることで、そこは詩の場所になる。
その場所から立ち現れる言葉を、詩人は「詩」として掴もうとする。

書かれた言葉から「街」という「詩」の、(こういって良ければ)「意味」までに登らな ....
{画像=100418011811.jpg}
「ちょっと済みません!」
 不意に、後ろから声を掛けられた。
 振り返ると、ベビーカーと一緒に三十歳前後の女性が立っていた。隣にも、ほぼ同年代の女性が ....
目次みたいな人生が詰まっていて、きつく、とても、それが何重にも重なって数えきれなくて、っていうのが何列にも並んでいて重い。
待ってはいるけど待たされてるわけではないし、たくさんやってきて、たぶん、い ....
ギトギトの君を、
ギトギトでヌメヌメの君と、
ギトギトでヌメヌメでベトベトの君が、
好きすぎて近寄りたくない気持ちを
恋と呼んでいいものか悩むから
もう夏だ
私は赤いニットのカットソーを握 ....
ぼくは十代の頃に少し詩を書いていたのですが、それは数年で終わり、その後は十数年間詩作から遠ざかっていました。ふたたび詩を書くようになったきっかけは、十年ほど前、はじめてパソコンを購入し、パソコン通信の ....  例えば地に足が着地したとして
 曇り空と背の高い建物の間に
 そっと手を差し入れることもできるし
 湿っぽいから霧を出してもいいし
 花のように丸くなることもできる
 後悔はな ....
生まれなかった椅子の名前が
ずっと心の中にある
さやかちゃんとそよこちゃん
椅子を作るひとはいても
椅子を産むひとはいないので

今生、出会ってきた椅子たちの
面影は今も憶えてる
青い ....


 10個目のピアスは、9個目のすぐ下に空けた。恋人となるのが4度目となったTに空けて欲しくて用意したピアッサーを用いて、結局は自分で。相手が望まなければ意味が無い、単なる押し付けがましい願 ....
ワードを開いたがカーソルがない
右クリック、右クリック
真っ白なのでマウスを叩きつける
「使わせろや」

ノートを引っ張り出す
ボールペンを滑らせても
色が出ない、
こすってみても
 ....
2005年にウエノポエトリカンジャム3という
野外で8時間ぶっ続けで約80組が出演し
詩の朗読をするというイベントの
実行委員会の代表をやらせていただいた。
3というのだからそれ以前に2001 ....
毎朝
燻る私の香りに包まれている
踏み込んだ片足が抜けないまま、明日に来てしまった
靴はいつの間にかなくなって、そんなことにも気付かない
それでも柔らかい、朝は好きだ
コップ一杯のミルクで、 ....
 
 
遊歩道 風化の隅にももいろの雨が逝く午後 そっと手つなぐ




触れられるそばから羽化をした 二度と同じではない スプリング・イズ・ヒア
たくさん
たくさんたくさん
たくさんたくさんたくさんたくさんたくさんたくさんたくさんたくさんたくさん
の、はな

*

汚れた雑巾で机を拭きながら
それでも掃除をしてるつも ....
目覚めると輪郭だけが残っていた はまって遊んだあとで、笑った


ソファの上に速度の違う一日あり胸とくとく打つ猫と私と


いまはもう見えなくなった補助輪のかろかろ我の胸に鳴り在る

 ....
白いのかもしれない全部






ざらざらしている、
ソプラノ歌手の不安だ、工場の煙突から湧き出る、
砂を噛んだ黄色い音が、中空で消滅していく、
私の陰は深緑、ウ ....
誰も知らない人が隣に住んでいる
もう十日になる、声を聞かないし聞こうとも、しない
私は猫を裏返しにしながら、誰か、がいない遠くのことを思う
もう、春だ
冬はかたちになってしまうから、駄目だ
 ....
始めに朝があった
僕たちは扉を開けて
靴音鳴らして別れてった



「自分に自信がある男程SEXが下手なんだよね、何故か分かる?努力しなくても良いから。自分に卑屈な男の子の方が自分に ....


そして皮膚が脱げていく
鳥になって
JRの中にすごいあふれて
ホームのドアが開くたびに散らばって
ぶわっとなりながら
短い永遠とたましいを乗り換え
不安と怒りは眠りと平坦な祈りに ....
 
 仙台は変わった、と人は言うけれど、私はそうは思わない。たしかに、形而下の変化はあるにしても、変わったとすれば、それは人が変わったのだ。街を歩けば、古い地元の店は、休日だというのにシャッターが下 ....
裸見て笑う山見て初湯かな
裸あまた見て山笑う椿の湯

まるさんかく女体百態つばきの湯
満ちて堕ちて残る輪郭つばきの湯

垂乳根の銀杏の気根のような乳
吸い物椀二つ伏せたような満ちた乳
 ....
スニーカーのひもを結びなおして顔をあげる
あたたかい冬の日に遠い風が吹き
何度でもほどけていくこと
立ち止まって教えてくれる、ひと
あれから、
の起点が見つからない
迷子の羊が横断歩道を渡 ....
mizu Kさんのおすすめリスト(286)
タイトル 投稿者 カテゴリ Point 日付
ルパタフユ- 鈴木陽一 ...自由詩6*10-12-15
あなたへ- yuko自由詩410-12-5
ばあちゃんを乗せて- オイタル自由詩5*10-12-4
丁寧な死にかた- usoni自由詩610-12-3
お葬式- オイタル自由詩3*10-11-11
そびえたつ邂逅- 乾 加津 ...自由詩5*10-8-26
タイムサービス- 小川 葉自由詩14+10-8-26
打ちつけられて- 嘉村奈緒自由詩1510-8-5
参議院選挙へ_みんなと行く- オイタル自由詩9*10-7-11
Let_the_people_play——The_Game. ...- 葉月二兎散文(批評 ...5*10-6-24
写真のこと- 「Y」散文(批評 ...310-4-18
ヒ、リ- 新宮栞自由詩610-2-26
知らないし君の尋常- 手乗川文 ...自由詩810-2-8
<これは、死のようなモノ>_〜_川村透さんを悼む- 藤原 実散文(批評 ...1709-12-14
たおやか着地- 嘉村奈緒自由詩15*09-12-9
椅子の名前- 小池房枝自由詩409-10-31
身体の海【6/6】10番目のピアス- A道化散文(批評 ...109-8-9
するしかく、されるしかく- 木葉 揺自由詩3*09-6-5
ウエノポエトリカンジャムと詩について_1- 馬野ミキ散文(批評 ...13+*09-6-3
ベーカリー- 霜天自由詩409-5-2
_________- 石畑由紀 ...短歌6*09-4-2
祝辞- れつら自由詩709-3-24
独りごとにすら、できない- 石畑由紀 ...短歌12*09-3-7
赤い砂漠- 手乗川文 ...自由詩6*09-3-4
隣人- 霜天自由詩609-2-21
革命前夜- 手乗川文 ...自由詩16*09-2-16
1と2- モリマサ ...自由詩1309-1-28
雪のひとひら- 小川 葉散文(批評 ...7*09-1-19
女体百態- 小池房枝俳句309-1-4
(無題)- キキ自由詩608-12-28

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