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幼かった私たちは
この蝶をヨツアシチョッチョと呼んだ。
今はもうそんな幼稚な名では呼ばないが。
私たちは誰も大人びた名称を知らなかったのだ。

でも私たちは知っていた。
昆虫は六本脚という ....
昼休みの中学校の教室に
セセリの群れが舞いこんできたことがある。
女の子たちは気持ち悪がって騒ぎ
男の子たちは争ってつかまえた。

鱗粉は毒だと言われていた。
茶色いし羽根の閉じ方が普通の ....
さびしい秋の夜の
さびしい田舎の
さびしい家の
さびしさが

さびしさのあまり
ちいさく凝って
足をはやして
ひょおんと跳ねる

さびしいね ひょおん
さびしいよ ひょおん
そ ....
近くの小学校から
家路のメロディーがかすかにきこえる。
むくどりが騒ぎながら巣に帰る。
そろそろ帰ろうと思って土手に登る。

いつも歩く河原の
何度も踏みしめた砂地。
そこに蟻地獄がいる ....
真冬の風に押されて入る
どこか樟脳くさい昆虫館は
暖房でひどく乾燥して。
こんな昆虫館には必ずいる。

この大物を忘れたら
昆虫少年たちが怒るものね。
確かにすばらしい虫だものね。
あ ....
ちっちゃくて硬い。
鈍色にくすんだ鉄のかけら。
美しい鳴き声は持たない。
美しい模様もない。

田舎の物置の
米ぬか臭い片隅で
ただ生きてゆくために
もぞもぞと生きている。

生の ....
烏瓜が真っ赤に色づき
葛の葉っぱがみんな枯れ
桑の木がセミヌードになるころ
カマキリは生きながらに枯れる

雄を食ったのは晩夏で
そんなものとっくに消化して
それでもまだ冬がこないので
 ....
いまはもうない家の
いまはもうない裏の畑で
空いっぱいに舞っていた
アキアカネ。

物干し竿に 洗濯物に
それをとりこもうとしてる母の髪に
それを見ている私の肩に
アキアカネ。

 ....
以前やませば(山田せばすちゃんのこと)とメッセで話していて、たもつさんの詩とやませばの詩の違いは、たもつさんのほうがマジメそーに見えることだと私は言ったが、よく考えればちょっと違うな。やませばの詩には .... 1.

洞窟は亜硫酸ガスに満ちている。
酸素濃度計は警告の悲鳴をあげ続け、
俺のマスクは目詰まりしている。
俺が生きているのはどうやら奇跡的なこと。

俺を拒み人間を拒む洞窟世界で、
 ....
まず言っておかなきゃならない
これを読んでるあなたは
(あなたが誰であれ)
この雑文における「あなた」ではない
あなたと「あなた」は別人である
筆者と「私」も別人である
まずあなたにこれだ ....
この惑星のこのあたりはそろそろ晩秋で
赤く色づきはじめたハゼの葉が
窓の外に揺れ

この惑星のこのあたりはそろそろ夕刻で
暗くなってきた室内に
パソコンの画面がまたたき
またたき

 ....
森はあたしの同級生で
森というのは苗字ではなく名前で
苗字は山田とか佐藤とか鈴木とか
そういう犬のクソみたいなたぐいだったと
思ってほしい

あたしはいつも森とだけ呼び捨てにした
mor ....
ゴミラは疲れてしまった。
うつむいて
とぼとぼと茶色い海辺をあるいた。

テトラポットが陽気な声で
「あたしはゴミじゃないわよ」と言った。
でもゴミラは知っていた、
テトラポットはゴミラ ....
たもつさんの佐々宝砂さんおすすめリスト(104)
タイトル 投稿者 カテゴリ Point 日付
ジャノメチョウ(百蟲譜11)- 佐々宝砂自由詩603-11-21
イチモンジセセリ(百蟲譜10)- 佐々宝砂自由詩403-11-21
カマドウマ(百蟲譜9)- 佐々宝砂自由詩303-11-19
カゲロウ(百蟲譜6)- 佐々宝砂自由詩203-11-18
ヘラクレスオオカブトムシ(百蟲譜5)- 佐々宝砂自由詩203-11-18
ゾウムシ(百蟲譜4)- 佐々宝砂自由詩403-11-16
カマキリ(百蟲譜2)- 佐々宝砂自由詩203-11-13
アキアカネ(百蟲譜1)- 佐々宝砂自由詩603-11-13
失われた醤油を求めて_—_たもつさんの詩の印象_1_—- 佐々宝砂散文(批評 ...703-11-8
白熱_リバース- 佐々宝砂自由詩503-11-8
「私」のノンレトリック- 佐々宝砂自由詩6*03-11-5
九十億のそのつぎの- 佐々宝砂自由詩603-11-1
森の背中- 佐々宝砂自由詩5*03-9-19
ゴミラの消失- 佐々宝砂自由詩5*03-9-11

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