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消えかけるほど明るい朝に
冷たくもあたたかくもない雪の上を
裸足でふわふわ駆けていると
雪に埋もれたひろい庭が見えてきて
そこには椅子がひとつ置かれていた



あたりに ....
こおろぎが歌っていた
草むらに伏した子の
目の前で


太陽のない午後の理科室
もうすぐ終わる授業中に
床と天井の間に浮かぶ
水銀色の粒の柱


青空と灰空と
白 ....
朝の影がのびてゆく
誰かが手放した
結晶のかたちをした風船が
小さな鳥たちに囲まれ
森のほうへと流れてゆく



町をかがやかせる
なめらかな人工
昼から夜へと動 ....
    言葉の木を枯らしたのは私です
    寄生木を植えたのは私です
    萎れてゆく花に拍手したのも
    枝を鳥の死骸で飾りたてたのも私です
    言葉の木は何も言いま ....
 
道端で
ガードレールを呑み込んで
冬の蛇が死んでいた
白く 汚く
冷たく 硬く
すべてに背中を向けていた


ひとりの少女が泣きながら
蛇の頭を撫でていた
私は言っ ....
荒地に倒れた鉄塔に
花と葉と鱗に覆われた子が棲んでいた
やまない雨のなか
たったひとりで
ひとりの赤子を生んだあと
風の向こうへと去っていった


雨が近い午後の下
 ....
暗がりのなか
細い光に照らされて
一匹の蛇が泣いていた
目を閉じたまま
わずかに汚れた白色に
かがやきながら泣いていた


蛇から少し離れた場所に
ひとりの少女 ....
  影だけが落ちていて  拾い
  においだけが落ちていて  拾い
  ねむりだけが落ちていて  拾い
  線路の上をゆく雲と月に
  拾いものでいっぱいの両腕を照らされ
  歩 ....
    私が「知っている」と言うとき
    知らない何かがひとつ生まれる
    その終わり無き巡りのひとつひとつを
    深く 浅く 
    許してやりたい
いくつもの傷
いくつもの雲
風をのぼり
空の終わりで出会い
いくつもの海を越えてゆく


光は雨に溶けてゆく
過ぎた日の光も
明くる日の光も
溶けあいながら分かれはば ....
小石の影が長くのびて
夕陽の家系図を道に描いた
たくさんの冷たい子供のなかに
ただひとり暖かい曾孫がいて
近づく夜にまたたいていた
鳥は去り
木が生まれる
切られては元にもどる雲
光の枝
朝の頬
つつむ手のひら
空は青い傷のもの



雨の暗号の向こうへと
ひとつのかたちが飛び去ってゆく
 ....
船の重さに泣く海から
浪のかたちの水柱
けもののように吠えのぼる
冷えては骨に染まる鳥
心なき王国をかいま見る



低い月の光にまみれて
甘いにおいを
鏡の道 ....
天気雨が終わり
朝が降る
花の頭の魚が
光の首の鳥が
幾つもの頭の獣が
何匹も空へ昇ってゆく
海のなかのふたつの木
冬の終わりとはじまりのように
降りそそぐ朝のなか ....
悲しい歌がひとつ終わり
静けさが喜びのようにやってきて
ふたたびはじまる悲しさに微笑む
雨の花に空は映り
空には雨の地が泳ぐ



水の歌が降り
歌の水が降り
鳥 ....
散る空があり 重なって
地にひとつの花を描いた
子供がたくさんの光を飛び越えていった
声の飛沫はらせんに昇り
かがやきとかがやきとかがやきの差異が
手をつなぎ かすかな羽 ....
拡声器の夢が
拡声器の子守歌に背負われ
揺れている


道から道へ
原から原へ
静かに理想は移動してゆく


堂々巡りの内の人よ
たどりつかないは
たどりつき ....
花を負う花が雀になり
鴉にやさしくついばまれている
音は聞かれる間もなく火となって
水だけを求めて落ちてゆく
別の音が別の音を得て空に生まれ
二羽の鳥の背の上から
川に沈 ....
風があり 葉があり
木々はゆっくりと点滅する
空にとどまるもうひとつの空
もうひとつの深緑
風になれないふたつの風


一本の木が
朝をさえぎり
音をさえぎり
 ....
分かれた空がさらに分かれ
水のなかの葉をすぎてゆく
音は動き 季節は動く
ほどけては鳴る遠い金
映るすべてに傾く空を
青はころがり
かがやいてゆく



陽は落ち ....
白 灰 午後 虹
放られたままに響く冬
窓に映る野を馳せる
手のなかの声 粒の声
まわる色 重なる色
水に濡れた小さな神話の
終わりとはじまり


陽から降りつづ ....
川の水と
海の水が
からだのなかで
縞模様に重なり
相容れるようでいて
相容れることのない
ふたつの双葉になってゆく



ゆらめく二枚の絵の前に立ち
ゆらめく水から来 ....
たくさんの雀が
それぞれの空を持ち
わたしの内をはばたいている



淡い羽が 喉を昇り
外に出て 腕に乗り
別の色の 空へ帰る

繰り返す



今ま ....
雑音の雲の子守歌
雪を蹴り 光る
雪を蹴り 光る
凍ることのない遠い音


夜には優しい二本の手首
朝には見えない起伏を照らす
起伏のひとつであるわたし
片方の目 ....
街に新しい色が来て
赤はみんないなくなる
空の鳥は銀になり
小さな家を埋めたので
原の鳥はただ一度だけ
冬へ昇る階段になり
原を行き来する足跡に
雲と羽を散らしながら
空の鳥 ....
ひとりひとりの背に棲むものが
夜更けに互いを呼びあっている
見えないものの通り道に立ち
腕をひろげ 聴いている
夜の光の下 揺るぎないもの
幾つもの影のなか 
ひとりきりのもの

 ....
軋みを撒いては走り去る鉄
遠い悲鳴のように過ぎてゆく
またひとつ助けられない小さなものが
手の甲に重なり 増えてゆく


開こうともせずに開く瞳が
そばにたたずむふた ....
白の白からはじまる声
ゆるくほどける水の鳥
ひろくとどまる陽の光
町に渦まく影を着せる


散る鳥 生まれる鳥の中心
人と機械の目のなかでさえ
生きた絵のように咲きひらき
 ....
右耳に車は聞こえない
左耳に降る金属音
追い抜くたびに空は笑う
切れぎれに拍手は過ぎてゆく


飛び去れ
飛び去れ
ひとりと
ひとりの道
ひとりの自転車の他はみん ....
空を破る鳥があり
空を貫く鳥がある
裂けめと裂けめの間から
別の空はすぐ消える
見る鳥だけがそれを見る
去る鳥だけがそこへ去る


雨と緑に
鴉ばかりが実っては鳴 ....
たもつさんの木立 悟さんおすすめリスト(74)
タイトル 投稿者 カテゴリ Point 日付
ノート(40Y.1・19)- 木立 悟自由詩304-1-22
ノート(誰も信じてくれないもの)- 木立 悟自由詩404-1-21
ノート(町)- 木立 悟自由詩404-1-19
ノート(39Y・4.7)- 木立 悟未詩・独白204-1-17
ノート(冬の蛇)- 木立 悟自由詩704-1-17
ノート(春の蛇)- 木立 悟自由詩304-1-16
ノート(夏の蛇)- 木立 悟自由詩804-1-15
ノート(39Y・6.5)- 木立 悟未詩・独白3*04-1-15
ノート(39Y・12.24)- 木立 悟未詩・独白3*04-1-13
雨の子- 木立 悟自由詩304-1-10
ノート(40Y.3・22)- 木立 悟未詩・独白204-1-10
雨鳥の冬- 木立 悟自由詩304-1-7
光がひらく原- 木立 悟自由詩404-1-6
降り来る言葉_Ⅲ- 木立 悟自由詩404-1-3
降り来る言葉_Ⅴ- 木立 悟自由詩403-12-31
降り来る言葉_Ⅵ- 木立 悟自由詩303-12-30
ノート(空へ)- 木立 悟未詩・独白203-12-30
降り来る言葉_Ⅶ- 木立 悟自由詩303-12-29
降り来る言葉__Ⅷ- 木立 悟自由詩403-12-28
降り来る言葉_Ⅸ- 木立 悟自由詩303-12-27
降り来る言葉_Ⅹ- 木立 悟自由詩503-12-26
ノート(鉄叉路)- 木立 悟未詩・独白603-12-23
ノート(雀)- 木立 悟未詩・独白403-12-18
ノート(夜火)- 木立 悟未詩・独白403-12-17
ノート(冬の目_Ⅲ)- 木立 悟未詩・独白203-12-16
夜のけだもの- 木立 悟自由詩503-12-7
ノート(たたずむ瞳)- 木立 悟自由詩203-12-5
ノート(けだもの)- 木立 悟未詩・独白403-12-4
ノート(自転車)- 木立 悟未詩・独白603-12-2
空に咲く鳥- 木立 悟自由詩303-11-29

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