地平線の上で
縄跳びをしている
少女がある日
その向こう側に
行ってしまった
縄は残されたまま
速度をうしなわずに
今もまわり続けている
地平線の向こう側には
言葉のい ....
ゆきつもどりつ戻り橋
雨にかすかの影うつす
きいてもらえぬ声千歳
まどうこころに戻り橋
ゆうべのけがれ
あなたの声か
からだを濡らす
あなたの声か
....
切なさと手を繋ぎたがる秋に囚われる前に
それら足下の落ち葉と一緒に踏みしだく
弱気なため息より早く決心をして
カケラになど成ると煌めいて厄介なので
塵に変わるまで粒子に還るまで ....
涙をぬぐう手の甲ごしに
おまえが見つめた火の生きものは
空に焦がれて死にかけていた
朝は目のようにゆうるり動き
世界は風のなかの風にたなびく
こすり
火を生み
....
走る。
地面を蹴って。
斜め前に跳ねる。
走る。
そんな気持ちを。
全身で感じる。
走る。
軽快な歌を聴きながら。
口ずさみながら。
走る。
....
あなたの音を聞かせて
そこに何もないことを
確かめるように
あなたの空を見せて
それがどこまでも続くことを
教えるように
私に映るあなたが
限りなく、あなたに
....
とても遠いところに
家族がいる
つまり今は
一人で暮らしている
自分以外にしない
呼吸の音を
耳をそばだてて
一人聞いている
父も母も
兄弟も姉妹も
そして友さえも
....
僕たちは汚れた道を
掃除しながら歩く
次から次へ
また汚れるのを掃除する
道はきれいになった
誰かが俺の道だと言った
僕たちは入ることができなくなった
また違う汚れた道を
僕たちは ....
これくらいは未来があって
このくらいは過去がある
なにもしらない。
が、どれほどの弱さと強さをうむか。
ぼくはまだ、しらないでいる。
まだ ....
軽快なモーニングコールで
目覚める僕の朝
始まりの鐘が鳴る
まだ 眠ってたいのに
布団のブラックホール
もう少しくらい
あと少し
引き寄せられて
引き伸ばさ ....
陽射しに青く染まる
耀く朝の枝で首をすくめる氷点
つめたいしずくが
透き通った時刻の表面を伝う
ちいさな吐息は宙色の結晶となり
遠ざかる背中に音もなく降り積もった
....
日が暮れる
夕空に星が輝いた
大きな月ものぼった
満月だ
タワーに灯りがともった
家々の窓にも
お店のショーウインドウにも
月が追いかけてくる
黒い山の ....
真っ白い画用紙に
夢を描くな
人物を描くな
風景を描け
風景を描けば
人物は自然と生まれてくる
夢を見るのは貴方じゃない
夢を見るのは 絵の中の人物だ
人物が歩くと
風景は加速す ....
最後まで
射しこむ視線
うっとりと透ける黄金の光に
浮かびあがる白い顔が沈黙をまもっている
一瞬間、
じゅうりんされた庭に
咲く血の花が
わたしの静脈でかおる午後
いく ....
ふたりでならんで
小鳥のようにねむった
特快にのりかえず
快速のままそうした
これからおたがい
別々の仕事場にむかうわけで
相方はアポイントに間に合うのか
俺 ....
空への
グラデーション
高く
高く
空へと駆け上る
色たち
色たちは
朝焼けに
夕暮れに
暗闇に
姿を変えて
また現れる
いつかまた
会えるの
空想抱く早朝
暁の空に
忍ぶ風と山々の陰
幻想を嗜む午前
青の空に
踊る風と山々の唄
妄想を蝕む午後
黄金の空に
眠る風と山々の眼差し
夢想に託す真夜中
藍の空に
旅路の風と山々の吐息
....
悲しみや
苦しみや
怒りとか
そんなもん振り回して
キチガイの振りして
騒いでれば
同情なんかで
彼女を振り向かせられるかな
デッカイ図体で
意表をついて
泣いてでもす ....
夜明け前の
蒼い蒼い
ひととき
こんな眼をしたひとに
遠い昔
会ったことが
あるような記憶
蒼いそらを仰ぐ
還らないときを思って
戻れないときを憂いて
育まれた命が
今はまた別な
少し大きな動物を
育んでいる
なき声は言葉であり
懐かしい響きでもあり
意味はまだどこか
はるか遠いところにある
育まれた意味は
やがてまた別な
少し確 ....
根を張れ
根を張れ
川底で流されるようなやわいのじゃ駄目だ
コンクリートの片隅に根を張れ
目の前を誰かが通り過ぎていっても
根を張れ
土に埋まって見えなくなっても
根を張 ....
秋になり 思い返すは 夏の夕
掛け違えたの ボタンをあの日
夏休み前
庭に
ひとつシャボン玉が飛んできた
夏休みが終わっても
そのシャボン玉は
割れずに
そのまま
今日も割れずに残ってる
先週、嵐がきた
昨日も雨が降った
それでも割れない
根性シャボン
歌は変わらず
私は ここに
歌は変わらず
そして 私は ここ
午後の日を 浴びきって
街を そぞろに歩き
ふと 立ち寄る喫茶
有線から 流れる
なつかしい 洋楽ポップ
....
陽は、夏を忘れさそないように眩しいけど。
風は、確かに冷たくなってきて。
もう、寒くなるんだな。
また、寒くなるんだな。
忘れかけたい記憶に。
ちくり、ちくりと刺さる。
....
未来とは
刹那の最果てのことである
未来とは
刹那のはじまりのことである
未来とはつまり
現在、という
この一点に包含され
現在、という
この一点を包含 ....
好きではない
むしろ嫌いかもしれない
それでも、
作られたものまでをも
嫌いにはなれない
一人ぼっちで
影を踏んで遊んだ、帰り道
空は何者かに犯されて
真っ赤に燃えていたことを
それだけを、ただ
覚えている
無垢な手のひらを伸ばした
見知らぬ稚児の瞳には
あれは、鮮や ....
眠れなかった寒い朝には
あったかいココアなんか
飲みたいな
ふたり
ひっついて
離れないで
パジャマ着たままで
そろそろ出かける時間だなんていいながら
はやく着替えなきゃなんて ....
宝くじ
当てたぐらいじゃ建てれぬか
馬鹿か 浪漫か 夢、青閣寺
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