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遠い風の透けた
銀のしずくが
{ルビ月影=つきかげ}おぼろにひびいて
さびしく薫る
ぬれた黒髪
結いあげる白い手
静かすぎる吐息の重さは
うつろな視線の光
映る予感の静寂が ....
最後まで
射しこむ視線
うっとりと透ける黄金の光に
浮かびあがる白い顔が沈黙をまもっている
一瞬間、
じゅうりんされた庭に
咲く血の花が
わたしの静脈でかおる午後
いく ....
真実が、
私を知っていれば、
それで良い。
雲
あんまり空が
低いので
私は泣いて みたのです
いいえ私は泣きません
ひとつも涙は零れません
とけてゆかない成分だから。
ひとり
あなたをきずつけぬよう ....
西日の{ルビ紅=くれない}に照らされた
誰もいない部屋の
あの日は永遠に暮れずに
私を傾きつづけて
太陽電池式腕時計の刻みつづける
秒針の先にひっかかっている
スープに影はささないでい ....
わたくしは、
そ知らぬ仕種で
かおる紅茶をなめる。
風に頁がめくれようとも
見果てぬ大空が翻ろうとも
わたくしは、
そ知らぬ
今日に
ほころび
いつかあえる
光子の微笑む
丘の上 ....