落ちる葉の 鋭い線を 流し見る
風ふいて 転がる葉音 耳すます
水平線に身をゆだねて眠っている
海面は揺りかごのようにゆらゆらと子守唄をうたう
水温はいくらかぬくもりを帯びてわたしを包む
羊水、とは確かにちがう
わたしと海の関係は、母と子という繋が ....
ある人、死ス。
その墓、石一つ花一輪。
周りの墓は花盛り、人絶えず。
年月十年。周りの墓、相変わらず。
ある人の墓、石一つ花一輪。
年月百年。他の墓、人絶え、墓石半分。
ある人の墓 ....
世の中のあらゆることには
だいたい先人がいる
だれかの善意が
だれかの悪意が
だれかの熱意が
いまのエネルギーのはじまりなのだ
だれかが遠心力を加え
だれかが ....
猫の眼は素直である
安ウィスキーをかっくらってばかりいる僕の眼とは
対照的だ
猫好きのひとに問いたい
きみらは嫁よりも猫をとるよな
少なくともこの一瞬
人生という長いスパンではなく
....
みんなが巣へ帰るのを
なんとなく眺める烏
木の枝が
夜露に濡れて
涙の雫をたらしてる
闇に溶けた烏
朝までここに
朝日が烏を
見つけてくれるまで
こうしてこのまま
....
こんなに悲しいのに
誰もぼくのこと理解していない
少年は海を前に呟いた
猫は鳴き声をあげた
少年には賛同していると理解したが
そうじゃなかった
猫は雌猫のところへ駆けて行き
じゃれあ ....
生きていく事がひどく
滑稽に思えてきたのです
紡いでいく朝
邪な思いを甘やかす小部屋
この道の先にあるものは
高が知れているだろうに
私は今日も滑稽な光に
身を委ねる
怒声が聞こえない
クラ ....
勇敢な三匹のメダカたちは
果敢に現実という奴と相撲をとったが
全然良いところ無く
次々未来へ投げ飛ばされた
妹のこんにゃくをたべたい
ぶしつけな事を言ってすまない
君には悪い事をしたと思っている
でも僕は妹のこんにゃくを食べたい
君のこんにゃくでなし妹のを食べたい
どうか僕の気持ちを理解して欲しい ....
夕暮れに
濡れた雨傘がぽつんと一つ
夕陽を浴びて
柔らかなオレンジ色に染まり
沈みゆく太陽を見て
何を思うのか
忘れ去られたかのように
壁に立て掛けられた様子が
どこか寂しげに見え ....
もう疲れてるんだ
目をつぶれば寝てしまいそうなんだ
そんなときに限って いやだからこそ
さりげなくいうありがとう
もう泣きそうなんだ
空を見上げても止まってくれないん ....
わたしが音楽だった頃
わたしの髪は風になびいたの
軽く、ほがらかに
わたしが音楽だった頃
わたしの頬は朝やけのたびに
ほころんだの
心の奥で太陽の灼熱が
わたしを ....
ごろごろと 枯れ葉の下に だんごむし 見下す人を 知ってか知らずか
ウィルスを喰って一つ目かがやかす
{ルビ脳廃爺=のすたるじい}感じるものだけ讃えゆく
泥酔の泥とは何か知る夜かな
雪混じる雨に漕ぎ出す{ルビ襤 ....
年暮れぬ子猫追ひ追ふ道すがら
病み猫にのしかかるなり冬の音
sick cat is dying
and covered with the sound of
serious winter
....
独りだけのもの
私だけのおやしき
カーテンの無い二階の窓
朝早く起きて
外を覗くと
眼が合うのは太陽と庭の薔
自分の身体に調子を聞いて
部屋の隅からどう?って
問い掛けるギター ....
いちごの心臓を食べる
ぐじゅぐじゅするね
いつも足りないのは
心臓より命の方が多いからか
誰かが謝ったりする
いちごってかわいいね
人の頭部みたいで
吊られて風に揺られて
....
僕の人生を埋めてくれるものはなんだろう
何かを愛したい
愛しつくしたい
心から!
足りないものは何だろう
見つけたい
探したい
どこまでも
....
灰色の道が続いている。
これまでずっと歩いてきた。
これから先も続いてゆく。
この道を歩くことができるのは僕だけだ。
誰とすれ違うこともなく。
共に進むこともない。
ずっと一人で歩 ....
この線から出たらダメ
頑張ってよ
って背中をたたく私の右手
何度もうなずき
力なく笑うあなた
一生一緒だけど
この線からは出たらダメ
今は一番お互いをよく知る ....
私が1000円で売った脳みそを
あの人は嬉しそうに自分の物と取っ替えた
道端に捨てられたあの人の脳は
行き場もなくもらい手もなく
だけど元気が有り余ってる
少し面白そうだったの ....
歩いていた小犬を蹴り上げたつもりが
刹那、足に乗ってさらに高みへと舞い上がった小犬よ
それとも俺が地面にめり込んだか
どちらにせよ
犬との距離に寂しさを覚えた
夏は他の季節よりも、死にちかいと
たれかがおっしゃったのは天の声のようにも想え
または蝉の声のようにも想え
または緑陰をくれる梢の優しさのようにも想え
私は夏を見極 ....
愛も
そこにあるうちに
当たり前になっていく
わかるかい
勇猛な
ペリカンの後ろ 少し離れて
ぞろぞろ歩く人の群れ
小魚が
落ちていればいただきます
世界は
どこまでプラス ....
月ひかる波
うつる姿に
手をのばせば
とおくかなしい雫が手のひらを濡らし
近付けば
姿を壊す
本当に欲しいのは
あなたによく似たその水面
光る姿を目蓋に焼いて
日が昇る ....
埼玉で生まれた
記憶はない。生まれ持った見知らぬふるさと
横浜ですごした
記憶は曖昧だが、カトリックの幼稚園にいたみたいだ
少しいじめられっこだった
静岡で育った
....
思い出すと
なんだか
苦しくなるから
思い出したりしないけどね
遠くから
ぼんやり
眺めていたなら
よかったのにね
恋は
いつでも私のそばで
楽しそうに 可笑しそうに
....
天地がひっくり変えるような出来事があった日も
バケツをひっくり返したように、とことん泣いた日も
小さな箱に閉じ込めてあった痛みが、
心を深紅に染めた日も
手首から血が流れた日も ....
君という人間が分からない
掴めそうで掴めない君。
手を伸ばしても
あと数センチという所で
泡のように消える。
君という人間が分からない
必要とされてるのか。
され ....
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