例えばこの手が動かせなくなった時
わたしはあなたに触れたくなる
例えばこの足が動かせなくなった時
わたしはあなたに会いたくなる
例えばこの耳が聞こえなくなった時
わたしはあな ....
わたしのなまえは ゆきえです
わたしは夏にうまれた ゆきえです
夏にうまれたのに ゆきえなのです
幸せと言う字に 恵まれたと書きます
わたしの半分は 冬にある
そんなことを ....
わたしは、思い出す。
緑青色に変化する刹那に
わたしは、思い出す。
貴賎の値札を貼らないと不安な人々が
まだ陽気だったころ
西欧の文化道理の規範と日本とは別であったころ
学 ....
今年初めての茄子が採れたので
お義父さんが好きだった
茄子味噌炒めを作ってみました
だけど、いつまでも残っています
冷蔵庫には
茄子一本分の茄子味噌炒めが
ぽつん、と
美味しくな ....
灯台の見える海を背景に
私は大きくなりました
ぶくぶく泡が沸いて
片栗粉が溶けているみたいにとろとろした
波に遊んで
私は大きくなりました
二十七の私は他人に後ろ指を指 ....
私の祭りに行きたい
私の祭りは花火のかわりに梅干しを打ち上げる
ひゅーん ちゅっぱ ちゅっぱ
私の祭りに行きたい
私の祭りは神輿のかわりに老婆の尻をつまむ
つまんで ひ ....
要するに
しっぽ
なんだと思う
ブロック塀を
渡る猫が
しっぽ
ぴん、と
アンテナ立てて
バランスをとる
そろりそろり
それでいて
悠然として
しっぽ
うっかり落 ....
風ふくらんで
煌めき差す日
川面なみ立ち
岸辺に寄する
空気の曲線
身を包み
雲も宙(そら)も
皆まるみをおびる
この世これきり
散る花弁
越しゆく季節の
....
疲れすぎて どうしようもないあなたには
鳩をあげましょう
ずっとつかんでいてください
ずっともがきつづけます
そうしていると
なんだか自分が 絵葉書になったような ....
風が吹き
水面は揺れ
草木はざわめく
梟は語り
兎達は眠り
闇が優しく包む
水面と踊り
梟を照らし
雲と語らう
星と共に
いつもそこで
優しく柔らかく
眠りにつ ....
めったに出勤せず、
出勤してもすぐに完売、
その店の他の女の子より、
1万円も高いのに、
いわゆる大看板。
そのサービスは、
いちど体験した人はみな絶賛の嵐、
ただ、会う事は困難を極め、 ....
何度もひとさまの葬式に参列してまいりましたが
いつもいつも「死」はよそよそしい
きっと、わたし自身の「死」は
わたしの体に起こるけど
感じられるものじゃあな ....
少し前から
気づいてはいたけれど
僕のナイフは錆びている
もうリンゴの皮すら剥けないし
エンピツを尖らすこともできない
誰かの心を抉るどころか
靴の踵にこびりついた昨日を
こそげ ....
コップ一杯
ぼくは詩を差し出す
もの珍しげに覗きこむと
あなたは口をつけ
なにも言わずにぼくに返した
コップ一杯
あなたは想いを差し出す
....
人が二度死ぬというのなら
かの王様の死はいつ訪れる
五十年か百年か
僕たち凡人の一生よりは
たぶん長い
はるかなときを 幾世紀とまたいで
悠々とその笑み ....
生きているのが恥ずかしい
死ねないことが恥ずかしい
しょせん価値など求めてないが
恥ばかりの道のりで
消えてしまいたくもなる
過去は去るまま
未来は白紙
今は一瞬一瞬移りゆく
....
けさ
鶯の声をきいた
まだ うまく鳴けない
チョッピリ ハル
と聞こえた
口笛で春を 呼んでみる
チョッピリ ぼくもぎこちない
花の耳をかたく閉ざして
美しく凍えるひとよ
ホ ....
ワシは
ばあさんの手を
離してしもうたんじゃ
そう言って
肩を震わす老人と
私も
同じだ
できなかった
いくつものこと
悔やみ
さいなまれ
夢見るように漂う今日を
....
いやあ おにィさん
真っ赤にならはりまして
うぶどすなあ
世間の風あたり冷とうおますので
この密通がばれたら
また おまめさんを なげられますなあ
先日 おにィさんが わ ....
空洞の破綻
再開の吟味
感傷の拒絶
豚が空を飛ぶ
狼は下から吠えるだけ
その牙は
爪は
届かない
背中に着けた
大きなプロペラ
豚は何処までも飛んでいく
何処までも
何 ....
あれはまったく夢なんだ
夢を現実だと思ってしまう錯覚のようなものだ
さっきまで僕は読みかけの本に埋もれて
読みかけの本のストーリーの中にひっそりといて
自分がストーリーになることなんて考え ....
僕が言葉を紡ぐには
ある程度の孤独と
大きな喪失が必要なのかもしれない
そんな気がしている 満たされた夜
よろこびの歌で
たっぷりたぷたぷな充足感を唄うには
....
110116
誤解を恐れず
界を恐れず
カンマの威力と
中点の躊躇
きれいな顔に
泥を塗る為体
(テイタラクと読む)
記号辞典を開き
記号の読 ....
キミは書き 続ける
日記のように
独白するように
日々のキモチを
日々の痛みを
悦びを
切なさを
あたしも
書き 続ける
この命
果てるまで
続ける
続ける ....
たとえばこんなふうに
過ぎていく時間
雨がしきりに降っている
うす暗い部屋の中で耳をすまし
雨の打つ豊かな重みを聞いている
それはそれでよかったのだ
時間はきわめて人工的な
観念 ....
メールすると、いつも思う。
文字の上には何が乗ってるのだろう?
手紙は、感情と空気と、例えば涙だって送れるよ。
電話は、直接会うのには負けるけど、いい塩梅で表情が伝わる。
メー ....
ごめんなさいね セバスチャン
こんなわたしで
もう かくれんぼはおわり
でてきておくれ セバスチャン
α(亀裂の称号)を せめて抱かせて
セバスチャン
ほら きいて
サイレンはやんで ....
遠くに思いを馳せながら
目の前の配管を追う
だれかにが作ったこのうじゃうじゃに
全て意味がある
工場内にさえ草地があって
虫達がたむろしている
−ここは人間が自然に ....
雲よ
僕は歌わない
ひびきあう童謡のしらべを
僕らは歌わない
青春と名付けられる
強迫的な力の律動を
雲よ
僕は見ない
抜けるような青空を
僕らは見ない
見るのはた ....
蛍光灯 涙 ため息 白くけぶる
なにもないから星みてあるく
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