くすぐったい
くすぐったい
可愛い君の吐息
やわらかな朝
淡い光の中で
そっと息づく白い小さな花
無邪気な君の微笑みは
僕をやさしくしてくれる
くすぐったい
くすぐったい ....
失恋は感傷に浸るためにある
そんな捨て台詞
あなたは残し
ひとり、わたしは取り残されて
遠く過ぎ行く機帆船の陰に
絶望の甘い涙を流す
(白い砂浜で貝殻ひとつ拾った
身体の隅々にまで刻まれ ....
これが
自由というものなのですか
教室の机の中に
ゴミがいっぱいに詰め込まれて
誰がしたのと
言ったところで
全員が「知りません」
どうしてこんなことがと
思ったところで
全員が「わ ....
夜の空気を吸ってみた。
何だか、冷たくて。
ちょっぴり、甘かった。
別に美味しくはなかったけど。
すんなりとカラダに溶けこんで。
気持ちよかった。
誰かと一緒にとか ....
透明にて頬をつたい
ほろりと落ち袖元を濡らし
貴方の元へ行ければと
恋しき心彷徨い途方に暮れれば
能の面のようになっていると
囃し立ててた貴方が浮かぶ
嘗て泣くこと弱さと思い
感動悔 ....
冷たい風が吹く
誰もいないススキ野原で
遠い音を聞いていた
はるか彼方から聞こえる
俗界からのメッセージは
幼い僕の心をとらえた
遠くで車が行きかう音
汽車の行く音
夕方のチャイ ....
苦しかった
つらかった
我慢してた
誰かにきいてほしかった
吐き出してしまいたかった
ただ、 ....
夜中、リビングに降りると
テーブルがひとりで
テレビを見ていた
外国の戦争映画だった
たくさんの人が
次々に命を落としていった
リアルなくらい
みな清潔な最後だった
突然テーブ ....
灰色の日
カエルのせわしい声が
遠くからも近くからも
響いてくる
やりたいことをやろうか
やめようか
心が迷ってしまう日
銀色の日
車の通る小さな音が
遠くからも近くからも
大 ....
誰かと誰かが、キスをした。
だから、誰かがひとりぼっち。
誰かと誰かが、話してた。
だから、誰かが微笑んでた。
誰かと誰かが、見詰め合った。
だから、誰かが空を見た。
誰かと誰 ....
高速道路の横で
光ネオンに包まれうたた寝している
行き交う車をかすりながら
ゆっくりと歩き出す
飛び立つ鶴の群
湖には立ち止まるほど遠くにじむ
髑髏のパ ....
昨日も
明日は見えなかった
けれど今日は見えた
だから
今日という日を必死で動いた
見えるところは全部
手の届くところ
走って行けるところ
体力が尽きるまで
今日を動いた
今日 ....
世界の端っこのようなところで
僕と牛とがシーソーをしている
ぎったん、ばっこん、する度に
審判の人が紅白の旗を挙げて
正誤を判定する
あまりにも長すぎたね
どっちがどっちなのか
....
星空を見たかったのに。
外は青空だった。
夜まで待ったら。
曇空で。
夜空は、冷たかった。
いつも一人で帰った通学路
部活でレギュラーにはなれなかったけれど
この道ではスーパープレイの連続で
この時ぼくはヒーローだった
いつも一人で帰った通学路
テストは平均点より少し下だったけ ....
遠くで犬が吠えている
冷たい雨が降り続く中で傘も差さずに
僕は何処に向かう訳でもなく歩く
季節外れの桜は花弁の代わりに葉を落とす
認めずに生きようとする自分の愚かさに気づく ....
秋の夜に車を走らせる
いつもよりも何か
エンジンが優しい
まっすぐな道のその上には
星が散りばめられ
宇宙を走ってゆく
いつもりも何か
ハンドルが柔らかい
曲がる道のその上にも ....
ここから始めようか?
無限に続く悪意と、絶えない善意で彩られた我等の庭。
いつだってここが原点で終点だ。
この閉じた園は、決して開かれない。
君達と初めて出会ったのはこの場所だし、君達と別れた ....
{引用=*
ぼくの町ではさあ
エプロンについた醤油のしみまでが神々しく輝くんだ。
- 朝 -
そいつを封筒につめてだな
なんにも書いてない便箋一枚
一緒にいれて。
灰色した丘のうえのポ ....
子供の頃は
船乗りになりたかった
世界中を旅して
冒険して
人食い人種にとらわれて
奇跡の脱出
漂流して
魚食べて生きて
雨を集めて
さめを殺して
奇跡 ....
水に流すは あなたのいたみ
流して晴れぬは わたしのおもい
春なら雛に のせましょか
夏なら精霊に のせましょか
秋なら紅 ....
十月の
夕刻にしては
あたたかい風が
秋の
冬の
装いを始めた草の
乾いた匂いを運んでくる
霞がかった空は
穏やかな表情で
まだ染まるには早い
青く連なる山々に添う
静か ....
そして狼は一頭で、
舗装された道路を、泥で汚れた足で歩き、
駅からマンションが並ぶ踏切を抜け、
渋谷までの国道246号を黄色信号で渡る。
曇り空は湿った風。
吠えるべき月は、ない。
爪 ....
行け その細い径を通って
白銀の雨のふる 森のなか
あたらしい宝物の絡み合う蔓植物の
つまらない詩句の鎖を見て来い。
案外つまらない
つまらないものなのだ
それゆえに ....
最近冷蔵庫に
レモンを一匹
飼っていたら
今朝
絞られていた
何か飲むときにいつも
瞬きを忘れるおまえは
俺をじっと見つめながら
こくこく
ちいさ ....
秋の絵を描こうと思って
外に出たら
筆を忘れたことに気がついた
これでは紅葉が描けない
真っ赤な葉の中にも
黄色があることを
描きたかったのだけれども
秋の心情を書こうと思って
シ ....
爪からこぼれる蜜の香りは
やさしく手毬に
塗り込めましょう
今宵
千切れてしまう羽はいくつ
枯れてしまう草木はいくつ
夜露は静かに
鏡となって
子守唄がにじみます
いつわりの片鱗 ....
胸の奥の底のある
ムズムズの原因のばい菌は
苦いクスリで押し込んだ
ちっちゃな天体望遠鏡をのぞき込んで
かすかに見える星達に意味無く涙をながした
黒く揺れるブラックコーヒ ....
ふっと ついた ため息が
風になった
風は コスモスを 揺らして
遠くへと 視線の先よりも 向こうまで 吹いてゆく
君 住む 街まで
届くだろうか・・・
君の やわらかな ....
脈を取ると指先に
セミの鳴き声が
伝わってくる
僕らの身体の中にも
駆け抜けていく夏があったのだ
どうかお元気で
手を振り
手を降り返したあなた
あの日に
友だちでいてくれて良かった ....
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