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朱銀のスプレーを吹きかけ
月が街灯に拡散し立ち昇る黄蝶の渦巻き
肌寒いモノクロリボンを路地裏に解き放したまま
退廃のエアープレインが
氷雨玉の群れを爆撃してる

なみき通り
倒錯したガー ....
片目ばかりが傾く夕べに
しあわせの少ない膝を抱き
花はつぼみのうたをうたう


午後にひたいをしたたるものは
すべて血のように感じられる
その熱さゆえ その太さゆえ


 ....
どこまでも続く桜並木の先に在るものを
確かめたくて
あなたと手をつなぎ歩く

親子ほどにも見られそうで
控え目なあなたの腕を
胸元にまで引き寄せ
歳の差なんてね

桜は潔く散るから美 ....
本屋で写真集を買って売り出し中のアイドルと握手した。
机の下で何度も掌をジーンズにこすりつけているのを目撃した。
私は負けない。


吉牛で奮発して卵をつけた。
おもいっきし卵の殻が入って ....
砂原を歩いていると、人間の手が蠢いていたので、掘り出した
父だった
父はこんなところに埋まっていたのだ
途中から誰かがわかったので、指先でなでるように、焦って掘り出した
息をし ....
夜の、
雨の、
それぞれのゆくえを
ひと色に染めて
あかりは桜色

煙る雨の甘さ、
舞う花びらの温み、
絡めた指が
やさしさを紐解く
夜に、
雨に、
焦がれる桜

時計の針 ....
私は元来
無口な男でありまして
うっかり、思慮深く思われがちですが
それは、本心を秘めている
というより、むしろ
現すタイミングを計れない
どうにも不器用な人間なのです


何か言わ ....
                    2007/04/19

集団面接で気力体力此処の街が好きですと言ってのける街灯の下には
おびただしい数の虫の死骸や吸い殻やガムや蹲った人たちの影が黒く
 ....
君が僕に別れを告げてから
君ソックリのロボットを作ったんだ

君と違って言うことを利くし
我が儘も言わない

だけどね 君ソックリの声が痛いよ
だけどね 君ソックリの笑顔が痛いよ

 ....
ぼくがまだ見つけない 明日の
呼吸の波は、かぎりなく無音で
おしよせては、
皮膚のあいだに刻まれた旋律を
からめとりながら
引いていく


奥深い場所で対流する
なまぬるい記憶、ある ....
      1

眠れない夜は、
アルコールランプの青白い炎に揺られて、
エリック・サティーのピアノの指に包まれていたい。
卓上時計から零れだす、点線を描く空虚を、
わたしの聴こえる眼差し ....
ゆふぐれ
ふみきり
みずたまり


おむかえの
はは、したがへて
黄いろいぼうし
せおう赤


あたらしいくつ
よごさずに
じょうずに
とべた、よ


はがいっぽん
 ....
夜にまぎれて
雨をみちびく雲の波
朧気に月は
触れてはいけないものがある
ということを諭すように
輪郭を無くし遠退いてゆく

深く、
深く息をして
雨の降りる前の
湿った空気の匂い ....
波が編む細やかなレースが
爪先の向こうで結ばれてはほどけ
刻と陽射しは
翡翠や白の模様をすこし深くに施す

水平線、と呼ぶには平らな
空と海の境界を見ながら
こうして言葉を探す自分を思う ....
一人になって
ふと疲れを感じる昼下がり

もう数えていないのと
ぽつり呟くあなたを
抱きしめたら壊してしまいそうです

指先で宙に描く願い事
それが何だかわかりませ ....
掛け違えた光だとしても
あふれかえることに
消えてはゆけない
肩だから


 底に、四月はいつもある


泥をかきわけて
そのなかを親しむような

見上げることの
はじまりに ....
鶯が
桜に色を
わたしています


今日は雨
あなたは
静かに
そういいます


書きかけの手紙
まだ、
ポストへ
出せずにいます


花びらは
雨を乗せて ....
重厚な鞄を
コインロッカーに詰め込んだ老婆
最後の小銭が落ちていった
鍵は古いタイプのシリンダーで
取っ手は錆びついていた

老婆の背後で
人々は透過しながら
それぞれの歩みを止めない ....
特別な時が終わり
あなたは宴を胸にしまった
遠のくのではなくはじめから遠く
その遠さの上を行き来していた
うたや笑顔や踊りが過ぎ
原や道や水たまりが
火と響きを片目にしまった
 ....
あなたが
この頃やさしいのは
何か企みがあるのかと
首を傾げていましたが
いま、この橋にたたずんで
ようやく気がつきました
もう
春なのですね


欄干にもたれて
あなたの
い ....
雨粒のあとの
あすふぁるとの
体温に

つややかな葉っぱの
滴のうごめきに

まちはゆっくりと
からだを起こす


花も葉っぱも
アイスみたいに溶け出して
雲と交わる

 ....
春愁に耽る窓辺に
春の宵は更けて行く
何もかも朧に映るのは
この宵の不可思議のなせる業
月の{ルビ面=おもて}も遙かな山の端も
朧に霞み夢心地にたゆたう
私もまた春宵の魔法に魅せられ
桜 ....
微かに血の色を混ぜた
純白の火照り。
月光を浴びた濃淡の起伏が、
永くしずかに波打つ夜

幾重にも重なりあう
厳かな山脈を流離う爛漫、
滑り落ちる霞のごとく
裾野へ降りて散る花、死、花 ....
最寄り駅にあるキヨスクでは
店員のおばちゃんが詩集を売っている
おばちゃんの書いた詩や
駅員の書いた詩や
ホームの柱に落書きされていた誰かの詩が
そこには載っている
地域住民の出した詩 ....
メガネをはずした
わたしの素顔
おとこのひとにはじめて見せた

胸ボタンの間にネクタイを押し込め
腕まくりした。あなたは
同僚を叱咤激励して
そんな。あなたに恋焦がれていた

それで ....
ふくれっ面のあなたの頬を
針で突き刺したら
プシューと間抜けな音を立てて
空気が漏れてきて
その風で台風を起こして
そこら中を吹き飛ばして
真っ平らになったから
とにかくい ....
仕事 ほっぽり出して
詩なんて書いてる
なんか悩んでる
25歳 初恋でございます



ほしいものは なんでもあげる
いらないものは全部捨てていい 無理しなくて良い


微々たる ....
いま
{ルビ仄=ほの}明かりの部屋がとても寒くて
ぼくは
コカ・コーラの気が抜けてゆく潮騒の中で
花が開いていくのをじっと見ている
足が冷たく
息の僅かな白さの中に
ちいさな子供だった頃 ....
とおくみつめる

あの秒針の刻む音が
きこえるほどの しずけさで
あやしくぼんやりとした曇天に
にじむ光の粒子を
私も刻む
時のまなざしは熱かった
 始まりは、秋の縁側で
ぶらさがっ ....
水を、欲している
のどの ずっと奥のほうで
さかなが泳いでいる



季節が融けはじめていることに
気づいたときには もう
わたしのなかの海は 浄化され
沈殿していた過去があふれ出て ....
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