すべてのおすすめ
光の落ちた野の中で
一重に光る金鳳花
細く伸びた茎 華奢な葉
きらきら微笑む真昼の星に
騙されてはいけません
辛い花びら
種を塗り
憎い 憎いあの人に
ひゅっと放った
流 ....
何もないことの
咬み痕、きみ
はそれを頼りに
我に
返って、わたしには
ふたつの咬み痕が残った
解読する、
きみの名前を、数え
切れない
ものは
数えない、きみに口づけ ....
はんぶんの優しさをください
背中の割れた
脱け殻でもよいので
*
すいかの臍に
耳をあてれば
野菜であるという宿命を
粛々と背負う
胎動がきこえる
まだ生まれてもいないの ....
去年の8月
私に弟は居なくて
見なれない背中の同じ制服と
小さなヒイラギに似ていた
温かな水面に脈動する夜のはじめを
昂る夏がその都度握り潰し
ていくような予行
あなたが代わるがわる ....
こころが
雨をほしがる
紫陽花のころ、
ぼくらは
ふたり
紫陽花寺を訪ねる
鎌倉は
いつも
かわらぬ佇まいで
うす水色のミストのなかに
ふたりを包み
こころが
カサ ....
零れては
消えていく
白い海に溺れていった言葉
伝えかったこと
教えてほしかったこと
霧に包まれたまま
インクに染まるのは
いつも
誤解
明日こそはと願いながらも ....
冷たい虫が脳の中を泳いでいる
足を大蛇に巻きつかれる
締め上げられる
丸飲みされていく
柳が風にゆら揺らいで
人影が立つ
海へ入ると息 ....
夏の十字に光が入れば
胸骨に取っ手
きみの窓だ
浸した腕で開く
引くもの、押すもの
両開き、押し上げ式の
様式は様々で
一度なんて
きみの皮膚全てが一つの窓だった
窓の向こう ....
日陰の中で
祠の供え物を
三毛が遠巻きにしている
昼下がり
夏の青空の飛行機雲が
長く長くのびている
その下で
三毛がまったりと
朝早くありついた
おかしら付きの煮干しの骨が
....
恋人同士で祇園祭に行くと破局するんだって
昔からそんな噂がまことしやかに流れていた
きみからの誘いを断らなかったのは
おろしたての浴衣に袖を通したかった気持ち半分
別れたらそこまでの縁 ....
たとえば風が、
雲が、海が、樹が、雨が、土が
この国のことばで
いつものように
語れるとするなら
月よ、
あなたは
その深淵で
かれらを
焼き尽くすのか
東の山の泉から
湧き出た水が川となり
私の足を洗いながら通り過ぎていく
手を伸ばし足を伸ばして
はね上げた雫が
遠い記憶の影を照らした
私は鰭をもっていた
水の中で息をしていた
....
つばめの描いた空の季節を
きりりとつま弾いた爪痕が
胸の奥で道程をたどってゆきます
命あるものの、ほのかな光が
湿った夏草の先で揺られています
防波堤で砕ける波が
どれほどのう ....
光は 音を駆け抜けていった
目なのだろうか
しくしく吹いているのだと一つの
思わされていたその中に
やりかたにいる 人
時に街を忘れた
歩けば知ることができた
人に立たされていて
....
きれいに舗装されていない夜道は
鳥目のわたしには危なっかしく
雨上がりであることも重なって
慣れた道なのにつまづいてしまう
自動販売機にコインを入れ
ミネラルウォーターのボタンを押す ....
煙草の煙が雲をかき消した
それは自由を羨む
私のささやかな抵抗なのかもしれない
降り注ぐ陽光は きっと
街を歪める様に
足元をすくう様に
はたまた、眩暈を誘うように
一歩 ....
僕たちは行進する
雨と雨と雨の合間を
かなしみの残る青空に
バシュポン
圧縮した空気は開放され
白い弾丸は
砲の初速を逃れた彼方で
小さな羽を広げる
あの
遥か積乱雲と日輪草の
....
口喧嘩したとしても
仲直りの機会とか窺うでも無く
当たり前のように手を貸してくれる
たとえばそれは
洗濯物でふさがった両手のかわりになってくれたり
ちんちん鳴り出したやかんをコンロから下 ....
夜は
重なり合って
ひそめく
息でくもる
ガラスを隠して
なだらかに波うつ
カーテンの裾で
夜は広がる
冷たい
アルコールが注がれた
二つのグラスが
擦れあった
....
私はロビーに降り立ち
大通りを下り港の見える倉庫街を
散策し始める
私は昼と入れ替わる
昼はロビーを過ぎ
大通りを斜めに港の見える倉庫街のたたずまいを横目に
運河にテラテラ ....
小学校に行ったよ
山奥の
廃校になった
なにもかも小さくて
洗面台なんかほんと低くて
でも何でも揃ってて
まだ、ひとの気配がした
あんまり陽あたりがよくて
運動場も広いから
....
彼はまだわたしと
常夏にいる
半年の後には
都会に戻るだろうと云っていた彼がだ
確かに
都会に帰っていた時期もあった
度々帰っているとも云える
けれども
四年経った今でも
彼はまだわ ....
秋鮭って捨てるところ無いんだよね
骨や皮まで美味しくいただけるし
そんなこと話してみたら
「人生だって同じだよ」
あなたは秋鮭のルイベを美味しそうに頬張った
だと良いけどね
な ....
さかなの星空はいつも
境界線でゆらめくのです
星空を落ち葉がよこぎり
岸辺のすすきも
月明かりに
にじみながら手を振って
失ってしまったときに
ひとはさかなになる
月だってゆら ....
あかるくなった
校庭の
真ん中で
ともは
膝をむきだしにして
そのあかくなったところに
悲しみをまぶして
いました
夢ではない
山に登り
芯の太さが、花が
格調高く
ひ ....
雨滝に続く道は
聖堂のように光がそそいでいます
昼下がり、ステンドグラスの森が
橋に季節の色を映して
敷き詰められた落葉の絨毯は
通り雨の跡のように
濡れていてるのです
長い階段を下りて ....
はだかを見せるのにも理由がいるんだって
肩先ですれる絹のおとが痛い
蛍光灯があおく残るまばたき
せすじの伸び方がちがう身体を二つ
絞って捻り上げる夜じゅう
あぶらを滴らせながら
....
眼鏡をかけて
泳いでるこの世界は
海の底
けっして
外してはならない
溺れてしまうから
眠るときだけ
外します
息を止めて
眼鏡から
あふれる海 ....
壁に貼られた
青い紙の端が
少しめくれて
その陰に潜む
小さな人
こちらへ
近寄ってらっしゃい
微笑んで
じわりと
にじり寄ってらっしゃい
その長い
指に
私の背中を
吸 ....
木枯らしが吹いて 柳が鳴く
ぐるぐるネジを巻くと 明日が育つ
ダーツ遊びで 二の腕だるい
狙い通りには 上手くできないな
時計が壊れても
太陽は昇るよ
無邪気に地球儀をま ....
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