何処か知らない 浜辺
の砂の上に座りこんで ぼんやり
海を眺めていたようで
すぐそこの岩屋の蔭

から蟹が一匹
ちろっと動いた ように感じて
眼を凝らそうとしている
つもりが逃げ ....
倦んでいた
人ごみを避けると風が冷たかった
空の色が変わろうとしていた
古本屋でたまたま買った
サガンの「悲しみよ こんにちは」を
喫茶店で一気に読み終えたあと
いたたまれなくなって
ひ ....
赤い谷間を染める月が
凪いだ海の底へと
落ちてゆく

波間の暗がりに
赤が滲む
その辺縁に蠢くのは,
青い夜光虫だ

沈みゆくあなたの死体に
波が触れる,そこから
夜光虫は,静寂 ....
空洞の列車が向こうのホームに走り込む時は,
心臓が激しく動き,
真っ直ぐに立っていられなくなるので
すぐに分かる

その列車は,
横長の椅子の通勤列車ではなく,
前向き二人掛けの,
い ....
フィリッピンの
バタンガス地方
カラカの
小さな漁村が消え
三〇万KW石炭火力発電所 出現

あつい日盛りで
海には風もない

遥かセミララから
ふるぼけた石炭船が着いて
なんに ....
三分でラーメン喰って破滅してドンブリもろとも叩き割る街

朝の椅子 朝の冷たい君の耳朶 朝の冷たいコーンフレイク

初七日の間口五尺の半なまの太郎次郎のひきにくの花

ひだまりの 庭で ....
縄とびをする子を探していると
ピンク色のセータに 水色の縄で跳ぶ子がいたので
失礼して
卵を置きました
割れて出たのは 木屑です
カラス 雀 みみずく キリンなどが それを喰うので
「トッ ....
紺がすりのような夜を眺め
穏やかな一日を思ううち
心は幼年に浮遊して
小さな手から落としたごむまりを
おにいちゃんが思いっきり地面にたたきつける
ぽーん
ぽーん
空を見上げて
追いかけ ....
彼女からの手紙が
炊飯器の中で見つかった
もう
ほっかほかの
ぐっちゃぐちゃで

炊きたてのご飯はうっすら黒く
食べると微妙にインクの味がする
時おりぐにゃりと繊維をかんだりもする ....
お別れには
銀杏の下で ごろごろ ころがり
大理石の上で 泣きましょう
「いよいよジャズを聴く時」 が口癖のあなたは
明日 聴くだろうし
私は 青い服を 買いに行く
舞台の中央には透明な攪拌機がありまして
僕によく似たピエロが登場します
ピエロは無言で虚空を凝視めると
両手をひらひらさせて様々な八月を取り出します

粗末なリュックに詰め込んだサツマ芋 ....
いまひとひらの蝶
ゆっくりと私の眼を奪って
流れ着いたのは何の彼方でもなく
オフィスの私のデスクだった

電話の喧騒の中
不意の来客は用件を語るでもなく悠然としている
よく見ると胸に社章 ....
「かぁちゃん、ほら、池に星が映ってるよ。ほら、ね、きれいだよ。」

そう言う僕を無視して、母は、真っ暗な夜道を足早に歩いていきました。

「ねえ、かぁちゃん。」

何度も追いすがって言う僕 ....
高校時代といえば
一九五三年 一五歳から
一九五六年 一八歳までのたったの三年間なのに

そこには僕のカオス 大袈裟にいえば 
天地創造の混沌があった
頭の中は吉川英治から太宰治へと

 ....
生まれた街は遥か遠い被膜に遮られ彼方に霞んで
そこに戦火があり七歳の僕は大人たちに囲まれ鉄
路を支える土手に鍋を被せられて伏せ夜空は花火
大会のように明るくて騒がしいその夜焼け失せてし
まった ....
Dear Fujiko

出がけに大雨だったので,
駅まで車で送れと女房に言ったら,
ブツブツいわれて,
キレタ


(オッ,なんだか詩みたいだなぁ)


タクシー拾おうとしたが ....
青い目のカモメが鳴く
口をこぅと飽けて
喉を震わせず 
声もたてず
静かに
海の音を拾い

岸壁にならぶポプラを
透きとおった舌液に映し
カモメは鳴く

初めて砂をにぎった足の感 ....
夏休みが終わる
子供達は山へ行くのに忙しい

夏休みが終わる
細いホームを電車が通過する

夏休みが終わる
かすかに水の流れる音

携帯にひり付くメールが大量に運び込まれる
飛行機 ....
時代遅れの政治家並に肥満して
申し分ない冷暖房付の部屋に
横たわり 詩をつくるその男の 別して
濁った目と憂鬱な顔こそ 思うに

現代詩そのもののありようとは言える。
ありふれた喫茶店の  ....
ドナウ川の交番脇を
飛ぶ石曜日をつんざいて
マンテンバイクのレッドロブスター号にて
SOON SOON SOON

高速道路の真下も真下
巨大ネオンも若々しく
田園地帯に屹立する
ディ ....
妻が寝言でごめんなさいと謝っている
悪いことをしているのだ
悪いことをして泣いているのだ

ベランダから空気が入ってこない
高くなるほど薄く
いき をするのが苦しい
いき 苦しい ....
天ぷらを揚げているうちに
この世にいるのがわたし一人きりになった
キッチン
みんないなくなってしまった

父も
母も
あなたも
娘も
隣の中村さんも
隣の隣の西野さんも
裏の ....
近しい人の部屋
近しい人の猫
正午 匿名な
正午


ワンルームの壁際の テーブル越しに
片隅の空
南南東に穿たれた網入りガラス
通り隔てるアルミフェンスに
迫り来る連なる家並みに ....
こうしていつもおわる。
いちにちがおわる。
ぼくにはありったけのなにかがない。
そうだ。ありったけだ。

それにしても
みながとおりすぎていった。
いや、とおりすぎようとしている。
ほ ....
眠れない夜に
窓から差し込むおぼろな光が
私を月の世界へ連れて行ってくれやしないかと
目を凝らして
そのうち光と影の境界もあやしくなってきて
本当に自分は今
月へ向かって
旅立とうとして ....
(窓の)隙間からひるねこが洩れてくるので
(夜が)さらに重くなる
(部屋の)すべてがひるねこで満ちていき
ひるねこ(の時間)が
姦しく はびこっていく


{I=山ほどのよるねこ ....
ある日のこと
散歩してると
ふと
ユウコのひとみがかがやいて
つぶやいたのです。

アオゾラニ
ホラ
ハルガヒカッテル

ユウコと
ぼくと
ふふっと
ほほえみあって
うたっ ....
腰のものを赤く染めて鳥が鳴く。
うぶめ、と呼ばれる鳥である。
産の穢れに死んだ女は鳥となる。
ほう、と鳴くが聞こえるか。

生まぬとしても女は女と男は言う。
うぶめの悲しみを知らぬは幸福と ....
 {引用=
 ケ−セラ−セラ なるようになるわ
                     ――ジェイ・リヴィングストーン
                     ――レイ・エヴァンス

 ....
 上を見やって 無表情な明かりを眺めて
 頭を垂れて 直立不動の足を眺めて
 前を向いて 薄ら汚いドアを眺めて
 虚空を見つめて あの野郎を見据えてやった

 さて どこへ行こうか

  ....
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