コートを綺麗に着こなした
ド田舎生まれのサラリーマン
彼は若手の中では期待の新人で
そんな彼の口癖は
「まぁいいや」


「もしかして。もしかして?」と願い続けて
願うだけでは足りない ....
雲が、ちょっとのすきに消えてしまう
ので
わたしたちはいつも
空から目がはなせないまま
たちすくんでしまう
ちっぽけな球体のうえで


手をのばしても
届かないものがある、
って
 ....
さかさまつげ と診断され
父に手をつないでもらって
眼科に通って いた頃

診察してくださった先生は
遠くをみつめなさい と言った

遠くの山の緑 遠くの景色を
とても 眼にいいか ....
  
  *鉱石ラジオ


  暇をもてあました少年が、ふと思いついて鉱石ラジオを作った。
  黒猫はそのかたわらで目を細めてその様子を見守っていたが、
  いくらたっても何も聴こえてこな ....
母をおくる と
おそらく
わたしの半分が終わる

半分が終わる と
わたしには
守るものがたくさんあって

後戻り
できないことも
また
たくさんあるのを知って

さみしさの ....
  *三日月


  三日月の晩に、少年がふっと部屋から出て行くことを黒猫は知っている。
  塔の螺旋階段に響く足音が、とん、とん、とん、と続いて、
  てっぺんの窓を開ける音が聞こえて ....
夜、下町の小さなアパートで
卓上電灯の明かりを頼りに母と子は
おもちゃのロボットにシールを貼る
内職をする

一つ貼り終わるたび、子は
十銭、二十銭と数えながら
一円になるたびに正の字を ....
 
  *蝶


  黒猫の気だるい微笑みは、いともたやすく蝶を虜にする。
  その静かに差し出された手の上に、青い翅の蝶がとまる様子を、
  少年は頬杖をついたまま眺めていた。
 「可 ....
 *夜半過ぎに


  夜半過ぎになって、その悲しい報せはもたらされた。
  そっと肩を寄せてきた黒猫が、
 「それは悲しいことだわ」
  と、うわごとのように何度か繰り返した。
  少 ....
 詩誌「荒地」に所属していた詩人たちの中でも、北村太郎の存在は一種特異である。鮎川信夫のように出発時に先頭に立つこともなければ、田村隆一のように低空飛行しながら生き延びることもない。最初期にはいかにも .... 僕らがあの不確かな情景をそれと呼んでいた頃には
まだ君は躓かない足と目線で
確認済みの経路を泳いでいた
風をよけるような手付きで


あの足跡から
十五番目の通路の奥で
黄色い花が咲い ....
いつだって、
手の届かないものを欲しがる、悪い癖。

あの光に過去を思い出そうとしても、
それは凡て幻です。


夏になれば、
夏になれば、
夏になれば、

夏に、ねえ、
 ....
 堆積する僕らの羽で世界は作られるという話。


リノリウムの床を滑らない上履きの爪先
ゴム製の高音が窓に当たる
スーパーボールの見えない躍動
それが、君らの証しだ。 そして


 ....
午前三時、まぶしい日テレ
閉じた強がり、開き直り。囲繞。全然何も開かない感じ
死んだ貝みたいにメッセージがない。
待望される、着信
悪魔の燃料を蓄えているつもり。
全て100か0で割り切 ....
「いただきM」
なにさアンタいただきますくらいちゃんといえないのかい
、とアニータは言う
日本人なのにアニータと名づけるような出鱈目な親が、23年前からいたということだ。この土地には。
「おい ....
風景が通り過ぎて
自転車や
木の葉を揺らす風
水しぶき
金魚の尾
空に浮かぶ無数の帯
風は川底とおんなじに
空を冷たくして
夕焼けはかがり火とおんなじに
そちらを向く顔を照らし

 ....
緑の並木道
とおり過ぎてゆく人たちと日々たち
僕は空中歩行

さりげなく浮かぶ雲
消えては生まれてゆく
自由みたいに

風の声に沿って歩いてゆくと
いつかまたあの丘へ
そして遠くか ....
満開のころに降る雨いつもいつも恋に似たものすべてはかない


なんとなく聞こえる卵の殻が今割れた気がする恋人前夜


自転車であなたの街に着く前に五月の風に抱かれるわたし


たくさ ....
1.

かみさまは、どこですか。



2.

かみさまは、どこですか。

道すがらたずねると
あっち、と指をさした人がいたので
ひたすら あっち、に向かって歩いた
歩いて歩 ....
{引用=

「どのようなエクリチュールも、最終的には、言葉を知らない、コトバ以前の感覚的な、感性的な存在を、コトバによって、ということは同時に法によって貫かれた倫理的な世界へと、〜ある決定的な痛み ....
風吹かれ 桜の街道 花吹雪
 季節が巡る 東京の街
{引用=
「詩とはなにか?−この問いに対する答えは、詩の方法的、形式的側面からなされるのが普通です。しかし、形式的規律をもたない自由詩以後は、こうした側面からこれに答えることは、全く困難になってしま ....
その確率で失うものがあるのなら
その確率で得られるものも
きっとある

味わった悲しみは
次の喜びを増すためにあると
誰かが言っていました
先日花見にでかけたのですが
今年の桜は遅く満 ....
{引用=
「詩学は詩の屍体解剖である」  高村光太郎


○まえがき:

 
   はじめにことわっておきますが、私は「詩学」について全くの無知です。はっきり言って、「詩学」が何たるか ....
牧場は、今日も晴れるや。
山の向こうまで続く青空に
ポツリ、ポツリ 綿雲
良く乾いた干草が ホロホロと
風に浮かびそうな具合で
何となく 美味しそうだと思うのは
雑食動物の脳内変換 ゆえ
 ....
雨に降られるのは別にイヤじゃない
ひらいた空色のかさ
道端にできはじめた
小さな水たまり 踏んで歩くよ

曲がり角曲がってわざと遠回り
指先が 少し冷たい
泣きたくなったらかさおろす
 ....
きみがまだ少女の頃はぼくもまた少年だった すれ違う駅


きみと向かいあって話した教室が世界のすべてであったあの夏


きみの吸ってたマルボロライトを吸ってみる吐き出す煙が重い七月

 ....
先生、
ぼくのお兄ちゃんが
このあいだ死にました

ぼくのうちは
3人兄弟です
全員男です

まん中のお兄ちゃんが
死にました

名前はゆうごです
ぼくは「ゆうごちゃん」と
 ....
生きている不思議な夢を君は見た?そろそろ君は目覚めるかもね


野山駆け野山駆けられ僕たちは遂に野山に野山られてる


回転扉を閉めれば良いのですあからさまな反射など屈折してしまう

 ....
少しだけ悲しいお話をしたあとに
あなたは
少しだけきれいになったようでした

まるでいいことばかりじゃない
そんな嘆きを語っていたわけではなくて
これから先のことをからめて
あなたは
 ....
嶋中すずさんのおすすめリスト(315)
タイトル 投稿者 カテゴリ Point 日付
ライター_song_by_Daystar- 祐伸自由詩6*05-4-21
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とおくを_みつめなさい- 砂木自由詩58*05-4-20
黒猫と少年(4)- 嘉野千尋散文(批評 ...7*05-4-19
母をおくる- umineko自由詩31*05-4-19
黒猫と少年(3)- 嘉野千尋散文(批評 ...5*05-4-19
生きている工場- ベンジャ ...自由詩9*05-4-18
黒猫と少年(2)- 嘉野千尋散文(批評 ...8*05-4-18
黒猫と少年(1)- 嘉野千尋散文(批評 ...10*05-4-17
北村太郎(その詩と死)- 岡部淳太 ...散文(批評 ...12*05-4-17
落下する名前- 霜天自由詩605-4-17
夏のひかり- 有邑空玖自由詩9*05-4-16
堆積する、あらゆる羽で世界は作られる- 千月 話 ...自由詩11*05-4-15
真夏の夜中から明け方にかけての少年- hayasakaakir ...自由詩5*05-4-14
_- hayasakaakir ...自由詩905-4-14
通り過ぎて- ふるる自由詩11*05-4-14
空中歩行- 塔野夏子自由詩5*05-4-13
TOMORROWNEVERKNOWS- 本木はじ ...短歌905-4-10
かみさまについての多くを知らない- 望月 ゆ ...自由詩43*05-4-10
【家庭の詩学】_#2_わかるということ- 043BLUE散文(批評 ...11*05-4-10
無題- ヒロタマ ...短歌105-4-9
【家庭の詩学】_#1_詩とはなにか- 043BLUE散文(批評 ...10*05-4-9
その確率で- ベンジャ ...自由詩14*05-4-7
【家庭の詩学】_まえがき- 043BLUE散文(批評 ...10*05-4-7
裸のマリー- 千月 話 ...自由詩10*05-4-6
雨が嫌いとかそういうわけじゃない- anne自由詩1*05-4-6
イエスタデイをうたって- 本木はじ ...短歌17*05-4-5
かきフライ- 043BLUE未詩・独白34*05-4-4
春のそうめん- 本木はじ ...短歌7*05-4-4
少しだけ悲しいお話をしたあとに- ベンジャ ...自由詩31*05-4-3

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