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生まれて間もない赤ん坊が眠る部屋の
窓枠に一羽の{ルビ鶫=つぐみ}がとまって鳴いている

ききききくわっくわっ

鳥の言葉を翻訳すればこうなる
――この家に新しい人が増えたよ
  次の世 ....
君にプリズムをかざして
分光する
白い壁に映るスペクトラムは
すべての色がほのかになやましく青らんで
僕をいつまでも
見つめさせている


「柴又ぁ〜、柴又でございます」

京成の電車を降りて{ルビ瓦=かわら}屋根の駅を出ると
前方には旅に出てゆくとらさんの像が{ルビ凛=りん}と立ち
柴又の町を振り返り、みつめている
 ....
朝 起きてくると
窓越しに
遅く咲いた百合の花があって、
君はガラス越しにそれを見ていた
こちらを振り向くこともなく

 台所では
 しじみが口をあけてことりと音をたてる

僕は煙草 ....
{引用=いくつもの山をこえ 
風は現れて
少年たちのてのひらに
しみわたる

あおい糸はまぼろし
淋しきはほこらのともしび
あおい糸はまぼろし
淋しきはほこらのともしび

うたは響 ....
物理的にいうと
今現在あなたとの距離は
約10センチメートル

ここは
広大な宇宙の拡がりと
気の遠くなるような長い時間の交差点

次の瞬間!
あなたは
もう二度と
わたしの手の ....
夜、

{引用=背後に
人は身体をこわばらせる
何がよぎったのか
誰があとをつけているのか
この暗闇の中では
振り返る勇気はなく
確かめるすべもなく
人は
いくつもの時を越えて
 ....
花がさいたよ

どこか 風の中で
そんな声を聞いた
五月

娘はぼくの手を引いて
お歌をうたう

元気よく帰ろうね
ここから先は人でないと渡れない
その橋を歩く
時は待っていて
ずっとおまえのために待っていて
待ちくたびれてさっさと行ってしまった
置き土産に
こんなに寒い冬を残して

ここから先の霜 ....
僕は波に濡れ
波に濡れたままずぶ濡れとなり
絶え間なくそれは
断続的にそれは
いつまでもそれだった
それって
日テレ?
いえ蛋白質の軽めやや三十倍程度の喪中
ツモ
ラスハクで ....
橋を渡る
ここから先であえて水の味を嘗める
遠い背後で冷たくなった人びとは
絶句したまま 熱い指を池の面に浸す
最初から順番に数を数えて
今日もまた
汚れた者がひとり
明日もまた
汚れ ....
混沌の中に
夜はある
夜の中には数多の息が
凍りついたまま存在していて
人々はその下で
ぶざまな眠りを眠っている
君は
やがて忘れ去られる
それが君の運命である
目的を持たない淋しい ....
今夜も 僕はほんの少しだけ世界を忘れる
飛び上がって
ひと思いに刺すことが出来ずに
沈みながら
血迷った逆流に身を躍らせる
時計は残された時を静かに刻み
やせおとろえた夜の下で
僕は僕の ....
通勤カバンの中身が
巨大なネコの昼寝だらけ
暴発、し、俺!走り!抜ける!
山形屋とトヨタの間の路地を
あらぬ方へよからぬ方へ
俺の影を位牌にしてくれ
俺の位牌をKIOSKで売ってくれ
 ....
宇宙の深淵から
水がひとつぶ
滴り落ちる。 。 。
と、
いのちたちはいっせいに水際に集まり
それぞれに
祈りの言葉をつぶやく
遠い場所で起こった恩寵に
いのちの囁きは共振し
星の瞬 ....
やぶれた風が僕に聞く
ここから呼ぶ?帰る?
木の葉がすごい速さで
転がり巻き込まれてく
浮遊の憧憬の走りみち
風の声を小脇に抱えて
笑う木の葉を追いかけ
走るんだよ走るんだよ
三つ ....
ああ
かみさまはいるのだ、と
思った
そんな夜の話をしてあげる

雲をつんざく、青
無尽に動く、光
まっすぐ、
ひたすらまっすぐな、光
それから逃れるため
走った

(まっすぐ ....
いつかあなたが送ってくれた風の便りは
愚直に曲がった目に滲む文字で語られていた

あなたが求める
友愛と平和を・・・
その冬の暖炉を思わせる声で

もっと語ってほしかった・・・
もっと ....
冬空の始まりは
少し疲れた
白い横顔

鳥にも雲にも光にも
他人行儀なそぶりで


けれど其処には
秋の最後の雨と
昇ったいくらかの
私も居るのだろう


その頬はふいと
 ....
夜に
夜光虫の海で泳いだことがあります

そのとき
月が出ていたのかどうか

  指先を
  差し入れた瞬間にセントエルモの火

  揺さぶってみた
  舫い綱に冷たい篝り火

 ....
不意、A?!問う幽字の0に乗れと
グラつく微貞の寝具はSongs譜
再度の乞い人の手に不逢いの夜
グラビティーがミルクティー抱く
その濁面にDuckがFireをくわL-O舞言い
「朱よ、珊瑚 ....
ある朝 目が覚めたら
世界が昨日までと違っていることに気付いた

窓の外で鳴く小鳥の声も
カーテンの隙間から漏れる朝の光も
そして私の隣で眠るあなたの存在も

「ありがとう」
そんな言 ....
果てしない虚しさを抱え
今、ここに生きている
悲しみは何物にも宿るが
虚しさは人の心にしか宿らない

どこまでもまとわり続ける
過去という名の悲しい亡霊
今にも千切れそうな胸を軋ませ
 ....
木漏れ日が
どうして丸いのか知っていますか
私は
丸くない木漏れ日を見たことがあります

金環食の瞬間を待ちながら
大勢のひとが
空ばかりを見上げていたとき
木漏れ日はどれもみな
大 ....
水晶の針の折れる音を聞いたことがあります
ピキンとも
ピリンともつかぬ微かな音

聞こえない音を確かめたかったのです
音がするものならばと
指先で二つにしてみたとき
まさか聞きとれるほど ....
紫水晶のかけらを
油で揚げてみたことがあります

天ぷらが食べたかった
わけではなくて

シトリントパーズって
実は加熱処理したアメジスト
というのを試してみたくて

ホイル ....
この闇が続く限り

きっとどこかに

眠れない心を抱えた誰かがいて

その誰かもまた

違う誰かを求めてる

私もその誰かになりたくて

こうして今夜も眠れずに

昨日と地 ....
幾度も季節は過ぎ行きて
過去に残せし我が心
舞い散る枯葉は
千夜一夜の我が夢か

咥えし煙草も燃え尽きて
儚く灰になりにけり
空の彼方を待ちわびて
夏の背中も今遠く

星の無き夜の ....
それがほしいのだという
網の籠を背負って
捕まえて入れるのだという

静かな息に
舞い上がり漂ったのち
重さを感じて落ちてくる頃に
掴むのだという

小走りに途切れて
靴音の後ろか ....
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タイトル 投稿者 カテゴリ Point 日付
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