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蒼白の薄明
永遠に処女の領域
素数のみで刻まれた暗号
純粋遊離線
冷たい蜃気楼
置き去られた天象儀
倦んだ庭園
途絶えがちなピアノの音
未分化な恐怖を秘めた深淵 ....
六月の
曖昧な空の下
白くたたずむ部屋
横たわる私の身体から
刻一刻と
鼓動がこぼれ落ちる
けだるい指で
クロニクルのページを繰る
季節は私には
いつも晩くやってくる
忘却 ....
そのはじまりからすでに
鋭く亡びに縁取られているのが夏で
青空と陽射しがどれほどあかるくても
そのあかるささえ不穏なのが夏で
蝉が鳴き騒いでも
祭の喧噪が渦巻いても
濃密な静寂が深々と ....
僕らは 一列に並んで
少しずつ 進んでゆく
かぎりなく長く思える柱廊を
誰も 一言も発さないまま
僕らは 白い衣を着て
白い布で覆われた銀の皿を両手に捧げ
少しずつ 進んでゆく
....
私の意識の
極北に立つひとがいる
彼はいつも黒い服を纏い
時にその服を髪を風にたなびかせ
時に無風のなかに
その立ち姿の輪郭をくっきりと映し出し
時に彼は流れる水のような
ゆらめ ....
私という虚ろよ
未完成という名の陶酔を
響くように生み出しつづける
青白い坩堝と化すがいい
青ざめた喜劇役者が
陽気に痙攣している
何を間違えたのか
この照明はやけに明るすぎる
恐ろしい青空に
巨大な広告塔たちがそそり立ち
だだっ広い国道を車たちが
獣のように流れてゆく
....
桃いろをうつす銀 青をうつす銀
たちどころにいりまじり 夢心地
息づく闇の何処かで
黒髪の 解かれる気配
ほのかに 立ちまようのは
知らない花の香と
やわらかな水の ....
君にプリズムをかざして
分光する
白い壁に映るスペクトラムは
すべての色がほのかになやましく青らんで
僕をいつまでも
見つめさせている