朝 南垂れのベランダに届けられる
冬陽という なによりのご馳走がある
     夜 裸木に呪文をとなえる
 北風という メッセンジャーがいる


      庭隅のわくら葉は いま
  ....
 ゲームをしていて、びっくりした。面白いことが書いてあったからだ。

  「人間は色々なことをしゃべりますけれど、
  本当は、二つのことしか言ってないんです。
  一つは、私はここにいます。 ....
岡部淳太郎「恋愛詩の可能性」
http://po-m.com/forum/showdoc.php?did=65877
りす「岡部淳太郎さんの『恋愛詩の可能性』を読んで」
http://po-m. ....
 猫泣き地蔵の前で言葉を忘れる
 ゆっくりと羽化する夏蝉
 冬の間取っておいた氷柱の結晶
 廊下ではしゃぐ君と僕は回想
 広場では冥界の方々が踊り狂ってる
 金太郎飴のようにどこから ....
 以前から思っていたのだが、恋愛というものは詩のテーマにするにはあまりにも難しいものではないだろうか。それなのに、やすやすと恋愛をテーマに詩を書く人が多いのは、僕にとっては疑問である。恋愛詩を書くのは ....   感情の表層を抉るように
例えば それは
 ビルの谷間を駆け抜ける

 横溢する鬱屈のアニマに
  放置された
 束の間の雨季

羽化しかけの蛹さえ
約束されたその日 ....
「詩を書くのが趣味です」そう言うと決まって引かれる。
詩って暗い奴が書く意味不明なキモい文だと普通の人は思うらしい。
なので、それを暴露すると嘲りの笑みでもって迎えられる。

芸術を解さない馬 ....
    私は今まで
    気まぐれな風に吹かれるたびに
    力なく道に倒れていた

    だが、夢を追うということは
    眼前に漂う暗雲を
    光の剣で貫いて ....
小学校からうさぎを盗んで 蹴り殺して捨てるという事件について



ボールとうさぎを間違えるのに 
必要な力は 想像力である
ここに働く想像力は プラスでなくマイナスであるが
プラ ....
どうして風はやむのだろう 静かに
(怒りに満ちた夜)
並木がささやく
──どうして風はやむのだろう

……あの星に
    あの昼に

落ちてゆく
人も車も
岩もビルも雲も
平衡 ....
背なか 背なか
もたれかかった珪藻土の壁には
真昼の温みが宿り
後ろから
春の衣をふうわり掛ける

あし
足もと
埃だらけのズックの下で
蒲公英は蹲り
カタバミが少し緑を思 ....
 少しだけ、正直になろう。
考えたくないことが、いくつもある。

 ひとつは、戦争のことだ。
戦争は痛い、苦しい。

 ひとつは、貧困のことだ。
飢餓は苦しい、泣きたくなる。

 ひ ....
凍てつく冬の朝
窓からはオレンジ色の
射すように強烈な一筋の陽射し
夜明けをむかえ
また一日が始まる

自動販売機で缶珈琲
温もりが演出する火曜日の朝

公園の冷えたベンチ
失 ....
互い違いの所謂握手
握り損ねてわきわきと
沈める電気を掠め喰らいて
からてを合わせてヒシと
閉じ込む

蒐集手挟みわらわらと
雷どもの閃きを
白磁の闇にて放り出す
容れ物は耐えてぐず ....
僕の携帯にメールが届くのは珍しい方だ。
今日は知ってまだ間もない後輩から好意の一杯つまったメールをもらった。
正直、自慢だ。人に自慢できると思うから。

こっからは考えた事だ。自慢はもう終わっ ....
生が静かに奪われる季節は
いつのまにやら飛んでった

透明な幽霊は嘆いたままで
どこへも続かぬ帰り道を見る

マルドロールの夢に溺れながら
マシニックな笑いは見る影もない
狭い部屋でずっと暮らしてきました
誰も受け入れないように
皆は僕を傷付けようとしてきます
冷たい視線悲しい言葉
気付けば外が怖くなっていました
カーテンを閉め切って
薄暗い部屋で呼吸をして ....
僕にはわかる

満月の一日前のあの月と

明日の満月との違いが
19:00過ぎると
失神したての飛蚊症の雪が降る。
柳原魚屋は店終いをしだす。
臙脂色のシャッターを半開きにして
テナーとバリトンの混ざった真偽で愚痴る。
痩せぎすの長靴履いたエド ....
オリオン座が西の空に瞬く午前三時

部屋の中で独りの男が
机を照らすランプの明かりの下
白紙にペンを走らせる音 

時を忘れ
宛先の無い手紙を{ルビ綴=つづ}る深夜に
眠れる街の何処か ....
     ふと思いついて、昔書いた詩を投稿してみま
     す。一九九〇年から一九九四年ぐらいまでに
     書いたものを、自分の中では「初期詩篇」と
     呼んでいます(それ以前に書い ....
蔓長い水草の絡まりついた 手を叩き
水をたらふく吸って膨れ上がった 足を踏み鳴らす

「丘の裾野に咲き誇る
 キンポウゲの群生から
 花房一本嘴にくわえ
 夜露の空を飛び渡り
 あなたの ....
永遠の愛、が
刻まれていた
赤い鉱物顔料で飾られて
二千年の地層の中
地中にしみこんだ月の光で
風化した言葉だったから
秘密が解かれるまでそれは
王の名
呪い
花の名前
祈り
そ ....
遠くの街灯
なぜ揺らめくのか
この年になってもわからず
汽笛は質量を落とし
寄る辺ない破線となり
私を映し
私を透かす
窓ガラスをはなつと
瞳、仮初めにも
その冷たさを押し量った
 ....
さびれた館の馬像の陰から
子供が数人こちらを見ている
塀は陽に照らされ指にやわらかく
その上で子供のひとりが
虫喰いの木洩れ陽を目にあてて笑う



水たまり ....
星明りを知らない。

月が今も足元や景色を照らしてくれるように、
星明りも言葉だけのものではなかったはずなのだが。


そんなに大昔ではない昔、町でもなければ雨や曇りの日、
ひとは足元も ....
あの人へ
何が、残せますか
つぶやいた言葉には、行方がありますか




いつも夏には
揺らめいて、薄れていくものが
近くにも、遠くにも
留めて
確かにそこに居たはずの
陽炎の ....
日はこの時ついに陰ることはなく

交叉点の信号が
青ざめて進めという
曲線に添った産声が
白い手で羽ばたき
円周率へ視線をおくり

目をふせた
ふせないで
みつめて
林檎の赤
 ....
鎌倉駅の通路の壁に
寺へと続く石段の写真が展示されていた

門の向こう側の境内には
不思議な光が満ちあふれ
そっと上げた足先を写真に入れると
体ごと吸い込まれた僕は
気が付くと
石段の ....
あの日の筆圧で
定着したインクが
原稿用紙の余白に
青くにじんでいた

その万年筆の字体は
水性の化石だった
硬質のにじみの層は
幾重にも連なったブレストーン

そこでは私の声もに ....
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