一。
「もう攻撃しないでください。」
とプラカードを持ったマスクメロン怪人が、駅で攻撃されている。あんなプラカード持たなきゃいいのにと思うけれど、マスクメロン ....
なんて
青い
空なんだろう
なんて
心地よい
春風なんだろう
美しき木々
遥かなる山
この世界は
美しさに満ち満ちて
気怠い午後さえ
まるで
アクセントのようで
なんて
素晴らしき
この世 ....
吹きぬける冷たい風の空高く
ひかりの鼓動は
静かにそそぐ
雪解けをあつめて川は哭いている
生まれたばかりのわたしの春に
ひとひらの可憐な花は弓使い
瞳砕けて曇りをうるむ ....
ほんとうはね
「ほんとうはね」っていう言葉が嫌いなの
何だか嘘をついてたみたいじゃない
たしかにね
「ほんとうはね」って言う前に言ったこと
やっぱり嘘になっちゃうかもね
でもね ....
手拍子で迎えましょうぞ散りいくさ恋にやぶれて淵になりたい
死にたいの死にたくないけど死にたいの死んだふりして腹式呼吸
あなたはねリネンにただよう海月なのわたしの四肢をあ ....
カスタマイズされたソリューションたよるとき僕の心はちりがみのおもさ
ぬくもりはきごうにもなれず五本の指は希望になれず沈黙
帯電する詩突き動かす声は形にしたときだけ信ぜず
二十四時間耳 ....
灰皿は
既に煙草の剣山を作り
恋しい人を待つ
昼下がり
ちょうど
町までのバスが出た頃
青 空
その青空に
ペンギンは
洗濯物をひろげる
真っ白な
雪のように真っ白な
洗 ....
うやむやに秋の一日を寝過ごせば影なき夕に喉の痛めり
菩提樹の上で交わるけだものの系譜の果てに立ち尽くす我
吼えるものただ自らに背くもの震えるけもの響くけだもの
膨れては刃のごとく雪を斬る寒さ忘るるための憎しみ
....
真夜中の街
儚い灯りを縫い合わせて
君はいくつも
星座を作ってみせ
物語がわからなくても
知ったかぶりで綺麗だねと
僕は何度も
言うのだろう
地上の流れ星はいつも
赤 ....
私とあなたの間には
数十億光年の距離があり
互いの影はいつまでも交わることなく
仮想の白い空間を歩き続ける
( {ルビ孵化=ふか}を知らない孤独の闇に{ルビ包=くる}まれて
( ....
彼の目は
像をまあるく切り抜いて
切り抜いたまあるの淵は
切れそうなほど鋭くて
(声)い
{引用=
夜中に眼球が旅をする話を知っているでしょうか。
主人が眠りにつくとすぐ ....
撃ち落す
画面
落下
すると
何も書いていていない真っ白なポスターが
街中にあふれ
ついで、一斉に剥がれ落
ち
白いものは激しく
....
花ならば君を待つのも安きこと
ラベンダー蒼きこのうすにおい
この想い忘れてしまえマーガレット
花びら散らし涙にくれる
ローズマリーやさしい罪は思わせぶり
....
蝶は闇夜に飛んでも
光つてゐる
星のあえかな光を受けて
光つてはゐても
いつも光つてゐるわけではない
星の暗い瞬きのやうに
....
夢の中で私はお花を買いました。
汚い服を着た少年は
嬉しそうに私を見つめます。
淡い小さなカスミソウに
水玉模様のフィルムをかけて
少年は私に手渡します。
....
サンドイッチマンがはさまっていた
紫外線とアスファルトのあいだに
商店の右通りと左通りのあいだに
絶望と希望のあいだに
木の板とプラスチックの板のあいだに
ポルノの看板とストリップのポスター ....
ふらり立ち寄ったデパートで
行くあてもないのにエレベーターに乗ってみた
中にはエレベーター・ガールがいて
きまり文句で言ってくる
「上へまいりますか?下へまいりますか?」
「特にきめていないのです」 ....
薄紫の
花を
目が食べ
目覚めたとき
その直後も
草を食むように
咀嚼しつづける
若葉いろの歯車
ふと遠い日のすももの果実
熟れて柔らかに割れ
したたって染みる
濃い赤紫 ....
コントラバスは 宇宙からできている
共鳴胴は スプルースやメイプルなど森の木々から、
弓は 草原を走る馬の尾の毛から
成り立っていて、
弓に琥珀色の松脂を塗り 弦に滑らせることによって ....
夕やけこやけ
身を焦がし染まっているのは
女子高生
夕やけこやけ
鍵っ子寂しくつく家路
夕やけこやけ
セクハラオヤジ
今度やったら訴えてやる
夕やけこやけ
また明日
悲 ....
熱出したときの舌みたいなからだ
23時に絡め取られてたぶん今日の西日のせいだ
歩くときはいつも
見ている
電車に揺られている舌、たちが、
相槌のようにはずむ
電線の波打ちが速すぎる ....
{引用=夕暮れの砂浜を、パレードが歩いていく。
波に打たれてはまた現れる平らな砂の上、音もなく、けれど楽しそうに、
見えないパレードが歩いていく。}
海は
美しくも儚げな
歌とも音楽とも ....
静寂の水面に一石を投ずれば
波紋がゆらり、影が波立つ
月もまた冷ややかな横顔を
一層歪めて泣き笑いする
この橋の名を面影橋と人は呼ぶ
月明かりの下で我が影を
水面に映せば見えるとい ....
あなたはいつも少しかなしい
春の肌の女の子 薄桃色の乳首のように
きれい
「あなたはいつも少しかなしい」
ハッカのにおい
耳たぶをふるわせた「かなしい」を思い出して
まるくなる
私は ....
また
おちた
おちていった
無数の鐙骨、仏の門
歯抜けたおと
悔い改めようにも
祈る神がいない
鉄のにおい
しめった皮膚のにおい
歯抜けたくちづけ
脱臼するアイ
とり ....
触りたかった
風景を
朧に
格納した
ひとつ風鈴がなる
花の季節
甘い香りに誘われて
気が付いたら
ベルを鳴らしていた
君ん家の
布団のなかで
好きだった本や
好きだった歌や
好きだった人のこと
考えてみる
それだけなら電気はいらない
暗くなってもさびしくはない
人間の胃袋がまいにちふくらんでいる
それは比喩 ....
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