白につづく銀と鈍
黄につづく金と土
線は繭にくるまれていて
まるくなり まるくなり
連なりのなか震えている
海と川の鳥たちが
街の橋を
曇の朝を越えてゆく
ふたつの ....
「ことば」が足りない
そう思ったので
「ことば」を
さがしにいきました
小鳥にききました
「小鳥さん小鳥さん
ことばはどこにありますか」
小鳥はすこしうたうと
どこかへ
....
夢の中で川を下ったのと云ったら
ああそうなんだきみも下ったのかと
あのかたは云ったのだけれど
そういうあのかたは
夢の中で川を下ったことなどないのだと
わたしは知っていた
ほんとうのこ ....
センリツのように
かけぬける寒さ
終わらない
雨のスフォルツァンド
音の波は とぎれず
不自然な夢
小さな頃
引っ込み思案なぼくに、と
ママが与えてくれた図鑑は
表紙をひらくたんびに
こんにちは
こんにちは
と
語りかけたので
ぼくはひとりぼっちではなかった
ぼくの図鑑は
そ ....
土くれの上で
ブクブクと肺をうごかして
息を吸う
息を吐く
それから
しらじらとした空気の中で小さくワルツをする
手はこう、角度はこう、小さく、チラチラと、
....
ふと
襲ってくる
悲しみは
水底のように
穏やかで
疾風のように
激しくて
でも
この命は
守ってく
どうか
ひとすじの勇気を
私に
歩くごとに
一枚ずつ
カードを捲っていく
高い数字を
待ち望んでいた
のに
ジョーカーをひいた
今の僕には
使い方が解らない
人生の縮図を一枚の写真に托そうと
カメラを持ち出した午後
通い慣れた公園の道を黙々と歩いてゆく
木陰をなぞるようにしながら
景色に目を奪われることもなく
いつしか長い上り坂の入 ....
闇を進み月に辿り着く雲は
どこでどんな世界を見てきたのかしら
三日月に辿り着く雲もあれば
満月に辿り着く雲もあるようです
とうに絶滅したはずの日本狼を見つけ
動物園で生まれた狼のお手 ....
街角に立った色とりどりのクラゲ達を通り越し
遠い異国の地を見た
花を売り
花を買い
枯れていく買い手
クラゲ達は幼い日に見たガラスの目
ここにはなく
海ではなくて空を踊る
しかめっ面の ....
わりとおおげさでもなく
しんみりとしている
今日の天気はどうしても好きになれそうもない
昨日の
嘘を思い出して
一昨日の
罪を心で笑った
暗闇は
暗闇ではな ....
三日月の晩に 僕は生まれた
細い月の端っこにつかまって
地上に喜び溢れる人の足音を聞いた
半月の晩に 僕は大人になった
半分の僕は もう半分の僕を探した
地上では 止まない嘘に傘をさす人 ....
裏も表も
私だから
裏も表も
傷だらけ
もう疲れたよ
もういいよ
裏も表も
私だけど
裏も表も
隙だらけ
気付いてるよ
でも
もういいよ
裏でも表でも ....
朝の匂いを感じて目覚めれば
もうお昼前
遅めの朝食をとり
テレビに目をやれば
くだらないニュースばかりで
生きているのが怖くなる
もっと、こう、ずっと、あぁだといいのに、と
届か ....
呼び鈴を押さずに聞こえたドアの向こうの声を辿って私
水槽のある風景に赤いインクを落としました
この世に存在するすべての平行線が美しい、と
ずいぶん暮らした街から ....
ツイスト アンド シャウト!
ツイスト アンド シャウト!
ああ!!!
ツイストとシャウトを知っていれば!
ただ それだけで
僕のこの気持ちを表すことができたのに!って
愚かにも駅の天井を何故
消化器官に似せてしまったのでしょう
そこでは、羽音震わす蛍光灯
その仄青い痙攣から逃れ切れず
静かに分裂した影の群れが
仄青く集う硝子、地下鉄のドア
....
目を閉じると遠い
なにもかも
くるまの行き交う音が波音のようで
ぼくをここからひきはなす
....
むずかしい文字をならべて
遠回りする夜の端
薄ら寒い雲の流れ
赤い月の輪郭をなめながら
呼吸するのを忘れてしまった
僕は
闇に吊るされた灯りに手を伸ばす
重なりながら ....
パズル イライラ
ああ たいくつ
完成すると 分かっているから
ああ たいくつ
たいくつ
退屈!
タイクツ!!
ああ パズル
パズル ....
両腕でバランスをとりながら黒鍵を渡る。ちろちろとつま先から炎、揺らめくモディリアニ。白鍵
は床上浸水していて、溶けてしたたるたびにじゅう、って、しずくの結晶なんだ。映る、壁に体と
もうひと ....
こうやって、ね
もちあげたら
そうしたら、ね
おっこちてきたんだよ
ぽた、ぽた、
って
おっこちてきたんだよ
ぼくが
うちゅう、みたいな
まっくらで
つめたいところ、
り ....
気だるいようで心地良い。柔らかい何かに包まれて現実の厳しさから逃れられる場所。僕はそういうものが欲しかった。いつでもどこでも感じるのは下らない、吐き気がするような緊張を強いられる社会構造。休んでいる ....
神様、今日も平和な一日でした
と
嘘を付く
みんなで映画を撮ろうという話になった
「パラノイドアンドロイド」を歌うカートコバーンか、
「リチウム」を歌うトムヨークがこの映画の主題歌。
「パラノイドアンドロイド」ならばブラットメルド ....
世界は
もっと不思議なままでよかったのに
虹の七色
逃げ水
姿見
知ってしまった全てが
恨めしい
君よ
その背中を覆う漆黒は
僕の夜だ
初めに与えたのは君のほう ....
1
正直、高校を卒業した時の成績はよくなかった
偏差値にして40前後
空を飛ぶ試験にうかるには絶望的な数字だった
なにしろそのころ
空を飛ぶための試験を通過するには
偏差値にして6 ....
口笛が遠くまで聞こえるのは
まわりに誰もいなかったからだ
分かっていたんだろう
少女よ
どこにも行かなくていい
君が知ってる誰もかもは
どうせ君の知らない場所で笑っている
....
そらされた目をただただ見つめることしかできなくて
自分の存在感に余白を感じた
滲んだ心に涙が沁みる
お願いそらさないで
私を見て
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