すべてのおすすめ
ビルの立ち並ぶ、鉛色の大きな町の、底冷えする裏通り。
そこに、子どもたちが大好きで、彼らの前では、銀河の彼方のほんとうの幸せを、細い目をして語るおじいさんが住んでいました。おじいさんは町に一軒の時計 ....
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ちいさな秋のなかで、ちいさくなってゆくぼくのなかの夏の風景。手をふるきみと出逢えただけのただの木漏れ日。
◯
いま、うちひしがれる想いとすでに手を繋いでいて。大変だったね、こ ....
紫陽花は、雨の季節に、静かに生まれました。
ひと粒ひと粒、雨のしずくを、その葉と花びらに受けるたびに、紫陽花は、まるで涙でできた水のお城のように、透きとおって光りました。
ある、ひっそりと ....
むかし、北の山あいに、たったひとりだけ色のちがう鬼がいました。赤鬼でも青鬼でもありません。その鬼の肌は、冬の曇り空のような――淡く沈んだ灰色でした。
仲間の鬼はみな、虎の褌を締め、強さのしるしの ....
朝顔が知らないうちに、ひそやかに蔓をのばしていたので、
庭の人は一本の竹をそっと添え木にたててやりました。
その晩のことです。
夜は早くからしんとして、星はどれも遠くで息をひそめ、
虫 ....
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すこしずつ、ぼくもレモンになってゆく。米津玄師は気持ちの面で、ぼくの親戚だ。気持ちの落ちつきは得難いものだ。おんがくをお聴きする。
◯
ラジオをお聴きすることでも繋がりの輪に ....
虹の欠片をあぶくの妖精から授かった少年の胸には、小さな幸福の光がひそやかに灯っていました。
その光は、波間にささやかに揺れ、海辺の生きものたちにも静かに届いていたのです。
狐は、その輝きを ....
村はずれの一本の冬道に、街燈はじっと立っていました。
雪はさらさらと降りしきり、夜は息をひそめています。その静けさは、まるで遠い昔、この世がまだ素朴だった頃の記憶を遠くに思い出させるようでした。 ....
大切なものたちを道で見つけては拾っている。みんなその大切なものを、なぜか捨てていってしまうんだ。だから僕が拾っていく。拾った大切なものたちは、部屋で大切に飼っている。ときどき外で自由に遊ばせてやったり ....
壱. ぬらくら川と暮らしの音
「何十代も続いたうちの家も……さいごは、……沼ん底に沈んじまうんだと……。」
爺さまは、濡れた袖で鼻をすすりながら、ぽつり、ぽつりと呟いた。その声は、日が落ちたあ ....
屏風山の奥深い森の、そのまた向こうに、ひときわ白く光る峰がありました。
それは「せせらぎの峰」と呼ばれ、森の獣たちは夢のように囁きました。
「頂に立てば、この世の果てまで見え、生きるもののすべての ....
一 氷が息をする村
むかし、奥羽(おうう)の北の、そのまた北。山の影ばかりが伸び縮みする寂しい谷に、萱野(かやの)という小さな村があった。
冬になれば、雪は人の背丈を越えて積もり、家々は白い棺 ....
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晴れた日はお部屋で軽いコートを着てのんびりしている。麹いりのお味噌しるがいかにも美味しい。お腹のなかで細菌たちの、わぁいっていう声が聴こえてくるようだ。
◯
もち麦多めの雑穀 ....
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ひとりぼっちのお部屋
11-17-2025
くるしみの最中に漕ぎだす舟といったところか。数珠つなぎで血の顔をする光りの洪水のなかで、ながれでるこの哀しみは、なんだろう。
◯
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空気の振動のなかで寝そべっている。居心地のよさを感じる。両方のあしのうらをぴったりと合わせて仰向けでお眠りすることが多い。背筋が伸びて股関節がよく開いている。
◯
冬が近づい ....
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ぼくのなかで泣き晒す想いが浄化されてゆく。働いているひとのいうお金の概念と障がい者の考えるそれらの価値観の相違について考える機会を得た。
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険しい想いで害をなす言葉を用いて ....
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ぼくは今日、致命的なあやまちに気づいたのです。
◯
命がどこにあるのかわからないときに誰かについて考えることの険しさからの言い逃れ、そのために精神的な偏りへの主張が必要なので ....
タイトルは「浅きタイトルは「浅き日のこと』阻止て「鷹のよう』をペンネームとして』をペンネームとして出版社に持ち込み自分をかけてみたい小説の原稿と今夜も向き合う『彼女は『またね!』と言ったはずだし、僕だ ....
『父の献立』たもつ
https://po-m.com/forum/showdoc.php?did=393547
孤児養護施設で育ったわたしは〈家族〉とい
うものを知らないので詩や小説というも ....
十一月一日
悪天だったがこの日を逸すると雪が降ってしまうかもしれないと思い、向かった。冬枯れの登山口は老いた自分の終末への入り口のように静まり返っていた。
冷たい雨が時折強く、その上風が木々を ....
休憩と宿泊の間には今日も火球がふっている/鯖詰缶太郎
https://www.breview.org/keijiban/?id=15700
サバカンさんの詩的言語を、真正面から批評として料理す ....
ここ一週ほど多忙だったが、悪天予報の今日は勤務仕事の事業所は休みとなっていた。
夜は比較的よく眠れ、夜明け前だったが登山口の管理棟の清掃に向かった。あいかわらず、クサギカメムシたちが越冬にやって ....
わたしがここで話すのは、木の実をたべ、透明の毛をもち、草にねむるつめたいくまたちのことだ。街に降りた熊たちの、(淋しい淋しい)という餓えた声に今日も胸をいためているくまたちのことだ。
たしかに秋 ....
Ⅰ. 花形新次という現象 ― 「言語の現場」の更新
花形新次の詩は、まず第一に「ことばの現場」を剥き出しにする。
そこには技巧よりも「発話の必然性」が先行しており、詩が生まれる瞬間の生々しい〈 ....
ひとつ 抒のこと
抒ではだれもおらぬやねの下で、かべがよっつあって
とびらがなく、まどがなく、脂でもできていてもよいし
かしでもよいし、枯れたいわでもよいし、だれもおらぬこと
....
冬日和で、いつもは汚れた大気に隠れている星空が姿を現していた。ビルが隙間なく並んでいて、それが地平までずっと連なっている。街道では人々が蟻のようにゾロゾロ動いていた。誰も星空なんかには目もくれていなか ....
山林整備作業三日目を終えた。たぶん別な作業も途中に入れられるだろうが、少なくともあと一か月は十分かかる作業であろう。十八ヘクタールという途方もない山林を刈り倒す作業は気が遠くなる。
四名のスタッ ....
小学生の頃、土曜日、たまたまついていたテレビから、心を鷲掴みにされる歌が流れてきた。
それはエンディング曲で、その時は何の番組かは分からなかった。
放送局はNHKだった。
翌週の同じ時間 ....
入り江にて
大阪から車を走らせ、片道三時間。途中のサービスエリアでスマホを確認すると、通知に追われる日常がそこにあった。
やがて夜が明け、寂れた港町を抜けると、道は雑木林と露出した山肌に ....
*
みじかい階段をあがって入出庫のホームを歩き、その半ばにあるエレヴェータにみ ....
りつさんの散文(批評随筆小説等)おすすめリスト
(104)
タイトル
投稿者
カテゴリ
Point
日付
クリスマスプレゼント(修正版)
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板谷みき ...
散文(批評 ...
4*
25-11-26
ぼくのももちゃん
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百(もも ...
散文(批評 ...
3*
25-11-26
紫陽花と秋桜の話(修正版)
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板谷みき ...
散文(批評 ...
4*
25-11-25
灰色の鬼(修正版)
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板谷みき ...
散文(批評 ...
2*
25-11-25
竹と朝顔(修正版)
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板谷みき ...
散文(批評 ...
2*
25-11-25
レモンになってゆく
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百(もも ...
散文(批評 ...
2*
25-11-24
狐の見た幻
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板谷みき ...
散文(批評 ...
3*
25-11-24
街燈(修正版)
-
板谷みき ...
散文(批評 ...
3*
25-11-23
大切なものたち
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水宮うみ
散文(批評 ...
4
25-11-22
沼の守り火(河童三郎の物語)
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板谷みき ...
散文(批評 ...
1*
25-11-22
青い蛇と赤い葉
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板谷みき ...
散文(批評 ...
2*
25-11-22
業ヶ淵の鬼の話
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板谷みき ...
散文(批評 ...
2*
25-11-21
米つぶひと粒・農家の泪
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百(もも ...
散文(批評 ...
3*
25-11-20
3(ミ)
-
百(もも ...
散文(批評 ...
2*
25-11-19
ぼくのお城としての書きもの
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百(もも ...
散文(批評 ...
3*
25-11-17
全てのひとは倖せになるべきだ
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百(もも ...
散文(批評 ...
5*
25-11-16
健全という幻想と病いとしての夢物語
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百(もも ...
散文(批評 ...
5*
25-11-15
またね!蒼風薫
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エヴァル ...
散文(批評 ...
2
25-11-13
たもつ『父の献立』鑑賞_
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室町 礼
散文(批評 ...
5*
25-11-9
山仕舞い
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山人
散文(批評 ...
6*
25-11-3
鯖詰缶太郎さんの詩を読む
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おまる
散文(批評 ...
5*
25-11-2
雨、月曜の、まだ暗い朝に
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山人
散文(批評 ...
7*
25-10-27
つめたいくま
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はるな
散文(批評 ...
3
25-10-21
ChatGPTによる偽吉本隆明の「花形新次論」
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花形新次
散文(批評 ...
2
25-10-19
神なってまじないを綯って糸をまじわせてとること
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竜門勇気
散文(批評 ...
2
25-10-9
ケイヴ
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おまる
散文(批評 ...
5*
25-10-1
山林
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山人
散文(批評 ...
5*
25-9-27
再び出逢う人形劇三国志─土曜の午後の記憶
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花野誉
散文(批評 ...
7*
25-9-21
人妻温泉旅館
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atsuchan69
散文(批評 ...
14*
25-9-19
それはまるで毛布のなかの両の手みたいで
-
中田満帆
散文(批評 ...
2+
25-9-17
1
2
3
4