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想いは遥か
西のそら
朧月夜が美しい
聞かせてください
愛の歌
長袖を出して着る
空にはひつじ雲が泳ぐ
次の季節の憂いを乗せて
短く弱くなる日照時間
薄れていく褐色の肌
記憶さえも
時間に弄ばれるようにして
不安に投資させられる
私たち、もう一方的に
憧れるのでもなく
憧れられのでもなく
与え与えられ響き合い
ただそれだけを求め逢う
求め過ぎ
いつのまにか
押し付けて押し付けられ
お互いにせめぎ ....
*
なんとはなしに眺めていて
思ったのだが、
このなんでもない
あたりまえの数式を
はじめに考えたものは
偉大であったのだと思う。
はじめにつくりだすことが
いか ....
草むらかきわけて
棒をしゃぶり倒した
俺達に明日はなかった
空は
晴れ渡っていた
六月の木漏れ日のなかで
いちばん得意な遊びは
棒遊びです
モットモット 遊びをしようよ
....
ああ、月がきれいだ
それだけで
すこし気分がいい
時間を搾り取られてスカスカ
残ったカスを貪るように使う
こんな詩あんな詩書いたり
生活に必要な作業をし
時にはテレビやスマホで浪費して
残りで眠る
やりたい事を好きなだけ
やりたい時 ....
きんもくせいの
ほんのりとかほり
やはらかしっかりと
秋のにほい染み込ませ
漂い始める大気の最中
ゆるやか解けながら
四散していく意識の慄き
思考や感情や意志や感覚や
....
爪を切ろうと思い立ち
爪切りを探す
スフレを焼こうと思い立って
泡立て器を探すように
引き出しの二番目
わたしを待っていたかのように
すぐに見つかった
それは切った爪を受け止める装置 ....
私という存在は
水面を浮遊するカゲロウのように
不確かな命の現象なのです
帰る処はありません
やがて透明に吸い込まれてしまうでしょう
夢ふたつ
困ったものです
選べない
ひらかれた世界は
ありがたいと想う
たとえば自由だし
たとえば平和だし
たとえばしあわせだし
たとえばこのままでいいと
想えるし ....
なに、熱くなってんだろう
生まれて死んでいく、それだけなのに
なに、熱くなってんだろう?
炊き立ての米、膨らんで ムギュッとお口に入る
その感動、その感銘 それも怒りの、原動力
なに、熱くな ....
思うべきことを考えずに
どんなことができるのかと 一人
名前の知らない川を見る
今も 何かを問いかけながら
冷蔵庫の中に入れておいていたのは
昨日スーパーで買った 見切り品の鮭弁当
....
涙の夜に沈んでしまいました
何かを伝えようにも声がでません
銀盤の月だけが頬笑みをくれました
冷えた肩を抱き締めながら
暗い{ルビ闇路=やみじ}をたどります
干枯らびた思い出
握り締め過ぎて砕いた
一日が終わって次の日が来ても
昨日までを枯らしてしまう
何があったかな
あったけどどうだったかな
生きていることが
不思議に思うんだ
....
冬の兵士達の隊列続き凍り付く恐怖に郷愁の感情麻痺し
灼熱の貴女の胸に投擲した憧憬の念の次々燃え尽きまた投擲し
高くなる空に濃くなる青に密やかな恋慕を抱き自らを見入る、
鎮まる静かさに ひと ....
あの頃のぼくたちは
激しくて とても激しくて
激し過ぎて
互いに深い傷をつけあったね
きみはとても純粋で
長い黒髪が似合っていた
ぼくは酔って想い出話しをすると
きみは少女のよう ....
あなたの旅立ちを邪魔しない
いざとなると
つい怖くなって
パニックに陥ってしまうけど
あなたは迷う心のまま行けばいい
それがいちばん優しい答えだ
祝福はしてあげられない
ごめ ....
海の底、そこに思い出の全部を置いて
秋の風、切なさが頬をかすめる
設営された映写館
新しい貴方の仮想的根拠は
有償ではなくて
条件なんてないよ
ただここで抱きしめられて
胎児みたいに眠る ....
大丈夫だよ
あなたが誰を愛してもいい
愛の詩だって
自由に描いていい
私はあなたが頬を紅潮させて
少年のような無邪気な笑顔になるのが好き
あなたは
いつでも寂しくて愛したかっ ....
口腔を充す微かな鉄の味が
わたし達の青褪めたアレゴリーだとして
ビニールの膚に詰まっていたものを想像してみろ
健啖家は贋金を着服し
屠殺人がアスクレピオスの悪戯を薬液に浸す
わたし達がただ豚 ....
葬列 ものくろのいしを蹴る
切実な詩情など、草々
皮革の風船が、このようなとき、ひろった
カベに貼り付いている過去に魔法がある
レプリカのあかり ナルシスの鏡
鳴り止まないベ ....
無とは最も偉大な肥大だ
捗りはいらない
そこに佇む視線があるだろう
姿勢ではないのだ また思想でもないのだ
まだ予測にしがみつくのか
言葉で表す前の無が轟音を立てる
明るみや順調に飲まれる ....
メッツ対ドジャースの試合
ロサンゼルスのスタジアムでは始終大歓声が飛び交う
テレビのこちら側では
昨日の飲み会の続きで
朝から乾杯の手が幾つものびる
千賀が登場しても反応薄く
大谷 ....
キキョウの花弁、
染める青紫
、
沈黙の一音
凝縮され、
見る見る染み渡り拡がりゆき
あゝまた段々と色褪せては
色付き輝き湧き出で来る
此処に貫かれて居る力、
異様に哀しくも歓 ....
ステイションがあって
その中にもう一つ
小さなステイションがあった
よく見るとそのステイションは
生前の父だった
ステイションは小さかったから
出発する列車も
到着する列車 ....
虐待があるのは知っています
客待にしてみましょうか
タロウさん、お茶が入っていてよ
毒入りだったかーっ
狐の嫁入り
いつ致したかもわからぬ電光石火
お父さん、寂しいよ
わけの ....
空が近い午後だった
外階段を雲が飲み込もうとしている
看板の灯りが何とか支えていた
バスを待ちながら考えたが
ここはバス停ではないので来るはずもない
グッと上腕に力を入れると血管が目を覚 ....
雑な言い回しになるけど、レベル1の遊びの程度でダンジョン攻略するにせよ、パーティーを組んだほうが良いとギルマスは言っていた。アーチャーの俳人と戦士の歌人とタンク(盾)の詩人の組み合わせがベスト。
....
子供の頃から 雨の日が嫌いじゃなかった
暗闇から蘇りほんのひととき 美しく生きる蝶のように
いつも元気のない お前の汚れを洗い流す
誰にも省みられない 可哀想なお前の意思 ....
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