すべてのおすすめ
パサパサの餌をたべて
噛み砕けども詩にはならず
烏輪の光を受ける郷も今宵、雲裏から出ぬ草はらで
落ちてるひらがなを拾いあつめて
ぴん とお耳を立ててみる
お祭りの夜に
名前を落とした
人混みの中だった
大きな大人にぶつかって
うっかりと
落としてしまった
心細く泣きながら探した
やっと見つけ出して
元の所にはめてみたけれど
そ ....
ゆうやけこやけ。また明日。寂しい風が吹いて、また明日。
母さん。どうしてあのときブランコなんかに乗っていた?人目もまったく気にせずに。ブランコゆっくり漕ぎながら。まるで子供のような眼差しで――。あの ....
霧が匂う
隠された風景の先を見ている
霧はたえず
その気配でただようしかなく
歩み出れば崖っぷちに咲く野の花の細い茎を
つかむような愛ならば
もはや私に
緑なき ....
土星の衛星タイタンの海、
時空間跳躍施設のあるプンガの島々に
量子駆動によって遥々と運ばれた 卍 、
コンテナの中身はサルデーニャ島産のチーズ
生きた蛆虫の湧いた、カース・マルツゥだった
....
論理詩。その1
①はたぶん②である。
②はたぶん③である。
ゆえに、①はたぶん③である。
①は実は②である。
②は実は③である。
ゆえに、①は実は③である。
①は ....
雲よりも
高いところの虚ろな光
欠けた兎影に 目を凝らす
背後で、製紙工場の正門から細い通りへ出る
大型トラックのタイヤが路面に擦れる
緑色の金網が張られたフェンス越しに ....
小さく咲いたバラは
小さく散っていく
はなびらは
真新しいももいろの紙石鹸みたいに
つややかなのに
一度も泡になることもかなわず
埋葬されないいのちだったもの
うつし世に迷い込んだ
黒 ....
この夏、母の実家で
小学生の従弟に付き合い
泥団子を作った
生々しい泥の感触に
多少
面食らってしまい
思えば、子どものとき
泥をさわるくらい
ただの日常だったのに
今はもう
ノー ....
裏窓を覗き込む
一艘の夏列車が停留していて
すっ、と
深呼吸を終えた
風を追いかける風の後ろ姿
もぬけの殻になった頁
ノートの終点にはいつも
書きかけの詩がある
男が現れて
....
つらい時
つらいって言わないから
わからなかったわよ
あんた
今になって言うんだもの
それに
生んでくれてありがとうって
なんで
今になって言い出すの
泣いちゃうじゃない ....
光に
映る
よろこびが
悲しみの
影を落とす
水色ではない水の色
透明ではない透明の色
その透明の色彩で
僕の傷を塗りつぶした
傷ではない傷の色
触れようと無数の手がのびてくる
遊牧民時代の血が
僕に色の螺旋を埋め込んでいた
透明 ....
土砂降りの雨がおまえを濡らし、
からだが小刻みに震えているのを見た
星の巡りじゃなく、俺はここにいる
華奢でしなやかな声をキスで塞いだ
信じられるのは、息と瞬きだ
うなじや首筋 ....
映画館の小鳥の絶壁。
小鳥の絶壁の映画館。
絶壁の映画館の小鳥。
映画館の絶壁の小鳥。
小鳥の映画館の絶壁。
絶壁の小鳥の映画館。
球体の感情の呼吸。
感情の呼吸の球体。
呼 ....
家の隣に大きな空港ができた
生活は少しずつ変わり
通勤が楽になった
夜明け、窓から手を伸ばすと
冷たい滑走路に触れることもできる
到着ロビーの雑踏の中
洗剤を買いに行ったきみの
....
こうえんの隅に描かれていた、
てんしの横顔を見て、
「祈りという文字は、ずきずきするから、いのり、へとひらかれていく、」
と、書きつけたくて、あたしがノートをひらくとき、
回転扉の ....
とても土のにおいがする花壇で
先生は苦しそうな顔できれいごとを並べていた
お母さんは泣いてた
僕はまだ小学生で
マリーゴールドを眺めながら
図鑑で見た
花の構造を思い出していた
茎、がく ....
もうきみは眠る時刻になっている
ぼくは何時になったら眠れるのかわからない
群青の空に輝く星々を飽かず眺め
そっときみの寝息を聞きながら
明日は必ず来ると信じている
琥珀に ....
読点の無い散文詩のように
ひたすら遠くへ限りなく続くかのような山道を刈る
それは、その行為はいったい何なんだろうと
我ながら思ってしまう
幼い自分、青年期の自分、雑多な怨念、過去の病的な行いや ....
さらさらと雨はふる
そんな日はるすばんだった
家の人がいなくなると
いくつかのへやがあらわれて
ぼくをまっていた
ぼくがひとりになるのをまっていた
孤独のかんむりをかぶり
手の中にはたっ ....
からりと晴れた
あさ、きのうまでのあめかぜがうそのように
ジンジャーホットティーはからくてあまい
のどをとおりすぎるとき
ギフトのように細胞にしみた
暑さをまいとし更新するような夏
この夏 ....
一行目が二行目ならば二行目は一行目ではない これは真である
二行目が一行目ならば一行目は二行目である これは偽である
三行目が一行目ならば二行目は二行目である これは真でもなければ偽でもない
四 ....
こらえ切れずこぼれ出す
涙のように 雨は
地を打つ哀歌
屋根に踊る陽気なリズム
暗い雲から紡がれ
眼差し次第で宝石よりも燃え
明日は乾く水たまりに
つなぎ蜻蛉が卵を下ろす
....
たとえば、
コンピューターの、
彼が、
計算不要、
と語る。
たとえば、
いつかの、
遠い遠い昔の、
わたしたちの祖先、
弓と矢をたずさえた、
獲物をう ....
白く浮かんだ綿雲が涼しげな影を作り、
緑の斑は噴煙のように大地を盛り上がらせた
いつもは動かない巨きな山たちが
突然、立ち上がって天空を掴みそうだ
現実と、非現実との見分けがつかない
遠 ....
全て消えてしまえと神に祈ったが
私だけが残り
全てだけきえた
私も消えてしまいたいと祈ったが
私は跡になり
全てもきえた
涼やかな風吹き流れ
ぐっと青み増し色付く
この早朝の空仰ぎ見て
来たる秋の高くなる天空、
未だ熱して驟雨時に降り注ぐ
夏の残り火の際で待ち侘びる
輝きの光帯びる力動の内に
深く ....
日暮れとともに出港し
太平洋を南下する航路
フェリーの舷側が
海面を撫で
闇の中に小さな白波を立てる
夜半に目が覚め
風にあたろうと
デッキに出る扉を開き
手すりにもたれた
夜空 ....
詩、
て、なにさ
自称詩人、
て、なにさ
他称詩人、
て、なにさ
想い、
て、なにさ
テク、
て、なにさ
伝えたい、
て、だれにさ
夜のう ....
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