言語とは何か。
ウィリアム・S・バロウズは「言語とはウィルスのようなものだ」と発言しています。
言語とは、そもそも話者の内部に備わっているものではない。
そうですよね、私たちが言語を獲得するのは ....
翼が生えてきた 日に日に大きく育って
ゆく けれどそれは 誰にも見えない 私自らにも
見えない なぜならそれは 私の内側へと
生えていたから 見えはしないけれど ただ
たしかにそれは 翼である ....
つぶれそうだった。押しつぶされそうだった。というより、とっくに潰れていた。ストレスに、悪意に、とらえどころのない未来の漠然とした不安に、狭い教室の中に押し込められて同じ空気を吸ったり吐いたりし続けて ....
箱船の中に
箱庭を置く
箱庭の中に
箱船を浮かべる
箱船の中に
箱庭を置く
箱庭の中に
箱船を浮かべる
……
(内側は外側より大きい)
と誰かの声がする
....
現代詩百年の孤独
わたしのいきつけの書店ではもう何年も前から「現代詩手帖」なんか店頭在庫していない。現代詩はもう「お取り寄せ」の詩になってしまった
と嘆いたのは十年以上前のこと ....
がらんと寂しくなった寝床に向かって泣いた。ただ冷たいだけの水をすするようなものでも、と書いたら。泣くために服を着て、挙句、私はその服に襞まで作ってみせたのです。ひとつの海辺が尽きて垂 ....
北園克衛は1930年代にあらわれた一群の若い女性詩人たちの中から特に数名の名を挙げて次のように述べています。
{引用=「先日西脇順三郎氏を訪ねたとき、偶然左川ちか氏の話が出て、西脇氏は左川 ....
倉橋由美子は「大脳の音楽 西脇詩集」(「毒薬としての文学」講談社文芸文庫)で、
「音楽と言っても朗唱して耳に快いなどということとは関係がなくて、西脇氏の詩の音楽は直接脳髄に響いて脳の回線を思 ....
{引用=
。 •
針樹の翅が 、はためくとき 、
とうめいの空には 、宛のない日々の輪郭が
....
人は
人として経験すべきことを
経験して
初めて成長する
誰かを好きになって
振られたり
誰かに好きになられて
恋人になったり
仕事に就いて
成功したり失敗したり
結婚して子ど ....
雨をふらすようにわらうから
雨乞いのように
見ていたんでしょう
でも、春だから
軽率に片付けてゆきます
{引用=
みじめなあたたかさだった
うしなわれる可能性について考えると ....
モランディのように
一生
静物画を描いて生きてゆきたい
三人の妹に世話をされながら
....
君の翅を食べた
君がそうすることを望んだから
君の翅はよくできたお菓子のように
心地よい甘さで
もろくあわく溶けていった
最後に君の背に残る
翅のついていた痕をそっとなぞると
それも夢の ....
角を曲がる
これが幾つ目かわからない
そこに壁があり 外と
間とがあるから
区切ることは生活の基本だ
囲むことも
その中でなら
酒に漬けられた桔梗の根のような
人らしい行いをしてい ....
シーアスパラガスというものを見つけて身請けした。イスラエル産らしい。
植木で見るような、ガサガサした葉で、初めて見たとき「なんかえぐみが強そうだな」と思った。完全なる偏見であることは後に判明する ....
あなたの歩みで星が止まるから綺麗だと思う
欠けていく影 低空飛行で会う街
暗記した電話番号の棘が残る眼
壊れるなら誰にでもなれたね
優しく素材を並べ替える音楽室で
入道雲 ....
過去形の歩き方で温い無音の影になって朝を待っている。
きみが手を振ったら発光するみたいに約束を喉に沈めた春、表に出さない感情を分かり合わない、脆く引き摺るわたしの曇った声を憶えている。
....
濡れた憂鬱をかけているようなもんだ
ハンガーの正論は誰の何も救えない
通りゆく嘘に答えを這わせて
結んだ空想を星座と呼ばせて
青果コーナーでオレンジを君が掴むとき
僕はまだ乾かな ....
その灯りが灯ることの全てがわたしの全てで、公園に腰かけたり、元気そうな集団を避けて歩いたり、目と耳と鼻と口と手と生き物と複数の壁、この部屋での暮らしが綺麗な明るさになれない。
マンションの知らな ....
進むべき道を間違え気がつけばひとり花火をみあげる桟橋
文章が文章に文章と文章で文章を文章する
鳴かぬなら鳴かぬなら鳴かぬなら鳴かぬなら鳴かぬなら鳴かぬなら鳴
繰り返す繰り返し繰り返す繰り返す繰り返し繰り返した
存在しない存在 ....
大浴場に入る前
剥いてみるのよ
人知れず
もって下さい
痛切な願い空しく
直ぐ戻る
男ですもの
前なんか
隠すことなく
入りたい
だけど出来ない
プライドを
託すタオルの
....
役立たずの大根の種、それを見極める方法を知っておられるだろうか。
それは、水に浸してみることだ。
しばらくするとプカプカと浮いてくるやつがある。それが、たぶん高確率で芽の出ない種だ。中身がスカスカ ....
どれだけの独自言語が死んだのでこうして笑いあえているのか
これまでに触れたすべてのものよりも指先こそが遠かったのだ
雪がきれいにふる音のふらないさむく白いつめたいつまさき声のいないそれを作成しゆるさない影たくさん温かく春に戻っていくまぶしいつめたい朝のゆき
天使
堕
見分
羽の跡
物心 コップの水が有限のようにも無限のようにも思った。
音なしで大人しいけど画面から騒々しさは想像できる。
歩くたび無数の宇宙を踏みつぶしている気がして、靴底の黒。
....
•なのだ首相 廃品回収業 自治会長
•シャークスキンゴム スイミングインストラクター
•抱擁ボーイ 引きこもり 中学二年
•スカーレット小原 バツイチ主婦 クレーマー
....
あかるい暗やみを
猫がふうふう歩いている。
うすべったい陰を
引き摺るようにして
草むらを
すこし割りながら
白だったり
黒だったり
する猫の、
どこからみても
おなじふう ....
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