シーアスパラガスというものを見つけて身請けした。イスラエル産らしい。
植木で見るような、ガサガサした葉で、初めて見たとき「なんかえぐみが強そうだな」と思った。完全なる偏見であることは後に判明する ....
あなたの歩みで星が止まるから綺麗だと思う
欠けていく影 低空飛行で会う街
暗記した電話番号の棘が残る眼
壊れるなら誰にでもなれたね
優しく素材を並べ替える音楽室で
入道雲 ....
過去形の歩き方で温い無音の影になって朝を待っている。
きみが手を振ったら発光するみたいに約束を喉に沈めた春、表に出さない感情を分かり合わない、脆く引き摺るわたしの曇った声を憶えている。
....
濡れた憂鬱をかけているようなもんだ
ハンガーの正論は誰の何も救えない
通りゆく嘘に答えを這わせて
結んだ空想を星座と呼ばせて
青果コーナーでオレンジを君が掴むとき
僕はまだ乾かな ....
その灯りが灯ることの全てがわたしの全てで、公園に腰かけたり、元気そうな集団を避けて歩いたり、目と耳と鼻と口と手と生き物と複数の壁、この部屋での暮らしが綺麗な明るさになれない。
マンションの知らな ....
進むべき道を間違え気がつけばひとり花火をみあげる桟橋
文章が文章に文章と文章で文章を文章する
鳴かぬなら鳴かぬなら鳴かぬなら鳴かぬなら鳴かぬなら鳴かぬなら鳴
繰り返す繰り返し繰り返す繰り返す繰り返し繰り返した
存在しない存在 ....
大浴場に入る前
剥いてみるのよ
人知れず
もって下さい
痛切な願い空しく
直ぐ戻る
男ですもの
前なんか
隠すことなく
入りたい
だけど出来ない
プライドを
託すタオルの
....
役立たずの大根の種、それを見極める方法を知っておられるだろうか。
それは、水に浸してみることだ。
しばらくするとプカプカと浮いてくるやつがある。それが、たぶん高確率で芽の出ない種だ。中身がスカスカ ....
どれだけの独自言語が死んだのでこうして笑いあえているのか
これまでに触れたすべてのものよりも指先こそが遠かったのだ
雪がきれいにふる音のふらないさむく白いつめたいつまさき声のいないそれを作成しゆるさない影たくさん温かく春に戻っていくまぶしいつめたい朝のゆき
天使
堕
見分
羽の跡
物心 コップの水が有限のようにも無限のようにも思った。
音なしで大人しいけど画面から騒々しさは想像できる。
歩くたび無数の宇宙を踏みつぶしている気がして、靴底の黒。
....
•なのだ首相 廃品回収業 自治会長
•シャークスキンゴム スイミングインストラクター
•抱擁ボーイ 引きこもり 中学二年
•スカーレット小原 バツイチ主婦 クレーマー
....
あかるい暗やみを
猫がふうふう歩いている。
うすべったい陰を
引き摺るようにして
草むらを
すこし割りながら
白だったり
黒だったり
する猫の、
どこからみても
おなじふう ....
今年の梅雨明けは遅いですね、と話しかけられた気がして目を開けた。誰も私を見ていないし、ましてや狭いバスの中で他人に話しかけるなど、いまどきともするとちょっとした迷惑ととらがえがちな行動を取る人は少ない ....
俺は正義の味方
アイアン・ハートをもつ
鉄鋼人
息は青い炎
体温は1000度
有刺鉄線で編んだシャツを着て
板金のズボンを穿いて
プラズマの明りが灯る街の
通りを駆け抜けてゆく
俺の ....
名前が
水たまりに落ちてて
のぞくと君が宿った
空のひろい方を
私は知った
在るかないかわからないから書いているのかもしれない。
ここに在ったかもしれない、なかったことになるかもしれない、
この場所を覚えていたくて言葉に変えている。
書くことは願いにすこし似ていた。 ....
描くのは額縁があるからではないのだ
に切り取るもの
詩をなめる
同じく 虫眼鏡
色の点点 あ、あ
あたまの中では白い ....
ふぐをもらった
皮がとても硬いので扱いかねていたが
家庭用の鋏で簡単に捌けるらしい
表面の針をぼきぼき折って
力を込めて刃を入れると
驚くほどオレンジ色の肝がこぼれ落ちた
身もガラも肝 ....
文学作品に触れようと思う人は、
知や感情に刺激を求めているんだと思う。
それはきっと、旅に出て、
見たことのない景色や
懐かしい空気に出会いたい感情に似ているんだろう。
その恐らくの ....
言うまでもなく、言葉は万能ではない。僕たちの言葉による意思伝達は、ほとんど奇跡と呼んでも差し支えないほどの、言葉の周囲をめぐる曖昧な了解のうえに成り立っている。もしかしたら、そんな気がしている ....
まっ黒くて
長い長い肢が きょうも
地面から 抜ける
親不知の速さで
(季節 だ)(季節 だっ た ) (った)(ったーーーーーーーんn
湿り気を編み込んだ ....
宇宙が生まれてからあっという間の
この夏
待っていた風がようやく
畳を撫でた
りーん
ちりーん
光の速さでピントを合わせる
この夏
皺だらけになった母の喉元が
麦 ....
恥をしればたなごころを溶す
耳飾りをわたなすこころ知せば
戸を折る
鶴―知る新聞ふ戸界隈に世闇の中
まん中の
春の光光光 まん中の太陽太陽の
さーっと露露露露露露露露
写真であっ ....
身の内に云い知れぬ狂おしい憧れを
抱いている者どうしの
身の内に暗く轟く世界の崩落を
抱えている者どうしの
目くるめく共振
其処から次々と幾輪もの蓮の花がひらく
互いのそれまでの日 ....
「すみません、これは、電車という手首、流れる腹で、通常も足、夜に目なのに頬を待ちました、ですか?」
「はい、これは、電車という手首、流れる腹で、通常も足、夜に目なのに頬を待ちました、です」
「あり ....
くまたちが春をわすれると
街はわあっと暑くなる
なんでもない顔をして
生きていかなくてはならない。
箱が産卵する
そして部屋には
部屋のかたちの夜がはいってくる。
眠れずにい ....
1 2 3 4 5